見出し画像

ぼくがむかし買った本

 本棚を漁っていたら、むかし買った本がいくつか見つかった。むかしというのは具体的には2015~2017あたりと思われる(多少ブレはあるだろうが)。どれも新品のものを買っていたから、出版された年を見る感じこのあたりのはずだ。2015年なんて大して昔じゃないよと思われるかもしれないが(ぼくも数字だけをみればそう思う)、買った本のラインナップがいまとかけ離れているのでずいぶんむかしという感じがするのだ。これらを晒すのは結構恥ずかしいのだけど、個人的にも興味深いので、頑張って書いていく。それじゃあ一冊目。

パオロ・マッツァリーノ 『「昔はよかった」病』2015年

 2015年、ということはぼくが中1か中2のときに買った本だ。この本はしっかり読んだのでよく覚えている。日本に詳しいイタリア人の著者が、日本社会についてエッセイ風にいろいろ書いたものだ。「凶悪犯罪が増えたとニュースではよく言ってるけど、犯罪件数はむかしより減っていて、治安はむかしより良くなっているよ!」みたいな話を面白おかしく書いている。

 ああ、やっぱりこのころからひねくれていたんだなぁと思う。長者番付に関する話をしている章で、「人より仕事しろとか言っといて、自分は結局、本業でない不動産売買で大金を手にしたんじゃねえかと思うと、なんか釈然としません。」という文に線を引いているあたり、今のぼくの精神性はこのあたりで育まれたようだ。

 ほかにもパオロさんの本で『ザ・世の中力』というのも買っていた。これは、上の本にいたく感動して、ほかの著作も読みたいと思い手にしたものである。この本は副題に「そのうち身になる読書案内」とあるように、やはり日本社会に対するエッセイと、それに関連したパオロさんおすすめの本が紹介されているものだ。

 いま読み返して驚いたのだけど、この本のなかに中島義道の『怒る技術』が紹介されていた。ぼくは(たしか)中島義道から哲学に興味をもったので、ここら辺からそっちの道に導かれていったのかもしれない。とにかく日本社会が嫌いだというパトスが伝わってくる。

 二冊目は向谷匡史『悪の交渉術』2015年

 ・・・。正直これが一番キツイ。当時からコミュニケーションに不安を感じていたのがうかがえるが、なんというか、こんな本を買っていたのだねぇ。ちなみにこれは「あくの交渉術」ではなく「ワルの交渉術」と読む。副題は、「一流ヤクザからホストまで、ヤバい勝ち方教えます」。ホストでもビジネスマンでもない中学生が、なぜこんな本を買ったのかと言いたくなるが、一応しっかりと最後まで読んだらしい(最後までマーカーが引いてある)。一つ確かなのは、これらの「交渉術」は全然身についていないということだ。

 戸塚隆将『仕事の基本』2017年

 ザ・自己啓発本。中三のときに買ったものと思われる。この時には「自己啓発」という言葉すら知らなかったはずだが、なにか惹かれるものがあったらしい。仕事なんてまったくしてないのに購入している。しかし3割ほど読んだところで線が引かれなくなっているので、あまり読んでいないようだ。前述のようにぼくはひねくれていたので、自己啓発本(ビジネス本?)の美辞麗句はウケなかったようだ。ただ、バラクオバマの「困難のなかで希望を。不確かさの中で希望を。大胆な希望をもとう!」という言葉に付箋が張ってあるので、このころから米民主党を支持していたらしい(違うか)。

 アランの『幸福論』2012年 (いつ買ったかおぼえていない)

 これは今までのものとは違い古典。しかし原典のアラン『幸福論』も持っているのだが、最初に買ったのはいわゆる超訳のものなのだ。ブックオフに行くと必ず一定数は置かれている、分厚いのに反比例して文章の少ない、偉大な思索を陳腐化した代物。あの「超訳○○の言葉」というやつである。

 これを一通り読んで気に入ったぼくは、つぎに原典を買った。実は最初に超訳の方を買ったときは、これが簡略化したものだとは気づかず、文庫のアラン『幸福論』を見つけて初めてこっちが本物であることに気づいたのだ。それで文庫の方を読み始めたのだけど、これがちっとも面白くなくて、はじめの2章くらいで読むのをやめてしまった。いまでもそのままである。

 以上、いまのぼくに成る前に買った本たちである。ちなみに漫画はそのころからぽつぽつ買っていた。「暗殺教室」とか「ワールドトリガー」とか。中島義道から哲学に興味をもったと書いたが、最初に手にしたのは『働くことが嫌な人のための本』だったと思う。本屋で偶然この本と運命的な出会いを果たしたことから、いまのぼくが始まったといっても過言ではない(と思う。少し記憶があいまいだが、、、)。一時期、中島義道の厭世エッセイをひたすら読んでいた時がある。「これはおれのことか、、、!」と思い(よくあるやつ)、いつのまにか本棚は(ムダにたくさんの)哲学系の本で埋め尽くされることとなった。

追記
神岡真司『賢く人を操れる「ブラック」会話術』2015年
 こんなのもあった、、、。ほとんど読んだ覚えなし。知的生き方文庫というところから出版されているが、あんまり知的な感じはしない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?