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【小説⑤】神さまと我が子のおしゃべり聞いちゃった。〜おかあさんが笑顔になる10の法則〜〈第二夜〉

第1話はこちら。


自分を大切にできなくなる呪い

今夜も神さまの幸せの授業が始まった。

むむさん「自分を大切にする?」

神さま「そうじゃ。キミにとっておかあさんは大切な人じゃろ?けどもっと大切なのは自分じゃ。自分より大切な人はおらんのじゃ

神さま「けど多くの人は自分を犠牲にして、家族や他人を助けることを美談としてしまう。小さい頃からみんな大人にそう教わるからな。

結果、しんどくなり続けられず、その助けようとしている人たちの笑顔を奪ってしまうことが多いんじゃ」

確かにそうかもしれない。

ボランティアの人たちもまずは自分の生活を第一に考えることが大切って聞いたことがある。

「自分のことは置いといて今大変な人たちを救うことが優先だー!」と張り切っても、続けられなくなったら意味がない。

私もそうだ。

家族のため、子どもたちのためと
毎日頑張ろうって思ってるけど

結果自分がしんどくなり
コントロールできなくて
家族にイライラしちゃってる。

神さま「子どもたちはまだ自分を大切にできている。

しかしもっと大きくなるにつれて、自然と“自分より周りを大切に”という固定観念を持っていく。キミも例外じゃない。現在でも少しずつそうなっているじゃろ?」

むむさん「そうかも!今も自分よりおかあさんてなってる!あと、自分より他の人を大切にしてるのはかっこいいって思っちゃってる!」

確かに直接的じゃないけど
私たちがそう教えちゃってるかもしれない。

困っている人がいたら助けてあげなさいって
いうのはもちろん大切なことだけど

そのときの自分の状況にもよるのに
それをちゃんと教えてあげられてない。

今のままだと
自分を犠牲にしてでも
どんなときでも人のために動きなさい
って教えてるのと同じだ。


自分を大切に出来ない理由。

むむさん「じゃあ自分を大切にすれば周りも笑顔にできるんだね!」

神さま「その通りじゃ。でもな、ここで大きな問題があるんじゃ。“自分を大切にする”ことが大切。これを知っても、出来ない人が多いんじゃ

うん。そうなの。
まさに私。

たまに自分にご褒美だー!とかするけど
なんか違う。自分を大切にできてる気がしない。

神さま「これはある意味呪いじゃ。無意識に自分を大切にできない呪いにかかっておるんじゃ

むむさん「呪い!?こわい!」

私も、こわい...

3つの呪い

神さま「呪いは3つある

ここで神さまお得意の黒板を出現させた。
その黒板にはこう書いてあった。

【自分を大切にできなくなる3つの呪い】
①人の目を気にしすぎる。
②他人と比べすぎる。
③未来を心配しすぎる。

むむさん「分かるような分からないような...」
神さま「安心せぃ。今からひとつひとつ説明をするからな」


自分を大切にできなくなる呪い...か。
私もしっかり学ばないと。


人の目を気にしすぎる。

神さま「一つ目“人の目を気にしすぎる”じゃ。キミは人の目は気になるかい?」

むむさん「うーん。ぼくはマイペースだねってよく言われる。けど苦手なことをするときはすごく気になっちゃう」

神さま「ほぉ。例えば?」

むむさん「ぼくは歌がヘタだから音楽の歌のテストが嫌いなんだ。テストだとみんなの前でたった一人で歌わないといけないから、みんなにヘタだなぁって思われるんじゃないかって怖くなっちゃう」

