見出し画像

【小説④】神さまと我が子のおしゃべり聞いちゃった。〜おかあさんが笑顔になる10の法則〜〈第二夜〉

第1話はこちら。


〈第二夜〉④ 旦那への感謝。

5月30日。
“あれ”から1ヶ月が経った。

「あれ」とは
“むむさんと神さまとのおしゃべり”のこと。

前回の話だと
毎月30日に開かれるということだけど
今夜もやるのかな?

そんなことを考えながら
夕飯の準備をし始めた。

むむさんは学校から帰ってくるなり
「ちょっと出掛けてくるー!」と
ハンマー投げの選手かのように玄関にランドセルを投げて出て行った。

きっと神社だろう。
毎月30日にお参りに行く。
そして神社のゴミ拾いをする。

それが神さまとの約束。


1ヶ月のきょきょさんの想い。

この日もいつもと同じように過ごし
いつもと同じようにみんなで布団に入った。

私は少しドキドキしていた。

本当に先月のは夢じゃなかったのかな。
また神さまは現れるのかな。

むむさんはちゃんとゴミを持ち帰ってきてたし
(こっそりとバレないように拾ってきたゴミをゴミ箱に入れてたのが可愛い)※神さまとのおしゃべりについて誰にも言ってはいけないから

むむさんはいつものように一瞬で眠りについてるし。
(もう口開けて寝てる)

