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hi3tika
静かな風景
私の落ち着ける風景。
思い出したの田舎道に1人、高い空を眺めながら秋風の洗礼を受けている情景だった。
打ち付ける風は少し冷たくて秋の匂いがした。
空はどこまでも悲しそうな青をたずさえて、けして手の届かない遥か彼方にただそこにあるだけ。
子供心にこの痛みも風でさらって空に吸い込まれればいいのにと思った。
そう思えば思うほど、じわりじわりと痛みを取り戻していく心。締め付けられるように感じる痛みに、ほんの少し涙が出そうになった。泣いたって誰も見ていないのに。誰も傍で大丈夫の一言もかけてはくれないのに。
ああ、痛いんだなぁと地に足の着いた心の傷を抱えて、鉛のように重たい足を持ち上げて帰路に着く。
ここしかない、ここしかない
帰れる場所はここしかない。
例えどんな仕打ちを受けても暖かい布団で寒さを凌げる場所は、ここだけだ。
古いフィルムを見たような気持ちに、不思議と心は落ち着いた。1人でいるのにしがらみがあってどこにも行けない。そんな過去の自分と救われたかった心がちゃんと痛いと叫んでたあの姿が、笑っちゃうほど情けない、子どもの姿で痛みをこらえてるあの背中が僕だ。
まだまだ、あの頃から動けないのだろうか。
時間は流れてもあの時の心象に解離していくだけで、僕はまだあの時の君の涙の行方を知らないまま。
「大人の振りなんて出来ないですよ」
乾いた笑いがただただ、ぎこちないだけなんだ。
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