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#1. 困った子たちが困っていること ①

うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。今回は過去号をアップします。2020年の8月号です。

周囲の大人や家族を困らせる行動をする子に出会うことはありませんか? 例えば、外では大人しいのに家で暴れる子、逆に家では言うことを聞くのに外で落ち着かない子、周囲になじめずにすぐ手が出る子、担任によって行動を変える子。大人たちは天邪鬼と言い、「外で頑張っているから仕方ない」と言い、親のしつけを責め、発達障害を疑います。発達障害の特性を満たす子には、発達障害の治療を行いますが、上手くいかないことも多いです。この様なお子さんがかかりつけの先生のご紹介で当院を受診されることは決して少なくありません。

以前、当院で幼児の一時保護委託を受けました。その子は大きな怪我を負っていて、安静が必要でしたが、多動で反抗的で、時に過度に甘えん坊で病棟スタッフを困らせました。スタッフは「親の養育が不適切だったから」、「こんなに大人を困らせるなら、虐待を受けても仕方なかったのかも」等と考えました。私たちはカンファランスを開き、できる限りの対応をしましたが、最後まで行動は変わりませんでした。別の小学生は、家庭内で母親に対する暴言、暴力がひどいため受診しました。学校では大人しく、家での行動の片鱗も見せません。こだわりや感覚過敏があり、自閉スペクトラム症+二次障害と診断して薬物治療を行いましたが、効果はありませんでした。ソーシャルワーカーや心理士が介入して、幼児期に父親から母親へのDV場面を頻繁に見て育ったことが明らかになりました。母親に対して、父親と同じ行動をしていたのです。なぜ、危害を加えないスタッフを困らせるのか、嫌だったはずの父親と同じことを母親にしてしまうのか、私にはうまく説明ができませんでした。最近、彼らの行動を説明するキーワードを、とある先生に教えていただき、遅ればせながら私も勉強を始め、腑に落ちる経験をしました。おっと、字数が足りません。詳しくは次回お伝えします。来月もよろしくお願いします。(2020年8月)


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