文フリで買った本全部レビューする

日記パート

埃まみれのアカウントを引っ張りだして書いています。

文学フリマに足を運んだ。最後に行ったのは2017年か18年か、それくらいの頃。たまたま2024年5月19日の時間が空いていたから以上の意味を敢えて持たせず、浜松町から東京モノレールで流通センターへ向かった。

中学生の一時期、隔週で地元札幌から東京へ行く用事があり、物珍しさから好んで東京モノレールに乗っていた。北海道には私鉄も無いので京急という選択肢もあるはずなのだが、あの「複雑」な京急線の構造に嵌って飛行機の最終便に乗り過ごしたことがあった。それ以来、京急を使うことはほとんどない。
吉田修一の「東京湾景」を機内で読み、その描写をモノレールの車内からなぞるのが好きだった。

私がモノレールの浜松町駅のホームに着いたとき、停車している快速電車に乗らず、その次の各停電車を待つ人でホームが溢れていた。
馬鹿なので「大井で大きなレースでもあるのかな」とのんびりしていた。満員の車内。ベビーカーに乗せられた幼児が泣いている。大井競馬場駅に着いたが、ベビーカーの幼児とその親以外、誰も降りなかった。
車窓から流通センターが見えた。たくさんの人が並んでいた。「他にもイベントが開催されてるのか、すごいな」と思っていた。現に私が以前文フリに来たときは、骨董市のようなものが開催されていたはずだ。
流通センター駅に到着すると、車内のほとんどの人が降車した。事情を知らぬカップルの女性が「え、流通センターって何があるの?」と驚いていた。男性の方が「乗り換えじゃない?」と言っていた。別れた方が良い。

というわけで私は12時15分ごろ、現地に着いてはじめて
「会場が2つあること」
「入場券が必要なこと」
を知る。そして2つの会場いずれも長い待機列。入場券の購入列もあった。「この時間だと出展者も待機列に並ぶしかないです」とスタッフに言われている人を3人見た。私は並ぶのが本当に嫌な人間なので、しばらく中央の花壇に腰を掛け様子を伺っていたが、チケットはWebでも買えることを知り、一旦第1展示場の列に並ぶことにした。

長い長い長い待機列が終わり、ようやく会場に入る。あふれかえる人。何も下調べをしていないので、目についたもの、かろうじて知っているものを順々に手に取っていった。そんな「手に取ったものリスト」はこちら。

手に取ったものリスト

10日間で作文を上手にする方法 笠井康平(いぬのせなか座)

来月の中頃には上手になっている予定

今回唯一の下調べ枠。著者はおそらく、優しい人だが性格は悪いと思う。まだ全部読み切ってないため、ご覧のとおり文章がうまくなっていない。

子どもが欲しい、という気持ちが欲しい 鮎川まき

側はオーソドックスだが中身があちい。表紙が少し折れている。

今回の文フリの最高枠。というか、この記事を書かせた主要な要因である。そしてこの本については、個別にレビュー記事を書きたいと思わせる圧があった。
詳細は明日以降に書くであろうレビュー記事に譲るとして、内容・文章・そしてこの内容でもって文フリに出るという気概も含め、本当に良いと思いました。

Sapporo Cult Classics 怪文書特集/Vol.04

同世代のおじさんが主導っぽいが青春感がある

札幌市内に貼られている怪文書の正体を追うノンフィクションのまとめ版(怪文書特集)と最新刊(Vol.04)。
遠目に「札幌って書いてあるなあ」と思いながら売り場を見ていたら、ロリータファッションのファーストサマーウイカみたいな人に声をかけられた。

一個だけ苦言がある。ウイカは私に「怪文書を追ってるのが前回までの本で、なんと最新刊では怪文書の作者と会ったんです!」と言った。その怪文書は豊平・平岸・円山あたりに貼ってあるそうで、地元のオカルト話に興味をもって購入した。
ワクワクする気持ちを抑えられず、文フリで買った本のなかで最初に読み切った。リサーチもしっかりしていて、それでいてジュブナイル的な冒険性を(少し)感じられる良い作品だった。
が、Vol.04の終わり方…これはなんですか…これで「怪文書の作者と会ったんです!」って言っていいんですか?たしかに嘘ではないけど……いいからはやくVol.05出してください!!!って感じです。楽しみにしています。

ハーフ・フィクション オルタナ旧市街

写真ではわかりにくいが表紙がツルツル・キラキラしてる

いろいろとかっこよすぎたので黙って買いました。いかつい。

創作落語台本集 その1 銀杏亭魚折

ほんとはサインしてほしかった

今年のR-1でその名を轟かせた「どくさいスイッチ企画」の本。本物見たさに買い。これもある意味では下調べ済といえばそう。

インターネット純文学 ゆっけうどん

これが目だって買ってから気付きました

たぶんなんとなく、私は想定読者じゃないような気がするんですが、テーマと文章に興味をもったので買い。

ここまでが第一展示場。かなり疲弊していましたが一応見ておくか、と第二展示場に出向いた瞬間、「あ、俺の知ってる文フリだ!」となり安心。単に見たことある会場というだけ。
コミュニティの幅とか強さが可視化されてて、良さもありグロさもありみたいな、そんなことを想いながら少しだけ購入。

わがままタヌキとパンやのおじいさん

線は細め

「そろそろ絵本とかどうですか」と二人組に声をかけられた。「この辺、小説ばっかりなので」とのこと。聞くと、小説家である「あお」さんの初原作絵本だそう。この「あお」さんという人は絵の担当者によく逃げられてしまうためになかなか完成に至らなかったが、なんらかのきっかけで「たぬ」さんが絵を書くことになり、「たぬ」さんが逃げずに書ききったことで無事出展に至ったという。「原作者はここにいないんですけど」と向かって右に座っている「たぬ」さんが言っていた。では向かって左の人はなんだったんだろう。
絵本だし子どもに見せられるのでいいかと思い購入。

読む前に書けの本 谷脇栗太 編

すごいめっちゃこっちに言われてる気がする表紙

大阪で開催されているワークショップのアンソロジー。「その場で出たテーマをもとに15分で400字の小説を書く、夢落ちは禁止」がルールのワークショップで作られた28編が掲載。表紙の訴えかける感じも好きだし、中身も良さげだったので購入。

おわり

おじさんになったので、学生が一生懸命ビラとか配ってると絶対取ってしまう。なので、いま家には紙があふれている。
お金を出して買ったのは上にあるとおりだが、これ以外にも読み物はたくさんある。機を見て紹介できればと思う。

「人より本が好き」という触れ込みで出展している人がいた。私は、「人より本が好き」と豪語している人が、自分で本を作って文フリに売りに来ているという事実が好きだ。これは皮肉ではない。
超ベタなことを言うと、やっぱり「作ってる」人はすごい。どんなにニッチだったりクオリティに疑問があったとしても、「作ってる」人のエネルギーにあたると妙に感化されてしまう。「作ってる」人からは「人間」っぽさを感じる。めちゃくちゃ適当だけど、たぶんアーレントはこんな雰囲気のことを言ってると思われる。

仕事をしていると「人間」を降りないといけない局面が多すぎる。「人間」を取り戻したくて、こうやってたった3000字程度のブログをひいひい言いながら書いている。


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