2023.12.03 正解がない問い

 pour overを毎日初めて数日が経ちました。淹れては飲んでを繰り返し、その途中で自分の技術を向上させるのはもちろん、それによってのテイストの微妙な変化を見ていく日々で。今日はまずここ数日のテイストに関して、それと現時点で感じている自分の課題みたいなもんを書いていこうかな。

 まずはテイストについて。今現在自分が使っている豆はPALLET COFFEE ROASTERSさんの豆で、パケに書かれているテイストは「very juicy and floral berries with sweet candy」で。(カナダ行ってたくせに訳に自信がないんで載せません。各々訳してください。笑)そもそも、珈琲にこんなテイストの表現があるなんてどれだけの人が知ってるんだろう。なんならコーヒー = 苦いものって括りでまとめている人も多いんじゃね?って思うわけで。テイストの深さを知ったのはそれこそカナダで受けた講習会で、人生初めてカッピングを体験させてもらった時ですよ。自分も趣味程度だけどコーヒーはずっと好きで。お店を変えて飲み比べて違いを感じながら自分の中での美味しいとかちょっとちゃうなを感じてはいたんです。でもその時に使ってた表現って、酸味がどうとか苦味がどうとか、後味(今となってはちゃんとアフターテイストって言葉使うようになったけど、別にこれ海外かぶれとかでなく、用語としてみんな使ってて笑)が強く残るとか残らないとかその程度。今思うと薄っぺらい表現しかしてなかったなって恥ずかしくなります。でもカッピングではもっと深くそれらを掘り下げていって。じゃあ、酸味について話をしていくときで行きますか。(この話すると初めてのカッピングを思い出します。あの時間はもはやトラウマレベルの地獄でした。)酸味が強いor弱い。一言で言うとこれで終わり。じゃあその酸味ってどんな酸味なんだろうって深掘りしてくんですよね。フルーツで例えるのが一般で。シトラス系とかベリー系とかそんな具合に。それ聞いた時、この人たちは一体なんの話をしているんだろうと超絶アウェイ感で。しかし僕もめげないで立ち向かったんです。何度も飲んでみて、頭の中ではシトラス系だのベリー系だのをイメージして、みんなが「このコーヒーはシトラス系のテイストを強く感じるよね」って言ったらそれ連想して。すると不思議なもんで、皆さんがシトラス系って言ったのとベリー系って言ったのを飲み比べてみるとはっきりわかるんですよね。違いだけは。最初はもう呪文のように聞こえていたそれもテイストし続けると意外とわかってきて。あれはもう感動しました。なんかワンステージ上がれた感じ。あぁそう言うことね的な。でも地獄はこんなもんでは終わらなくて、次の瞬間「シトラス系でもどんなシトラス?」とかまたエグいこと投げつけてきて。今やっとそのシトラス感じ始めた人間に、さらにそのシトラスの中身を区別しろって無茶な。歩き始めた赤ちゃんに次の瞬間走れって言ってるようなもんぞと一人心の中で絶望パート2をしながら、「シトラスはシトラスやろ。」とぼやいたのを覚えています。(誰にも聞こえてないことを祈るし、なんならあの時の自分はもう顔に絶望が滲み出てた気がします。)で、自分からは一切声を発さず耳だけを傾けていると、「オレンジみたいな柔らかい感じ」とか「レモンとかみたいな鋭い感じ」とか。あぁそうやって具体的にフルーツに例えつつイメージを膨らませていくんだと思って。でもそこで速攻思ったのは「それ主観でしょ」っていう性格の悪さが滲み出たツッコミで。そんなの目に見えやんし、なんならみんな同じの飲んでも違うこと言ってんやから終わりやん。って。したらそのまま話がこう続いていって。(記憶の中だけど大体こんな感じのこと言ってて。)「同じコーヒーを飲んでいるはずなのに感じ方が違うのは、その人が今までどんな食生活をしてきたかとか、その日の体調とか、直前に何食べたとか、そう言う些細なことで変わって。だから感じ方も人それぞれで。この感じ方は美味しいとか美味しくないとかそう言うのじゃなくて、単にどんなテイストに感じたかって話で。だからこそカッピングは大勢の人と、なんなら初めましての人とやるのが一番楽しい。自分にない視点で観点でコーヒーを表現する人に出会えたり。何より自分一人でやってると、着眼点みたいなものが凝り固まってしまって、新しい発見が見つからないから。だから正解はなくて。」って。そうだよな。って一人で納得して、それと同時に一人ではやってけないじゃんってなって。教員やってた頃は僕理科教えてたから絶対1個の答えが決まってて。それかそれじゃないかが全てで。でもコーヒーのテイストや今僕がやっているpour overの淹れ方には答えがなくて。誰かが自分と違うからそれは違うって言ったらそれは単なるエゴで。うわもうこれ終わりがないなって思いました。それこそ最初にそれを感じた時は、果てしないな。とちょっと絶望したけど、今はそれすら楽しいと思えてて。

 そしてその中でもう一つ腑に落ちた話があって、さっきの話の後に続いた話なんだけど。「美味しいおいしくないって言うのは、正直人それぞれで。だから一言にこのコーヒーは美味しいとか美味しくないとか言いずらくて。もちろんスペシャリティコーヒーに区分されている豆とそうでない豆を比べたらそもそもの豆が持つポテンシャルに大きな差が出るからその差は埋められないけど、それで一概に下のレベルに区分されてる豆は美味しくないって言うのは違くて。それを美味しいねって飲んでる人もいっぱいいるわけで。だからそれってもはや合う合わないだよね。」これがすごく腑に落ちて。それで改めてコーヒーをもっと勉強しようと思って。それと同時にじゃあコーヒーを淹れる立場になろうとしている自分には何が必要かって考えたら、その豆が本来持つポテンシャルを最大限に引き出す方法を性格に捉えること。のような気がします。そのためにはテイストの取り方、抽出技術や方法それぞれが持つ特徴を性格に理解すること。そこが第一歩のような気がして。

 そのためにいろいろなことを日々試してそれを記録として残してひたすらコーヒーと向き合い続けるしかないと改めて実感しました。一緒にコーヒーしてくれる誰か見つけるのも大事だなって思います。今は実家暮らしでコーヒー淹れる時に祖父が来て少しくれって言われてあげてるけど、もちろんテイストなんて聞いてもわかるはずもなく。僕が飲むはずだったのを。ってなってますよ。


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