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ツイッターやお題などで書いた140字程度からのSSを掲載
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香水は大人なカホリ

付き合いたてDKのBがLしてるお話です。 「しゅん、帰るぞー」 「あーい!」 教室のドアのとこに隣のクラスから来たひーちゃんが立ってる。ちょーイケメンの幼馴染。 そんなひーちゃんは実を言うと俺のカレシだ。まだ付き合って1週間のぴちぴちのカップル。 鞄を背負ってひーちゃんに駆け寄れば、冷やかしが飛ぶ。でも俺は満面の笑みで返してやる。ラブラブ参ったか! 「かーわい」 そう言ったのは、甘々な蕩ける笑みを浮かべるひーちゃん。俺の頭を撫でて、見せびらかすように頭を引き寄せた。ふ

君・涙・花を使って文を作ろうそれがお前の求めているシリアスだ やっとここに来れた。君の眠るこの場所に。 行けるのなら、君の元に行きたい。 行って、君の笑顔をもう一度見たい。もう一度抱きしめたい。もう一度、声が聞きたい。 一粒の涙が石を濡らしたとき、小さな手が一輪の花を供えた。

おっさんがキュンキュンする話

「おじさーん」 俺の家に入り浸っている甥が俺を呼んだ。 「あ? おじさんって呼ぶなよ。年取った気になるだろ」 「もう40じゃん。十分お・じ・さ・ん」 若い時からずっと構ってきた奴にオジサン呼ばわりされるのはどこか腹が立つ。 「うっせ。ガキは飯食って寝てろ」 俺がそう言って、晩飯の大皿をテーブルに置くと、甥が眉を寄せた。 「はぁ? 俺ガキじゃねぇし。もう二十歳超えたし」 「俺の半分しか生きてねぇなら、ガキだガキ。ほら、冷める。早く食えよ」 甥は全く手を付けようとせ

思い付きSS BAD/HAPPY分岐あり

自分に見合わない美青年から熱烈な告白を受けて、からかわれてたり罰ゲームだったりするのかなぁ、って最初は警戒して断ってたけど、 何回も何回も当たって砕けてくる美青年に折れて付き合うことになって、でもやっぱり不安なこともあって、いつ振られても良いっていう気でつきあってた。 けど、半年経っても一年経っても、美青年の愛情は変わらなくて、反対にぐずぐずに融かされて、美青年がいないと生きていけないぐらい、心も体もベッタリ惚れてしまった平凡な青年。 その平凡な青年は、抑えきれずに自分から初

「これとこれと…あれも買って」 僕は我儘で欲が深いフリをする。彼は「してあげる」ことが大好きだから。 僕に物欲や我儘を言うほどの強い自我もない。だから彼の気を引くために毎日頭を働かせる。 本当は傍にいれば十分。でもそんな陳腐な自分を押し殺して、今日もまた彼の横で唇を尖らせるのだ。

恋人繋ぎで肩を寄せ合う双子のような彼らは我らが癒し。 額を合わせてクスクス笑い、掠めるようにキスした後、周りを見回し二人してホッとする。お互いに顔を見合わせ、堪えきれずにまたクスクス。 皆見ていないフリをするのは慣れたもの。彼らの空気を汚さぬよう、見守り隊は今日も横目で観察する。

僕は庭にある雨に濡れる花達に視線を移した。まだ蕾は硬く、花開くには少しの時間がかかるかもしれない。でも僕は知っている。この花が何色の花を咲かせるのかを。 「こんなに好きでごめんね」 縁側から庭に降り、雨に打たれることも構わず、紫陽花の蕾にキスをした。 かわいい赤い花を咲かせてね。

僕・君・包丁で文を作ろうそれがお前の性癖だ リズミカルな包丁の音がする。 「ごはーん」 君は呼ぶけど僕は寝たふり。また「ご飯!」とキッチンから叫び声。 「起きろバカ」 しまいに君はお玉で僕の頭をポカリとやる。のそのそと起き上がると目を吊上げた君と目が合う。 ああ、今日も幸せだ。

#爪・死・僕で文を作ると性癖がバレる 死にかけてた僕を拾ってくれた御主人様。 甘えるように首に抱きつけば、「爪が伸びてきたね」と僕をあぐらの中に座らせて、パチパチと爪を切る。 見上げれば、「痛かった?」と眉尻を下げる優しさに、僕はウルッときてしまう。この人に出逢えてよかった、と。