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JBrC2023 田中さんセミナー

■JBrCについて


バリスタの技術を競う競技会にはいくつかありますが、その一つがブリューワーズ競技会です。WBC(WorldBaristaChanpionship)がエスプレッソを使ったドリンクの競技会と異なり人力をつかって抽出する競技会です。代表的な抽出方法がハンドドリップ、それ以外にエアロプレスなどいろいろな方法が使われます。
その国内大会がJBrC(JapanBrewersChanpionship)です。この大会の優勝者が日本代表として世界大会に出場します。
ちなみに2016年に粕屋哲さんが世界チャンピョンになっています。
先日2023年の国内大会が開催されました。

■競技について


この競技会は2つの競技があり、その総合で順位が決まります。
一つは必修サービス(主催者の支給される豆を使って3杯のコーヒーを抽出します)
もう一つはオープンサービス(競技者自身の豆をつかって、3杯のコーヒーを抽出します)
どちらも豆の持つ味を引き出すこと、そして3杯のコーヒーが均一に抽出される必要があります
今回日本チャンピオンになったのは白石 知輝(大一電化社)さん。
今回参加した特別セミナーはオープンサービスで一位になった田中 恭平(UNLIMITED COFFEE BAR TOKYO)さんが大会で実際に使った豆、道具、レシピを体感できる貴重なイベントです。
田中さんはコーヒーと酒をつかった大会、コーヒーグッドスピリッツの日本チャンピョンの経験もあるトップバリスタの一人です。

過去にもWBrCのファイナルで使った豆をカッピングしたことがありますが、今回はバリスタ本人がその豆をつかって大会の味を再現。貴重な体験です。

因みに必修サービスではハリオのSwitchを使って3杯を抽出したそうです。Switchを使ったのは限られた練習時間で均一に抽出するために選んだそうです。
そのレシピはハリオ推奨の方法ではなく、最終的に抽出の前半が透過式、後半は浸漬式を使ったそうです。
この方式は少し前に粕谷さんがネットで公開されたものとほぼ同じです。
方法はこの動画を見てください

■抽出器具について

■ドリッパー


オープンサービスで使ったドリッパーはこの英国製のOREAドリッパー。
2022の世界大会でもチャンピオンがこれを使っていて、最近注目のドリッパーです。今回の国内大会でももう一人の競技者もこのドリッパーを使っています

特徴は平底で底の穴が大きいことです。平底で有名なカリタのウェーブドリッパーは穴が小さく、比べるとコーヒーの落ちるスピードが早いです。
因みに私の昨年7月に購入してメインのドリッパーとして使っています。

田中さんは今回使用する豆の味を最大限表現するためにいつも使っているハリオV60,AprilDripper(これも平底で穴が大きいタイプ)、フラワードリッパーなどと比較してOREAドリッパーを選んだそうです。
異なる豆の場合、別のドリッパーを選んだ可能性もあるそうです。
豆とトリッパーの相性、選ぶの大変そうです

■フィルター


今回抽出器具で特徴的なのがこちらも話題のペーパーフィルター、シバリスト。
スペイン製のこのフィルターもお湯の透過スピードが早いので有名です。

■豆について


今回使った豆はColombia Lad Flores農園(Double Fermentation Natural,PinkBourbon)、所属するアンリミテッドさんで焙煎されています。

そして豆の特徴を活かすために、焙煎してから4日の豆と7日の豆をブレンドしています。使うタイミングに合わせて、焙煎した豆の一部を4日目に冷凍保存して調整したそうです。面白い方法です。

このフィルターは折り目のついた紙を折りたたんでドリッパーに装着するのですが、同じように折るために練習したそうです。そしてフィルターとドリッパーの底にはあえて隙間を空けているそうです。ビックリしました

この豆の特徴を活かすために透過スピードの早い組み合わせを選んだそうです

■抽出について

■お湯の温度

抽出の特徴の一つはお湯の温度を前半と後半で変えていること。
これはネガティブの成分が出やすい、後半で温度を下げて過抽出を防ぐためです
最近の抽出トレンドの一つです。

■お湯の投入方法

もうひとつが豆全部から成分を余すことなく抽出させること
そのために、お湯の投入で気をつけているのが粉がフィルターの側面に着くのを防ぐためにお湯を粉の端まで注ぐようにしています。投入の後半はドリッパーの端から中心にお湯を注いでいます。
その結果、抽出が終わると写真のように粉が平になっています。

■テイスティング


大会での採点方法のひとつにアロマがあります。
そこで、最初に抽出直後のコーヒーをサーバーから直接香ります
次にカップに移し、温度変化といろいろな風味を楽しみます。

熱いとき、温かいとき、冷めたとき、ドンドン変化していきます
冷めてからの余韻が素晴らしい

■オペレーション


記憶にのこったのがオペレーションです。
今回の大会はいつもより準備期間が短く1ヶ月しかありませんでした。
その短期間で3杯のコーヒーを同じように抽出するために、あたらしいオペレーションを試すのではなく、普段店で行っているのと同じ方法を選んだそうです。
ただ、最後は3杯同じように抽出するために直前まで微調整をしたそうです

トップバリスタでも3杯揃えるのが難しい、ハンドドリップは奥が深いです

■大会の様子


豆の情報、抽出レシピ、抽出方法については大会の動画を御覧ください

■UNLIMITED COFFEE BAR TOKYOについて
田中さんがいる店は東京スカイツリー近くにあります。
1階がカフェ、2階はバリスタなどをトレーニングするラボになっています。
タイミングがあえば田中さんの抽出するコーヒーを楽しむことができます。

今回のセミナーではUNLIMITED COFFEEのディレクターのお二人も同席されていました。このお二人と店のスタッフの全面協力があって田中さんも実力が発揮出来ている様子がうかがえるセミナーでした。

お土産にもらった大会で使った豆。エイジングブレンドは出来ないのですが、田中さんのドリップレシピを使って、OREA&ウェーブフィルターで淹れてみました。
大会で使われるクラスの豆、美味い。また飲みたくなる風味でした。
ご馳走様。

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