読書感想:室生犀星『動物詩集』

 はじめに。
 2024年元日の能登地方の地震に被災された方に心よりお見舞い申し上げます。
 どうか一日も早く、穏やかな日常が戻ることを願って止みません。

 さて昨年末、友人を訪ねて北陸へ行きました。(まさか一月後に震災が来るとは…。)
 その折、ちょっと寄り道して行ったのが室生犀星記念館。犀星先生の生家跡に造られたという。大きな建物ではないけれど、資料が豊富でしっかり見応えありました。
(文豪とアルケミストも好きな方はニヤリとするのでは…というくらいあの人もその人も登場します)

 さて、その記念館のショップで何か買おうと思い、目を引いたのがこの本。なんだか絵本のように可愛い表紙。
これは犀星の詩集をお孫さんに当たる室生洲々子さんが編集し、グレゴリ青山さんが挿絵を手がけたものだそう。
この挿絵がまた味があって素敵です。
柔らかい糸の質感が素朴な美しさを感じさせる刺繍と、のんびり穏やかな線画。
そこに降り注ぐ、犀星さんのうた。

 様々な生き物が登場しますが、虫が多い。
なかでも幼い頃から虫が怖くてこわくてたまらない私でも、ちょっと可愛く見えてきます。

 ちょっと切ないところもあれど、哀愁というほどでもなく、あるがままの生き物を見つめる優しいうたです。

 でも、やっぱり私は、ねこが好き。

「猫は時計のかわりになりますか。」猫のうたより

発行:龜鳴屋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?