そしてまた神さまの話を聞きたい自分がいるし。

家族を笑顔にしたい。
私もその気持ちがこの1ヶ月でさらに
大きくなったから。

実際この1ヶ月今までに比べると
だいぶイライラが減ったように感じる。

感謝の気持ちが増えて
日々の日常がありがたいと思えたら
自然とイライラも少なくなった。

とはいっても
まだまだ理不尽に怒ってしまうことは
多々ある。

今日ももし
神さまとのおしゃべりがあるなら
またしっかり学ぼう。

そんなことを考えているうちに
きょきょさんはいつの間にか眠っていた。


神さま再び。


きょきょさんはパッと目が覚めた。

スマホには「2:00」の文字。
なんでぴったりに目が覚めるのも、
眠気も全くないのも不思議だった。

そんな疑問はすぐに隣に置いといて
すぐ目を横にやった。

やっぱりお父さんとめめちゃんは寝てる。
そしてむむさんはいない。

と、なると...
ゆっくり隣のリビングに目を向ける。

あ、しゃべり声。
ゆっくり移動しドアに耳をあてた。

むむさん「神さま!今日もお参りとゴミ拾いしてきたよ!」

神さま「ほっほっ、ありがとう。キミは本当にお母さんの笑顔を望んでるんじゃな」

むむさん「うん!」

神さま「じゃあさっそくじゃが宿題の確認していくかな」


宿題の効果。

むむさん「ちゃんとやったよ!『毎朝“幸せだなぁ”とつぶやくこと!』、『毎日寝る前に、その日にあった感謝することをノートに3つ書くこと』!どっちもやったよ!」

むむさんは両手でノートを開いて
神さまに勢いよく見せた。

そのノートは感謝したことで
びっしり埋まっていた。

神さま「うむ!素晴らしい!」

きょきょさんはもう少し泣きそうになった。
むむさんの一生懸命な気持ちが嬉しかったから。

確かにこの1ヶ月
宿題やってるなと思える瞬間があった。

朝起きたらある日のむむさんの挨拶が

「おかあさん、おとうさんおはよう!ぼく今日も幸せだよ!」だったのだ。

照れくさくなく言えるのは
むむさんの才能だと思う。

私は「お母さんも幸せだよ」と
照れながら返した。

お父さんは「何言ってんだ」と
はにかみながらコーヒーをすすっていた。

実は、私もこっそりと
同じ宿題を1ヶ月間やろうと決めて行った。

毎朝こっそり幸せだなぁと
みんなにバレないように歯を磨いてるとき小さく呟いた。

寝る前に手帳に
その日感謝したことを毎日書いた。

するとなんとも不思議な感覚になった。

まず一日の気分が全然違った。
明らかに一日のスタートの心が穏やかになった。

幸せだなぁ呟くだけで
こんなに朝が気持ちいいなんて。
ホント魔法みたい。

次に毎日感謝を書く習慣のおかげで、
日々の暮らしの中で小さなありがたさに
気付けるようになった。

今日はこのことを手帳に書こうってなるから
小さな幸せを無意識に探すように変化した。

特にお父さんへの感謝がすごく増えたことに
私は驚いた。

お父さんはすごく優しい人だなんだけど

子どもが生まれてからは
全然気が利かない人だな...
なんてイライラしちゃってた。

けど感謝を探す目でみてみたら
いろんなことをしてくれてたことに
やっと気づくことができた。

まず毎日仕事をしてくれている。

きっとそれは
楽なことでも当たり前のことでもない。


きっと会社で理不尽なこともあると思う。
上司に厳しく言われたり、お客さんのクレームを言い返すことなく聞いたり。

気持ちを爆発させたいときもあるだろうけど
家に帰ってからもそれを私や子どもたちにぶつけることもなくお父さんをしてくれてる。

今まではそれが“当たり前”って
思っちゃってた。

あなたの子どもなんだから、
あなたも子育てするのは当たり前。

なんで私ばっかり。
もっと一緒にやってよって。

けど当たり前じゃない。

私はその仕事の部分を見てあげてなかった。
その中でたくさんのことをやってくれてるところに目を向けてなかった。

感謝が全然足りなかった。

ここで前回の「鏡の法則」を思い出した。

私が「お父さんは仕事も子育てもやるのが当たり前」って思って接していると、私もそう見られるんだ。

「お母さんは子育てや家事をして当たり前」

そう思って欲しくない。
お母さんだって休みたいときがある。
子育てや家事が苦手お母さんだっている。
だからそんなふうに見ないで。

と思っていた私が
お父さんを同じふうに見ていたんだから。
鏡ように反射してそう思われても
しょうがなかったんだ。

だから私はまず
お父さんへの感謝をすごく増やそうと思った。

けどそんなこと意識しなくても大丈夫だった。

お父さんへの感謝は温泉の湯水のように自然と
温かさと共に溢れでてきた。

ひとつの奇跡。

すると不思議なことが起きた。

お父さんからある日突然
「いつもありがとう」と花束をもらった。

誕生日でもない。
結婚記念日でもない。

「なんで?」と
話を聞くと、

「なんか、あげたくなったんだよね」
と首をポリポリと書いていた。

こんなマンガみたいに照れるお父さんが
なんだか愛おしかった。

また鏡の法則を
信じられる出来事が起きた瞬間だった。


次のテーマは?

神さま「宿題をやってみてどうだったかな?」

むむさん「なんか分からないけど毎日楽しかった!友だちにも、先生にもたくさんありがとうって言ったよ!」

神さま「おお。いいことじゃ。ひとつ質問じゃ。友だちや先生は何かキミに特別なことをしてくれたから感謝したのかな?」

むむさん「ううん。ちがうよ。“いつも一緒に遊んでくれてありがとう”とか“先生、いつも楽しい話をしてくれてありがとう”とか。

逆に今までもしてくれていたのに、“ありがとう”って伝えてなかったなって思った!

本当にそうだよね。
むむさん。おかあさんも同じ気持ちだよ。

神さま「素晴らしい。わしが伝えたいことがバッチリ伝わっている。すでに“ある”ものに目を向けることができるようになっておるな。幸せへの大きな一歩じゃ」

あるものに目を向ける。
当たり前は当たり前じゃない。

確かにこれは幸せに気付くために大切だ。

だから毎日感謝を書く習慣は
すごい効果があったんだ。

むむさん「今日はどんな話をしてくれるの?」

神さま「今日はの、“自分を大切にする”お話じゃ」

自分を大切にする...

神さま「日本人の大人、特に親じゃな、お父さんお母さんは自分よりも子どもを大切にしないといけないという呪いにかかっておる。だから笑顔が減ってしまうことに気づかずに。

まぁ素晴らしいことなんじゃが、家族を幸せにしたいならまず自分からじゃ」

神さまの授業第二夜が始まった。


#創作大賞2024
#ファンタジー小説部門

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?