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東京の木が多摩産材になるまでの流れ

こんにちは。CODESIGN TOKYO の福永です。
ベランダで育てているゴムの木が大きくなったため、冬に伐りました。
暖かくなり、小さく新しい葉が次々と顔を出し、植物の生命力ってすごいなと感じています。

昨年から「日本の森林のこと」「東京の木」についての、「cocomoku-子どもたちの未来のために-」シリーズとして記事を更新しています。
シリーズの記事はこちら

「東京の木・多摩産材エコツアー」に参加

2022年12月12日に「東京の木・多摩産材エコツアー」に参加してきました。
エコツアーのスケジュールとして、最初に多摩産材の森に登りました。
そこで、木一本一本何年もかけて丁寧に作業し、管理し育てていても、自然現象で二股になってしまった時点で売れないという厳しい現状。そして、広葉樹も間伐を行うことを知りました。

原木市売市場(げんぼくいちうりしじょう)に移動しました。原木市売市場のことを、原木市場(げんぼくいちば)と呼ぶのが一般的だそうです。原木市場では、せりの流れやどういった木材が売れるかなどを聞きながら、見学させてもらいました。

木を加工する製材所へ

原木市場から車に乗り、製材所へ移動しました。
製材所には、原木市場で購入した丸太が運ばれます。そして、1本1本機械で操作しながら皮を剥いていきます。木の皮を樹皮(じゅひ)といいます。また、バークともいうそうです。

2と3に写っている真ん中の赤いカッターのようなもので、皮を削り剥いていきます。

皮を剥いた木はみずみずしい

皮を剥いた木を実際に触らせてもらったのですが、水分を含んでいて、ビックリするくらいとてもみずみずしかったです。
そこで「木がこんなに水分を含んでいて腐敗は大丈夫なのか?」という質問がありました。
多摩川では昔、木を運ぶ重機がなかったため、水を溜め鉄砲水のようにし、川の流れも利用して木を流し運んでいました。なので、木は水をたくさん含んでいても昔の知恵から大丈夫なことがわかると教えていただきました。

剥かれたたくさんの樹皮が機械の端から出てきます。

木は捨てるところがないが、使い勝手が悪いといわれている部分もある

木材に加工するために、すべての木の皮を剥きます。したがって、大量の樹皮が出てきます。しかし、それは無駄になることなく利用されます。
ここでは、ごみ処理場へ助燃材(じょねんざい)としてバークと端材を販売しています。

丸太の使えない部分も販売しています。

丸太の端の太い部分を元口(もとくち)、細い部分を末口(すえくち)といいます。こちらは使い道がない場所だそうです。こちらも販売していますが、買い手が見つからない場合、割って助燃材にし加工し販売します。

次は木取り(きどり)という作業です。丸太を製材する時に、どんな材にするのかを考え製材します。丸太の状態で購入し、角材に加工するので、端の部分をできるだけ無駄のないよう最小限にすることが重要になるそうです。

丸太を角材に加工します。右の写真は加工の際に出た端材です。

端材は、右側の写真のようにすべてが同じサイズになるわけではないので、使い勝手が悪いとされています。いくつかの端材は紙の原料にもなりますが、多く発生するため「何かよい使い道があればいいのですが…」というお話をされていたのが印象的です。

木を乾燥させる作業は、とても大切

次は、木材を乾燥させます。方法としては、自然乾燥と機械を使った方法の2種類あります。なぜ、木材を乾燥させないといけないのか。それは、木材を乾燥させると、硬くなり折れや曲がりにも強くなります。また、変色や腐食を防げます。皮を剥いた状態で触った時に、とてもみずみずしく感じたので、乾燥させる工程はとても重要だと感じました。

左の機械は、木材乾燥機です。

人工乾燥をする場合、写真の右のように干割れ(ひわれ)といわれる加工をします。これは、木を割れないようにするための加工です。
自然乾燥のことを天然乾燥ともいうそうです。自然乾燥の期間は、なんと半年から1年!木を育てるのに50年以上かかり、その後また1年と考えるととても長いです。木材ってとっても手間がかかっている材料であることを、あらためて深く感じました。

森林認証とは?

