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【小説⑧】神さまと我が子のおしゃべり聞いちゃった。〜おかあさんが笑顔になる10の法則〜〈第三夜〉

第1話はこちら。


心からの幸せ。

この1ヶ月きょきょさんは
神さまが言っていたことをこなしていた。

まずは断捨離。
「これはあとで使うかも」なんて言葉は封印して
思い切って一年間使っていないものは捨てた。

あ、気持ちも身体も軽い。

断捨離だけじゃない。
掃除の力にきょきょさんは驚いた。

掃除に集中していると
無心になれた。

部屋が綺麗になると
心も綺麗になったように感じた。


ご飯にも集中した。
一口一口味わって食べてみた。
毎食は難しいけど、できる限り集中してみた。

するとすごく感謝が湧いた。

この人参はどんだけ愛情込めて
作られたのだろうと想像するようになった。

人と人とが繋がって私はご飯を食べれている。
そして生きることができている。

それまでは車を運転していたり、
マナーの悪い人を見るたびにイライラしていたけど
今はなんだか許せるようになった。

ドキドキしたけど
ママ友の誘いを断った。

そのママ友はいい人なのだけど
少し気を使うのでいつも会うと疲れてしまっていた。

そのあとの家事や育児に影響があったから
断った。

よく子どもたちに影響が出るっていうけど
今のところ問題ない。

もしかしたら考えすぎていたのかなと
今では思う。


不安も捨ててみた。
特にお金の不安。

パートで働いていたのだけど
シフトを減らしてもらった。

もちろんそれによりお給料は減る。
けど子どもの時間と心のゆとりが生まれた。

将来の不安は今はない。
お金が足りなそうならまた働くのを増やせばいい。楽しみながら節約するのもいいな。

勝手に作った未来に不安がるより
今の家族の笑顔を見ることを
私は優先することに決めた。


あ、スマホの時間が圧倒的に減った。
私はスマホの時間が少なめと思っていたけど
とんでもない。

今に集中。今を大切にすると
スマホはいらない。

目の前の人との時間。
私にとっては家族との時間。

その時間を大量に奪われていることに
気がついた。

目の前にいない人に時間を奪われない。
嫌いな人のことを考える時間があれば
その時間を好きな人に使う。

もちろん
手帳に感謝を書くことも続けてる。
イライラしたら深呼吸をして呼吸を整えてる。
いっぱい自分に「愛してる」と伝えてる。

私は幸せなんだ
と心の底から思えるようになってきた。

神さまの教えは
やっぱりすごかった。

私の心はゆとりがいっぱいになった。


最後のとき。

6月30日。
あそらく神さまの話を聞ける最後の日。

特にこの一日は朝から
神さまの教えをしっかり意識して
過ごした。

そしてこの日は
むむさんと神社にお参りに行った。

むむさんは
「なんで付いてくるの?」という顔だった。
そりゃそうだよね。

神さまとのおしゃべりは
みんなに内緒だもんね。

お互いに「なんで?」とは言わず
少し変な空気が流れつつも
お参りとごみ拾いをした。

そして深夜2:00。
やはりぴったりに目が覚めた。

リビングにはきっともう
むむさんと神さまがいるはず。

もう驚くことはない。
さぁ、最後のおしゃべりを聴こうっと。


最後のおしゃべり。

神さま「ついに最後のおしゃべりじゃな」

むむさん「うん!今までありがとう!」

神さま「ほっほっ。キミはお礼とかきちんと言えるな。お父さんお母さんが愛情持って、“ありがとう”って言ってる姿を見てきたんじゃな」

鏡の法則...。

神さま「さて今日はもう新しく教えることはない。わしとしゃべったことだったり、この1か月に経験して感じたことをお母さんにお手紙を書いて伝えてあげるんじゃ」

むむさん「うん!」

神さまは軽く杖を振ると
紙と鉛筆が現れた。

むむさんは、「よし」と
気合いを入れて早速お手紙を書き始めた。


神さまとお母さんのおしゃべり。

むむさんが私宛に一生懸命
お手紙を書いてくれている。

それだけでどれだけ嬉しいか。

でもまだ不安が残ってる。
自分が幸せになる方法はわかった。

それが鏡の法則により
家族も笑顔になってくれるのも分かった。

けど...
私は子育てに自信がない。

心にゆとりは出来てきたけど
育児はこのままでいいのだろうか。

この子達は幸せになれるのだろうか?

最後に神さまに聞きたい。
私はどうすれば...



すると突然目の前が眩しくなった。
目が開けられなかった。

光が落ち着き、ゆっくり目を開けると
なんと目の前に神さまがいる。

横には一生懸命お手紙を書いているむむさんが。

神さま「わしを呼んだかな?」

きょきょさん「え?あ、えっと、は、はい」

きょきょさんはまだ驚きを隠せず
うまく返事が出来なかった。

神さま「ほっほっ。そりゃ驚くじゃろ。むむさんには集中して手紙を書く魔法をかけてある。あなたとわしがおしゃべりしてる姿は見えてない。

むむさんが手紙を書き終わるまで、あなたの質問に答えよう」

やっぱり神さまだ。
すべてお見通しなんだ。

きょきょさんは
まだドキドキしながらも
少しずつ状況を把握した。

きょきょさん「あ、あの」

神さま「なんじゃ?」

きょきょさん「むむさんには、他の家族は起きない魔法をかけてあると言っていましたが、なんで私だけ起きられるでしょうか?」

神さま「ほっほっ。そりゃわしが魔法で起こしておるからな」

やっぱり。
2時にぴったり起きれたのも
神さまの魔法のおかげだったんだ。

きょきょさん「なんで?」

神さま「そりゃ、このお話を一番伝えたかったのはアナタだったからじゃ。むむさんはアナタの笑顔を本気で望んでおる。わしはその純粋その願いを叶えたくて、このおしゃべり会の場を設けた。

しかしやはり小3のむむさんには難しい話がある。だからアナタも起こして直接話を聞いてもらったんじゃ」

そういうことだったんだ。

きょきょさん「そういうことだったんですね。実際とても勉強になりました。すごく心の余裕が生まれました。ありがとうございます」

神さま「ほっほっ。それはよかった。けど、まだ最後の悩みがあるんじゃな」

そう。子育ての悩み。

それが神さまの最後の授業になった。


#創作大賞2024
#ファンタジー小説部門

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