2007年から2021年までのVOCALOID楽曲について調べてみた

○概要

 ニコニコ動画に投稿されている動画のうち、年毎に『VOCALOID』のタグが付けられたものを再生数が多い順に並べて、上位10曲について幾つかの情報を集めて、それらについて適当に語っていく。
 対象は2007年から2021年までなので、15年×10曲=150曲。そこまで多いわけでもないので、ここで語られる傾向には信憑性と呼べるものはほぼないと思う。例えばこれを年間100曲くらいにして、もっと統計的に調べてみたらもっと面白いと思うけど、自分はやらない。
 そもそもとして、VOCALOIDの楽曲を網羅的に聴いておきたくて、その過程で動画をたくさん再生するなら、せっかくだしパパッとExcelに入力出来る情報を集めて、あれやこれや考えてみるのも面白いと思ったので始めたのである。なので情報の正確性や論考についても、その程度だと思っていただきたい。まぁ与太話くらいには使っていただければ、という感じで。

○動画件数

図1:2007年から2021年までの動画件数の推移

 年毎に『VOCALOID』のタグが付けられた動画の総数をグラフにしたものを表1に示す。最初の年だけでも4,000件ほどあったが、増加傾向は2012年まで続き、約55,000件まで増加した。そこから一時的に減少したものの、2019年から再び増え始め、2021年は約54,000件と過去のピークに並ぶまでに至った。
 この件数全てがVOCALOID動画とは限らない(既存曲を歌わせてみたものや、歌ってみた動画なども含まれているのではないか。詳細は調べていない。)とは思うものの、それ相当数のオリジナル楽曲、或いは作曲者が居るというのは驚く。
 2019年からの動画件数の増加については何か要因があるのだろうか。一つ思い浮かんだのは、リズムゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ』のサービス開始である。発表されたのが2019年、サービス開始は2020年。過去の有名曲や書き下ろし楽曲がリズムゲームとして遊べたり、キャラクターによってカバーされたりと、VOCALOID楽曲をふんだんに楽しめるゲームだ。かくいう自分もこれをきっかけにVOCALOID楽曲を改めて聴くようになった。
 実際どうかは分からない。再三繰り返しになるが、この記事はいち個人がふと気になったことをざっと調べて、ざっと妄言を書くだけの記事だ。

○再生時間

図2:2007年から2021年までの再生時間の平均値・最大値・最小値

 先述した通りざっと妄言を書くだけなので、まずは見た目から。全体的に右肩下がりに見えて、ピークの約5分から近年の約3分まで、ある程度短くなっている。個人的には5分は長くて、3分は短い。4分が丁度いいと思っているので、近年のVOCALOIDの楽曲は短い印象がある。実際Cメロない曲ってあったような。2サビで終わるやつ。確か。
 あとは黎明期における最大値、最小値の差が大きい。『ハジメテノオト』や『桜ノ雨』が長くて、『初音ミクの暴走』や『みくみくにしてあげる♪』が短い。確かに『みくみくにしてあげる♪』なんかは短いからこそ面白い曲だと思う。ただ平均値だけ見ると2008年は5分近くもあって驚く。
 十年後に同じデータを取ったらどうなっているのだろう。この傾向と似たように短く短くなって、平均2分くらいかもしれない。
 あと調べこそしなかったけれど、イントロ・ABメロ・サビの長さを計測して、その傾向を見ても楽しかったかもしれない。確かストリーミング配信の関係でとにかく最初に聞かせてトラックを移らせないようにするために、キャッチーなメロディがあるとかないとか。イントロは段々と短くなっているかもしれない。この記事を書いているのはサイトロという名前の人なので、少し悲しく思う。

○使用VOCALOID

図3:2007年から2021年までの使用VOCALOID一覧

 仕事で出したら怒られそうなグラフだけど趣味なので気にしない。
 VOCALOIDの代名詞こと初音ミクが半数以上を占め、GUMI、IA(個人的にけっこう好き)、v flowerと続く。リン・レン・ルカ辺りはミクに並んで知名度が高い気もするが、今回の集計方法では少ない方だった。
 あとは可不というVOCALOIDも近年人気で、2021年には上位曲のうち4曲が該当している。今後増えるのではないか。そういう、年毎の流行も見たら面白いと思う。最初の二年くらいはほぼほぼミクさんだった。

○タイトル文字数

図1:2007年から2021年までのタイトル文字数の推移

 傾向が出るかなぁと思ってまとめてみたもの。まぁ、あるかも……くらいか。ちょっと減少気味だけど、2016年に一度突出している。『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!』や『DAYBREAK FRONTLINE』の影響と思われる。逆に短いタイトルだと『ロキ』や『ルマ』等が該当。二文字タイトルでありそうでなさそうな楽曲を想像してみるのも楽しい、かもしれない。クラスメイトとの休み時間の話題にでもどうぞ。

○総評と余談

 簡単な講評。忙しい時はこれだけ見ればいいよってやつ。

・動画件数は2007年から2012年まで増加し続け、一時的に停滞するものの、2019年から再び増加している(プロジェクトセカイの影響?)。
・再生時間は平均的には約5分から約3分まで、ある程度短くなっている。
・使用VOCALOIDは初音ミクが反芻以上、GUMI、AIと続く。今後は可不が増えるかも。
・タイトル文字数は減少している、かも。

 あとは余談。今回調べた150曲のうち、自分がどれだけ知っていたのか、という話。結果は40曲、約3割。2007年~2010年の曲が19曲、残りが21曲。これは、黎明期の楽曲をカラオケでよく聴いていたことに起因する。カラオケに行かなくなった(カラオケに行く友人が地元を離れた)のは大体2014年くらいからなので、その辺からほんとうに知らなかった。2015年の曲は1曲も知らなくてちょっとショックだった。それからの曲についてはプロジェクトセカイのお陰である程度知っていた。
 あとは制作者についても調べていたのだけれど、円グラフの形がすごいことになりそうなので割愛した。調べる前からも名前を知っていたDECO*27氏の楽曲が一番多かった。しかも黎明期にも近年にも上位に位置する楽曲があり、世代が変わっても変わらずにリスナーの心を掴み続けている、ということか。すごいことだ。氏の楽曲は今後網羅的に聴いていきたい。
 こうして150曲もの楽曲を聴いて、色々と考えて、もうちょっとVOCALOID楽曲を聴いていきたいと思えた。一方、普段メインで聴いている邦楽ロックや、過去の名盤についても、今回みたいに何かのルールでデータをまとめてみたら気付きがあったり、単純に面白いかもしれない、などと思った。
 楽しかったでーす。