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「イマ」

貴方は“イマ”を大事に生きているか。
私は正直、そんな風には生きていない。

私が重視しているのは――。いや、世間が重視しているのは“将来”だ。“将来”の為に生きている。半ば強制的に、だ。
イマを大切に生きているヤツなんてクズだ、社会不適合者だ。イマを楽しんでいるヤツはバカだ、ろくな大人にならない。
そんな風潮が蔓延っている。それが正解じゃないことは皆分かっているんだ。私も。

でも将来を確かなモノにする事にこだわっていたら、イマなんて楽しめない、私たちマジョリティは人生を楽しめていない気がしてならない。そうだってのに、イマを大切に、イマを重視して、イマを楽しんでいるマイノリティのヤツらの人生はキラキラしてて楽しそうだ。絶対そっちのがいいに決まってる。いずれそれが妬み僻みになり、結果的に悪者扱いしてしまうんだ。「イマを重視しているヤツらはバカだ」と。

でも、私たちマジョリティは楽しみたい。
だから音楽や小説、映画にドラマが流行る。
作中の登場人物たちは「イマを楽しんでいる」ヤツらだ。それに自らを重ね合わせ、彼らの人生を疑似体験する。

「人が小説やドラマを観るのは、人生が1度きりであることへの抵抗だ。」

どこかでそんな言葉を聴いた。
自分の人生が華やかな物じゃない、ドラマみたいな生き方なんかできない、映画みたいな経験なんかない、小説みたいな可笑しな知り合いもいない。
でも、それを体験したい。煌びやかな人生を送っていない我々だってそんな経験をしても良いはずだ、人生が1度きりなんておかしい。
だから、私たちは映画を観るんだ。小説を読むんだ。音楽を聴くんだ。決して派手とは言えない真っ白な人生のキャンバスに色を塗っていくんだ。各々自分だけの人生にする為にペンキをぶちまけるんだ。

「イマ」を重視していて生きるのは難しい。
でもどうにかして楽しむ術を模索する努力はすべきだ。それは私たちを人間らしくしてくれる。

マスカットのフレーバーが入ったVapeを徐に吸って、吐く。とりあえず今夜は音楽を聴いてみようと思う。

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