薄焼きチャレンジャー

薄焼きたまご。

ケチャップライスに乗せたり、焼きそばに被せたり、冷やし中華の具にしたりする。お馴染みのアレだ。

実はうまく焼けた試しがない。正確には焼けるがフライパンから移す行程で毎回失敗する。

原因は2つほどあるのがわかっている。ひとつは、フライパンにくっついたたまごを剥がすときにフライ返しではなく、お箸を使うから。

もうひとつは、フライパンが大きいので料理するとものすごく腕が疲れるためだ。

それでも箸を使おうとするこだわりの理由は『なんかそっちの方がカッコいいから』。

幸い、薄焼きたまごは自分しか食べない(他人に振る舞う際は薄焼きたまごを使わないメニューで回避する)ので見た目がボロボロになっても美味しくて口に入るなら特にこだわらない性格だが、やはり薄焼きたまごをカッコよく焼きたい!

そんな思いを抱きながら先日も薄焼きチャレンジをした。

そして、ついに奇跡は起きた!

フライパンからとても綺麗にたまごを剥がすことに成功したのだ!あとはフライパンからお皿の上のソバメシに乗せるだけ!いざ!

と、ここで問題発生。フライパンがとても重いことに気づいたのだ。お箸は右手派なのでフライパンを支えるのは当然左腕なのだが、疲労を抱えた筋力が耐えきれず異様にフライパンが震えてしまう。体感震度4くらいガタガタする。

必然的に私の薄焼きたまごチャレンジは、震度4の中でお皿にたまごを移すというハードモードに変化した。

しかし、ようやく訪れた薄焼きたまごチャレンジ成功のチャンスなのだ。負けるわけにはいかない。

落ち着いて一度フライパンを持ち直そう。と、左腕を動かした。

「……あ゛っ!」

致命的なミスを自覚するも時既に遅し。初の成功(予定)薄焼きたまごは右手に持ちっ放しのお箸が突き刺さり、真ん中から裂けてしまった。ついでに箸を戻した勢いで跳ね上がったたまごが綺麗に丸まり、薄焼きたまごからちょっぴり厚焼きたまごへと進化した。

そう、またもや薄焼きたまごチャレンジに失敗したのだった。

しかし、諦めない。今度こそお箸で薄焼きたまごを焼き、綺麗に乗せてみせる!

私はまだ登り始めばかりなのだから。この果てしなく遠い薄焼きチャレンジャーの道を……。












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?