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【小説⑦】神さまと我が子のおしゃべり聞いちゃった。〜おかあさんが笑顔になる10の法則〜〈第二夜〉

第1話はこちら。


荷物を下ろす。

神さま「さぁ、わしの伝えたいことも終わりのほうになってきたぞ」

むむさん「なんだかさみしいね」

神さま「ほっほっ。さみしいか。でもな終わりが近づいてるってことは、お母さんの笑顔も近づいてるってことじゃぞ」

むむさん「うん!がんばる!」

私も勝手に学ばせてもらってるけど
本当にいい時間だから少しさみしいな。

けど私もむむさんに負けないくらい頑張らないと。

神さま「今夜の最後は、“心の荷物を下ろす”というお話じゃ。

みんな人生という道を歩くのに、ちと荷物を持ちすぎておる。手ぶらでもいいくらいなのにな」

私たちが持ちすぎてる荷物ってなんだろう

きょきょさんが疑問に思っているところに
神さまはまた黒板を出現させた。
そこにはこう書いてあった。

【心の荷物リスト】
①余計な思考
②気持ちを下げる人づきあい
③使わないモノ
④お金の考え方
⑤不安

余計な思考と人づきあい。

神さま「これがみんなが持ちすぎてる荷物じゃ」

むむさん「あいかわらずむずかしいよ」

神さま「ここまでも難しい話をよく聞いてくれたな。これも今から分かりやすくまとめるからな」

神さま「“余計な思考”とは、『〜しなくてはないけない』という考え方じゃ。大人になるにつれてこれがどんどん増えていく。

本当は人生に絶対しなくてはないけないことは存在しないんじゃ。
けど『大人だから〜しなくちゃいけない』とみんなどんだん苦しくなってる。それを捨てるんじゃ」

私は、「親だから」「母親だから」の
〜しなければいけないをもっと捨てていいのかな。

神さま「二つ目の気持ちを下げる人づきあいも捨ててもええんじゃ。これは小3のキミにも少しあるんじゃないかな」

むむさん「あ、ちょっと分かるかも。友だちに誘われたけどその日は遊びたくないと思っちゃう日がある。

けど断ったら相手がいやな気持ちになるかなとか、みんなが行くのに来ないのかよとか言われないかなとか考えて、つい断れずに遊ぶことがある」

小学生でもそう思うんだ。
大人の世界はそんなんばっかりかもしれない。

ママ友は情報交換とか、同じ気持ちを共感できるすごく貴重な存在だけど、たまに愚痴大会になるのがしんどくなるときがある。

でも愛想笑いして、分かるーなんて反応して。
その日はドッと疲れてるな。

神さま「それも断りたいときは断って大丈夫なんじゃ。むしろ断った方が向こうのためにもなる。

確かに生きてくためには人と人が繋がっていかないといけない。けど笑顔を奪い合っては意味がない

笑顔を増やす人づきあいを意識するんじゃ」

使わないモノとお金の考え方

神さま「見えないものの話をしてきたが、実際の見えるモノが多くても、心のゆとりを奪われるんじゃ」

むむさん「あ、ぼく学校の机の中とか、ランドセルの中散らかってるや」

神さま「ほっほっ。ぜひその中でいらないものは捨ててみなさい。気持ちもスッキリするぞ」


断捨離か。
確かにこれはよく聞く。

よく聞くけど正直めんどくさくて
やってなかったな。

近藤麻理恵さんが
あんだけ世界で有名になるくらいだから
モノを捨てることは人にとって大きな変化が
あるんだろうな。

うん。やる。
今度の週末ちょっと思い切って
いろんなもの捨てる!

