春愁

Mrs.GREEN APPLEさん 『春愁』の歌詞をLLMに読み込ませてプロットを書き出して、プロットから書き起こした小説です。

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砂漠の風が乾いた頬を撫でる。
視界を遮るほどの砂嵐の中、光り輝く扉だけが異様な存在感を放っていた。
扉の向こう側には、かつて僕たちが生きていた世界が広がっている。

「光る扉を抜けて元の世界へ君を連れて帰る。」

決意を込めた声で僕は告げた。
この世界に呼ばれた意味があるとすれば、それはただそれだけだと信じている。

確かに、世界はクソだ。
絶望と虚無に支配された世界で、生きる意味を見出すことは難しい。

「確かに世界はクソだ」
「君が言ったようにあちら側の世界で生きて死ぬ事のほうが幸せなのかもしれないと思う」
「それでも僕はそれを認めるわけにはいかない」
「なぜなら、僕はもう君をひとりで悲しみの縁に置いていかないと決めたからだ」

僕は君に話しかける。
君からの返事はない。

「……覚えてる？中学生の入学式の日に桜が舞って、君が『綺麗、早いものね』とつぶやいた時、僕は心から嬉しかった。君とまた一緒の学校で過ごせる時間が何よりも楽しみだったんだ」

あの日の桜は、まるで希望の象徴のように輝いていた。
しかし、夏休みが明けた日、僕は彼女がいじめにあっているという噂を耳にした。

「……でも、君はいじめを隠して『今までみたいに一緒にいると誤解されるから』と言って僕を遠ざけた。僕はそれが君の優しさだと気づいていたのに、ひとりで抱え込んでいく君をただ見ていることしかできなかった」

苦い思い出が蘇る。
彼女の優しさが、僕を苦しめた。
それでも、僕は彼女を見捨てられなかった。

「大嫌いだ。みんな大嫌いだ」
「でも、僕は僕自身が一番嫌いだ」
「君のことを見て見ぬふりしてしまった自分が大嫌いだ」

「……『振り向いたらダメ』耳元で声が聞こえる。」

誰かが小さく呟いた。
わかっている。今振り向いたらきっと光の世界は崩れ落ちて、また砂漠の世界に逆戻りしてしまうんだろう。

「……わかってる。振り向かない。この光を抜けて、君を元の世界に連れ戻す。」

僕は力強く彼女の手を握り締めた。光が強さを増し、視界が白く染まっていく。

光の中、僕はただ前に進む。彼女を、そして僕たちを救うために。