【小説⑩】神さまと我が子のおしゃべり聞いちゃった。〜おかあさんが笑顔になる10の法則〜〈第三夜〉最終話
神さまの最後のメッセージ。
神さま「終わりの時間が近づいてきたの。むむさんももうそろそろ手紙を書き終えるころかな」
きょきょさん「本当にいろいろとありがとうございました」
神さま「ほっほっほっ。いろいろと伝えたが、わしが言いたいことは“大丈夫”ということじゃ。アナタは大丈夫じゃ。絶対に大丈夫じゃよ」
大丈夫。
すごくホッとする言葉。
きっとむむさんたちが生まれてから
ずっと「大丈夫かな？」と心配してきたから。
私、大丈夫なんだ。
うん。大丈夫。
神さま「わしはアナタを信頼しておるよ。あ、信頼とは、根拠もなく信じることじゃ。ただただ信じておるということじゃ。
信頼してくれる人がいると安心するじゃろ。
アナタもむむくんと、めめちゃんのことを信頼してあげなさい」
大丈夫。
うん。いっぱい大丈夫って言ってあげるんだ。
神さま「さぁお別れの時間じゃ」
神さまは杖を振りかざした。
きょきょさんは目の前の真っ白になった。
気がつくとそこは布団の上。
いつも通りの朝だった。
むむさんは横で寝ている。
「むむさん。おかあさん大丈夫だよ。ありがとう」
むむさんのことを起こさないように
そっと抱きしめた。
むむさんからの手紙。
そっとひとり先に起きて
リビングにやってきた。
本当にここで神さまと話したんだ
と不思議な気持ちになった。
ふとテーブルをみると
なんか置いてある。
あ、手紙だ。
そっと手に取り
きょきょさんは手紙を読みはじめた。
おかあさんへ。
いつもお料理とか、そうじ、洗たくしてくれてありがとう。おかあさんのご飯いつもおいしいよ。
そしてめめちゃんのお世話もありがとう。
ふふ。
めめちゃんのお世話もお礼言われるなんて。
この手紙を書いてるのはね
おかあさんに教えてあげたいことがあるからなんだ。
おかあさん。
いつもぼくのせいでおこらせちゃってごめんね。
ぼくがもっとちゃんとおかあさんの話を聞くね。
もっとちゃんと考えてこうどうするね。
でもつい目の前のことに夢中になっちゃうの。
そうだよね。分かってるよ。
大丈夫。
こちらこそごめんね。
これからはおかあさんをおこらせないようにしたいんだけど、ちょっと自信がないの。
本当はおこられたあといつも思ってるの。
次こそはって。
でもまたその次もおこらせちゃってるから
自信がないんだ。
そっか。
むむさんちゃんと話聞いてくれてて
考えてくれてたんだ。
だからね
ぼく幸せで、笑顔になる方法を勉強したの！
誰に教わったかは言えないんだけど
すごい人！
それをね、おかあさんに教えてあげる！
おかあさんがもっと笑顔になるように、教えてあげる！
そこから
神さまに教わったことを
むむさんなりの言葉で書いてあった。
小3には難しいこともあったろうに
一生懸命話を聞いて書いてある。
そこからは
きょきょさんを笑顔にしたいという気持ちが
溢れ出ていて
きょきょさんは
ティシュを片手に読み進めた。
何枚にもなる手紙は
ついに最後の一枚になった。
おかあさん、だいじょうぶだよ。
おかあさん
これで笑顔になれるかな？
幸せになれるかな？
おかあさん知ってる？
かがみのほうそくってあるんだって。
ぼくが幸せになれば
おかあさんも幸せになるの。
もちろんおとうさんもめめちゃんも。
だからぼく幸せになるよ。
いつも笑うよ。
おかあさんだいすき。
おかあさんありがとう。
おかあさんがおかあさんで
本当によかった。
だいじょうぶだよ。
だいじょうぶ。
おかあさんだいじょうぶだよ。
ぼくが守るからね。
だいじょうぶ。
だいじょうぶ。
おかあさんだいすきだよ。
むむより。
きょきょさんは
いっぱい涙を流しながら、ほほえんだ。
大丈夫って
私がこれなら沢山言おうって思ってたのに
むむさんな先に言われちゃったな。
ありがとう。
もう私は大丈夫だ。
うん。大丈夫だ。
大丈夫だよ。
数日後の朝。
「めめちゃん！コップはこぶ！」
めめちゃんは張り切っていた。
きょきょさんは
めめちゃんに牛乳の入ったコップを
そっと渡した。
慎重にゆっくりと。
そろーりと歩くめめちゃん。
「あ」
声が聞こえた方を見てみると
固まっためめちゃんと、床には牛乳。
そこできょきょさんから出た言葉は、
「大丈夫。拭けば大丈夫」
いっぱいの笑顔で伝えた。
するとめめちゃんも
いっぱいの笑顔になった。
「もう一回やってみる？」
「うん！」
めめちゃんの花はめめちゃん自身が咲かせる。
私は信頼して見守る。
そして笑顔でいる。
むむさんと神さまから教わったこと。
大丈夫！
子育ては楽しいよ！
私たちはもう幸せだから。
大丈夫。大丈夫だよ。
おわり。
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