庄さん、こんなことが・・・
うどん屋の店員ー庄さんは、もう知っておられますか?
庄さんー何をだ?
うどん屋の店員ー(相手の耳元でささやくように)女性の死体ですよ。
庄さんー死体!?どこで?
うどん屋の店員ーここから数里先の橋下です。
今朝そこを通った船頭さんが、たまたま川面に浮かぶ女性を発見したそうです。
そりゃ、大騒ぎですよ。
だってその場所は、遊郭で有名な場所ですよ。
そんな陽な場所の近くで、事件がおきただなんて。
庄さんーそれにしても、どうして死体が。
うどん屋の店員ーそうなんです、不思議なんです。
取り調べじゃ、彼女の着ていた服が濡れていた以外、異変と判断できる点はなかったってことなんですよ。
だから、
庄さんー水死か。
うどん屋の店員ーまさしく。
その女性は一体。
何か、、
庄さんー追い込まれていたのかもしれんな。
遊郭ってのは、表は華やかな世界だが、実際の裏側じゃ、とてつもない競争世界ときく。
それで結果が振るわず、屋敷から払いのけられる遊女も毎年多いと聞く。
うどん屋の店員ーほぉぉ。
さすれば、そんな遊女のひとりだったと。
庄さんーまだ断定はできんがな。
別の仮説も考えられる。
遊女らもいくら芸事として尽くしても、人間だ。
好ましい男には、恋をしてしまうことだってあるかもしれん。
さっきも言ったが、2人の間で上手くいっても、遊郭の世界じゃすべての屋敷で、恋愛禁止だの、客取り禁止だのと、厳しい。
うどん屋の店員ー彼女は、彼と不本意にも離れ離れにならざるを得なかった。
彼女は嘆き悲しみ、我慢も限界に達し、川へ身を投げ出した。
庄さんー私はこちらの方を好む。
うどん屋の店員ーはて、どうなのでしょう。
庄さんやから、きっとあたっとりましょうが。
庄さんーおい、その彼女は、して美しい者であったのか。
うどん屋の店員ーえぇ、それはそれは。
ただ、多くは知らない遊女だと言われておりましたけどね。
庄さんーなんとはかなき、憂いる日とならんか。
うどん屋の店員ーえぇ、さようですなぁ。
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