神さま「間違えたお金の考え方も捨てるんじゃ」

むむさん「お金の考え方に間違いとかあるの?」

神さま「これも基準は簡単じゃ。お金のことで苦しんで笑顔が減っていたら、その考え方は間違っておる

あ、これも私だ。
毎回ドキッとさせられちゃうな。

特に子どもが生まれてからは
お金に関してすごく敏感になって、
不安になり、常に怖くなった。

神さま「お金は道具じゃ。なんの道具かというと、人と人とを繋げて、笑顔を増やす道具なんじゃ

むむさん「なんか素敵な表現だね。でもどういうこと?」

神さま「人と人は支え合って生きているじゃろ。でももし突然、知らないおじさんに“パンください”って言われたらどうじゃ?」

むむさん「ちょっと怖いかもしれない。家族や知り合いだったら大丈夫」

神さま「そうじゃろ。けどお金は、知らない人同士でも助け合えるようにしてくれた素晴らしい道具なんじゃ」

むむさん「あ!分かった!パン屋とお客さんだ!もしそうだったら知らない人同士でもお金を使って、パンをあげたりもらったりできる!」

なるほど。
お金はそんな素敵な役割だったんだ。

けど私はむむさんに
「お金は無くなったら困るから貯金するんだよ」とか
「そんなお金の話しないの!」とばかり
教えちゃってる。

お金は怖い、いやしいって
教えてるのと同じだ。

神さま「お金は人と人が繋がるきっかけになるんじゃ。でもみんな逆のことをしておる。一人でも生きていくためにお金を稼いで、一生懸命貯金しておるじゃろ。

お金は使うものじゃ。鉛筆や消しゴムを持っているのに使わなかったら意味がないじゃろ?」

むむさん「うん!せっかく持ってても意味ない!」

神さま「お金はどんどん使って、助け合って、人との思い出と笑顔を増やすものなんじゃ。そうやって助け合って、人と繋がっていれば、お金があるない関係なく、幸せに生きていけるはずなんじゃ」

うん。素敵。
お金について考え方が間違ってた。
老後の心配をしすぎず、今笑顔が増えるように
お金を使っていこう。

あ、さっき習ったやつだ。
これも今に集中するってやつだ。


不安を捨てる。

神さま「さぁ最後じゃ。不安を捨てるお話じゃ

むむさん「不安てどうやって捨てるの?」

私が一番知りたいやつ。
不安ばかりで毎日疲れちゃうから。

神さま「不安は自分が勝手に作ってるものなんじゃ。自分がこんなこと起こったら、怖いな、嫌だなという想いが“不安”じゃ」

むむさん「んじゃ自分が勝手に作ってるなら、自分が勝手に消せるの?」

神さま「するどいな。その通りじゃ。不安は自分次第で消せるんじゃ。なぜなら不安は80%は実際に起きないことじゃからな

え?そうなん?
実際に起きないことを私は悩んでるの?

神さま「そして16%は準備をしとけばなんとかなることことなんじゃ。ということは96%、ほとんどのことは不安に思わなくていいことなんじゃ」

勝手に作ってることってそういうことか。
不安はほとんど存在しないのに
私が勝手に不安になってるだけなんだ。

そう思ったら
なんか悩んでるのが少しバカバカしくなったな。

残り4%だけなら
それは起こってから悩めもう。

だってそんな少ない確率のために
毎日不安がるのは確かにもったいない。

うん。
私、不安も捨てれそうだ。


宿題。

神さま「今夜もよく頑張ったな」

むむさん「神さまいっぱいありがとう」

神さま「今夜でキミと会うのは3回目だな。そして来月が最後じゃ」

むむさん「え!」

最後。
なんだかさみしい。

神さまの話を聞けて
いっぱい成長できたからかな。

神さま「さてこの1か月の宿題じゃ。ここまで習ったことをぜひ実践してほしいんじゃ」

むむさん「うん!頑張る!」

神さまは黒板の文字を一瞬で変えた。

【最後の宿題】
①毎日3つの感謝をノートに書くこと。
②毎朝幸せだなぁと呟くこと。
③何かモヤモヤしたら、深呼吸して、「そんな自分も許して愛します」と心の中で呟くこと。
④食事に集中すること。
⑤いらない荷物を下ろすこと。

むむさん「これをやればまずぼくがいっぱい笑顔になれるんだね!そして鏡の法則でおかあさんも笑顔になる!」

神さま「その通り。そして1か月後、おかあさんに手紙を書こう。この笑顔になる方法をキミが教えてあげるんじゃ」

むむさん「うん!ちゃんと教えられるようにまずぼくがしっかりやるね!」

そうだった。
このおしゃべり会は私のためだった。

もう聞いちゃったけど
むむさんのお手紙楽しみだな。

神さま「じゃあまた来月な」

神さまは杖を振りかざした。
気付いたらまたいつもの朝が始まっていた。

#創作大賞2024
#ファンタジー小説部門

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