製材所で見つけた「TOKYO WOOD」と「SGEC」という文字

加工された木材に印字された文字と木材の保管場所に貼られていた紙

厚木市場では、原木に多摩産材マークの「多」という文字が印字されていました。そして、製材所にある木材には「TOKYO WOOD」「TOKYO WOOD普及協会」と印字されていました。

TOKYO WOODとは、ブランドです。
東京・多摩地域で生産された桧や杉などの木材を、東京で利用するという地産地消。それは海外から木材を運ぶことで起こる環境負荷を軽減します。TOKYO WOODの家づくりは、東京の森林の健全な木材生産サイクル、自然環境を維持し、「東京の森を守り、東京の林業の活性化」に貢献しています。

TOKYO WOOD HPより

「地産地消」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。一番身近な地産地消は、野菜などの食べ物ではないでしょうか。どこの産地かわかるように印字されています。また、その土地の野菜を販売しているスーパーもあります。

木を使った家具や小物を買う時に、なんの木を使っているかは表記されていることもありますが、どこの産地か書かれていることはあまりありません。

しかし、最近では木材の地産地消をうたっている施設も増えてきました。
CODESIGN TOKYOのオフィスからすぐに行ける距離にある「国産木材の魅力発信拠点 MOCTION」「WITH HARAJUKU」「渋谷区北山公園」も多摩産材を使っている施設です。
実際にその3つを訪れましたが、木がたくさん使われており、多摩産材が使われていると知らなくても、とても魅力的な場所でした。
多摩産体情報センターのHPで使用事例を見れます。

木材の地産地消で、東京の森の森林サイクル「伐って、使って、植えて、育てる」が保たれていってほしいと願い、私にもできることがあれば貢献していきたいです。

「SGEC」とは?森林認証とは?

「緑の循環認証会議 SGEC(エスジェック)」とは、Sustainable Green Ecosystem Councilの略称です。2003年に創設された国内の森林・林業・木材業界、学会、経済界、環境NPO等70数団体の総意のもと、日本独自の森林認証を行う機関です。
また、「PEFC(ピーイ―エフシー)」「FSC(エフエスシー)」は森林管理のための国際認証制度です。

森林認証とは、世界の森林を保護する制度です。木材が、持続可能に管理され森林から伐採されたものであることを証明する仕組みです。 製品が消費者に届くまで原材料の認証情報を追跡することにより、認証の連鎖を確証し、商品にロゴマークをつけられます。

森林認証制度のしくみより

持続可能な森林管理の基準として3の柱があります。

森林認証制度のしくみより

これらがバランスが守られることにより、森林は持続可能に管理されるそうです。そして、私たちにできることとして

  • 地球環境、森を守るマークの「SGEC」「PEFC」があることを知る

  • お買い物の時に「SGEC」「PEFC」の環境マークがあるかをチェックする

  • SGEC製品、 PEFC製品の商品を購入してみる
    SGEC製品、 PEFC製品を買うことで、森林の保護、環境の保護だけでなく、地元住民への就労機会や森林所有者の収入に、私たちは貢献できます。

知ること・学ぶことを続け、発信したい

以前のnoteの記事で、私は子育てで思ったことに関して、こんなことを書きました。

自分がわからないこと、体験したことがないことは、誰がどんな時に困っているのか、目につかない、気づかない、想像できないと思います。
だからこそ、私は自分が体験して感じた、「よかったこと」「あったらいいな」と思うことを声にし、また、皆さんの声を聞いて、こうしてnoteを書いています。

キッズトイレが増えて欲しい

それは、今回の日本の森林、東京の森、林業のことに関してもまったく同じ想いです。

私たちCODESIGN TOKYOは、
子どもたちが育つ未来のためにできることはないかな?
子どもたちの笑顔につながる事業を興したいな。
そんな想いから、国産木材の魅力発信拠点 MOCTION(モクション)に足を運び、「東京の木・多摩産材エコツアー」参加しました。

足を運び、現場を少しですが体験し、声を聞くと、知らない現状をたくさん知りました。そして、noteを書くことで再度調べなおし、より日本の森、東京の木、林業について学べたと感じております。

これからも、体験したこと、学んだこと、実際の声を聞いたことを発信していきたいです。

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