●異人たち●
街ゆく笑顔の人たちが自分よりも楽しそうに生きているように見える、と感じることは誰しも経験があるかもしれない。
しかしその内側に、自分と形違いの大きな孤独を抱えていると知ることもある。
その形の違いは比べられるものではないし、比べたところで優劣をつけるものでもない。
しかし誰か一人でも近しい人が、大丈夫だよと声をかけてくれるなら、そのままの自分を認めてくれるなら、その孤独はその時だけでも温かいものに変わる。
でもそれはそんなに簡単なものではない。その孤独を易く誰かに伝えることも、誰かの孤独に気づいてあげることも、なかなかに難しい。
それは肉親とて難しいはずだ。血を分けていても、遺伝子をもらっていても、見たり感じたり思うことは全く別なのだ。
だから人生で誰か一人でも理解しようとしてくれる、否定をしないでいてくれる人と出会えたならば、それだけで生きることが輝かしく見えるだろう。
それが人として生まれた喜びであり、愛であると言える。
これは、すべての人が抱えるそれぞれの孤独と向き合う映画だ。
どんな形の孤独であれ、間違っていないと思わせてくれる。
そしてぜひ、すべての親は我が子を「自分の子供」としてでなく「一人の人間」として見てあげてほしい。
それだけでその子は歩いていけるのだから。
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