あ、そうなんだ。
歌が苦手なの気にしてたんだ。

私たちの前では元気にいつも歌ってたけど
本心は違ったりするんだ。

確かに音程は外れてるけど
私たちを笑顔にしてくれる最高の歌声なのにな。

神さま「そんなの気にせず元気に歌ったらいいではないか?」

むむさん「だから!ヘタだと思われるのが怖いんだって!」

神さま「下手と思われたらどうなるんじゃ?」 

むむさん「え?えーと、恥ずかしいじゃん!」

神さま「下手だと恥ずかしいとはわしは思わんのだが、キミは他の人の歌が下手だと“うわっ、恥ずかしい!”と思ってるんじゃな」

むむさん「え?お、思ってないよ!」

神さま「ほっほっ。すまんすまん。意地悪するつもりはないんじゃ。伝えたかったことは、人の目を気にしてるところは、実は自分が気にしてることなんじゃ」

あ。神さま。またいい言葉。

むむさん「そうかも!」

神さま「ここでも鏡の法則じゃ。自分の心が人に映る。キミが“歌が下手なことは恥ずかしい”という想いが現実に映ってしまっているんじゃ」

むむさん「んじゃ、ぼくが恥ずかしいと思わなければいいんだ!」

神さま「簡単じゃろ」

むむさん「いや!むずかしい!けど神さまの言いたいことはわかったよ!」

むむさんは本当に素直だな。

神さま「キミは本当に素直で素晴らしい。
難しいというよりも、勇気じゃな。これもひとつの固定観念てやつじゃ。固定観念を壊すには勇気が必要なのは覚えてるかな」

むむさん「覚えてるよ!むずかしいけど少しずつ固定観念てやつ壊してみる!」


比べすぎている。

神さま「二つ目は、人と比べすぎてることじゃ。隣の芝は青くみえて、本当の自分の気持ちを見失ってしまうんじゃ

むむさん「んー!むずかしい!」

あ、私はよく分かる。

インスタで
めめちゃんと同い年のママのアカウントを
ついみちゃう。

そして
「あぁ、この家族はいつも旅行に行ってる」
「可愛い服を毎回着せてあげてる」
「この子はもうしゃべってる」
「ちゃんと座って一人でご飯食べてる」
とかつい比べてる。

私たちには私たちの幸せがあるのに
人の暮らしと比べて勝手にヘコんでる。

確かにこれも自分を大切にできてない
ひとつのきっかけになってる。


先の心配をしすぎている。

神さま「そして最後じゃ。みんな何が起こるか分からない未来のことを心配しすぎておる

むむさん「未来?」

神さま「キミの年だとまだあまり未来のことは考えすぎないかな。けどな大人は常に、老後など先のことを心配しておるんじゃ」

これは間違いない。
だって不安だもん。

お金が足りなくなっちゃったらどうするの?
むむさんが勉強できなくて将来困ったらどうするの?

将来の心配は全然なくならない。
だから無理してでも働かなくちゃって思うし
子どもたちが嫌がってもちゃんとしつけないといけないと思ってる。

神さま「未来のことなんて誰も読むことはできん」

神さま「スマホやインターネット、今ではAIじゃな。大人たちはきっとこんな未来が来るなんて想像してなかったはずじゃ。そんくらい未来なんて分からないもんなんじゃ」

むむさん「じゃあぼくがプロのバスケ選手になるのも分からない?」

神さま「ほっほっ。それはぜひ目指せばよい。むしろ将来の心配をしすぎずに夢に向かって走りなさい」

むむさん「うん!」

夢か。

私もイラストレーターになりたいって
小学生のとき思ってた。

けど小学校高学年あたりから
イラストレーターになりたいっていうのが
恥ずかしくなった。

あ、これも人の目を気にしてるからか。

そして中学生のとき
イラストレーターになるのが怖くなった。

将来生活していけるのかなって。

でも正直少し後悔してる。
一度でもイラストレーターを
本気で目指せばよかったなって。

結果、お父さんや子どもたちに会えたから
いいんだけどね。

でも今思えば当時は将来の心配をしすぎて
自分の想いを大切にしてなかったな。

むむさん「ぼくにはちょっと分からないのがあったけど、これが自分を大切にできなくなる呪いなんだ!おかあさんもこの呪いにかかってるのかな。どうすればこの呪い解けるの?

神さま「それはな、自分を許し愛すること。そして今に集中することじゃ」

自分を許し、愛すること。
今を大切にすること。

きっとこれにも深い意味があるんだろうな。

#創作大賞2024
#ファンタジー小説部門

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