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みんなのコード_学校教育マガジン

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記事一覧

中学校「技術分野」の教員不足が解決されるのは2028年度?文科省の調査を解説!

こんにちは。政策提言部の田嶋です。 「文科省が調査を予告!中学校「技術分野」の教員が足りない?」を書いてから1年が経過し、予告されていた中学「技術・家庭科」技術分野(以下、技術)の教員の実態調査の結果が公表されましたので、ご紹介したいと思います。 中学「技術」の指導体制も充実しよう!2024年2月13日に発出された「中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制の一層の充実について(通知)」(以下、本通知)には、分かりやすくいうとこんなことが書いてあります。 参考までに、昨年

高校の授業で生成AIを使ってみた〜生成AIが引き出す生徒の「創造力」と「健全な不安感」〜

こんにちは。みんなのコード未来の学び探究部の永野です。 昨年は生成AIの普及が急速に進んだ1年でしたね。学校現場でも、どのように活用していくか、文部科学省が2023年7月に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を発表しました。このガイドラインに基づき、一部の学校がパイロット校として指定されました。これにより、今年はさらに多くの学校で生成AIを用いた授業が実施されることが予想されます。 昨年は、みんなのコードでも、多くの学校のみなさんの協力い

「私なんて」と「困ってない」。それでも女性教員へのプログラミング教育機会が必要だと思う理由

小学校を中心とした研修を担当している未来の学び探究部の竹谷です。 みんなのコードは、2021年度から、女性教員向けに特化したプログラミング教育の教員養成プログラム「SteP」を提供しています。研修に留まらず、参加された先生方の力でどんどんすてきなコミュニティになってきています。しかし、まだ十分とは言えません。そこで、なぜ、活動を広げる必要があるのか、そのために必要なことは何かについて考えてみました。 これまでの活動の様子については、以下記事もご参照ください^^ 女性教員の

小学生がAIと2,500回の会話〜印西市立原山小学校の実践授業〜

小学校を中心とした研修を担当している未来の学び探究部の竹谷です。みんなのコードは、2023年4月に千葉県印西市と連携協定を結び、中でも先進的な取り組みを進めている印西市立原山小学校の情報教育に関わるカリキュラム開発を支援しています。 みんなのコードは、文部科学省が発表した「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」の有識者に選定されました。この授業の内容や得られた知見は、有識者として文科省にも伝えており、ガイドライン策定に当たっても参考にされた貴重

女性教員の力で学校の景色を変える!プログラミング教育コミュニティ「SteP」

小学校を中心とした研修を担当している未来の学び探究部の竹谷です。 みんなのコードでは、2021〜2022年の2年間、女性教員向けに特化したプログラミング教育の教員養成プログラム「SteP」を提供し、2023年現在はその参加者の皆さんが集うコミュニティの運営を支援しています。 今日は、これまでの取り組みと今後についてお伝えします。 なぜ女性教員向けに特化?不自然な事実に直面みんなのコードは、公教育におけるプログラミング教育の普及活動を続けてきました。その中心となる取り組み

情報教育の未来を考える”若手”勉強会第1・2回開催レポート〜情報教育の未来をみんなで構想中〜

こんにちは。みんなのコード政策提言部の田嶋です。 みんなのコードでは、今年5月から「情報教育の未来を考える”若手”勉強会」(以下、若手勉強会)を月に1回開催しています。 教員、研究者、民間企業など多様な方々が集まって、毎回アツい議論が繰り広げられていますので、その一端をレポートしたいと思います。 なぜ始めたの?若手勉強会は、「主に小中高の情報教育のあり方に興味をもち、未来を創る視点をもった”若手”がフラットに議論できるコミュニティを構築すること」を目的としてスタートしま

文科省「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」  〜自力で読みたい人のために、補助資料を作ってみた〜

こんにちは。みんなのコード政策提言部の田嶋です。 みなさんは、文科省から発出された「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」(以下、ガイドライン)をもうご覧になりましたか? ガイドライン公表後、解説記事や動画などを出している方々もいらっしゃるので、そういったものも参考になるかと思います。一方で、解説者の解釈が入っていたり、情報が漏れてしまったり、細かなニュアンスが伝わらなかったりするので、やはり一次情報であるガイドライン本体も読むことが望ま

20年近くずっと必修?高等学校の教科「情報」は何が変わったのか

みなさん、こんにちは。みんなのコードの未来の学び探究部の永野です。 最初に少し自己紹介させてください。 私は千葉県公立高校の教員として25年、その後教育委員会で3年勤務していました。 教員生活の中で大きな転機となった仕事は、2011年に勤務校にて専門学科情報科の新設を担当し、日本初の公立高校における1人1台持ち込みタブレット端末の必携化を実現させたことです。 そして、教員生活に終止符を打ち、情報教育の大切さと楽しさを日本中の小・中・高校の子供たちや先生方に伝えていきたい

教育政策の5ヵ年計画、パブコメ実施中。情報教育の対応策は?

こんにちは!みんなのコード政策提言部の田嶋です。 みんなのコードは公教育におけるテクノロジー・情報教育の拡充を推進するNPO法人です。私は学校現場の声を官公庁や政治に届け、次世代の教育のありたい姿を提案するという役割を担っています。 突然ですが、みなさんは「パブコメ」(パブリック・コメント)という単語を聞いたことはありますか? 上に引用した政府文章を参照すると、パブコメは「国は、重要なことを決める前に国民の意見を聞きましょう。国民の権利や利益を守れるように努めましょう」

文科省が調査を予告!中学校「技術分野」の教員が足りない?

こんにちは!1日の業務は文科省の新着情報を見るところから始まる、みんなのコード政策提言部の田嶋です。 ちなみに、私の1日のルーティンとして、高等学校情報科に関する特設ページのチェックも欠かせません。 さて、その特設ページに「高等学校情報科に係る指導体制の一層の充実について(通知)」(以下、 通知)がアップされているのをご存知ですか? 今回は、この通知に関する世の中であまり話題になっていないけれど大事!な部分を、みなさんに読んでもらいやすいように噛み砕いてみました。 本日の

加賀市内の全中学校が集合!2022年度加賀STEAM成果発表会レポート

みなさん、こんにちは。みんなのコード未来の学び探究部の千石です。 最初に少し自己紹介させてください。私は、東京都の中学校で技術・家庭科技術分野の教員として11年間勤務していました。 教員になる前は民間企業でエンジニアをしていた経験もあり、民間→教員→NPOというちょっと変わったキャリアを歩んできました。 教員生活の中では、教科書の執筆に携わらせていただく機会をいただきました。その後、技術教育や情報教育をより充実させていくために、より広く学校の外から貢献できないかと考え、20

AIは生徒たちの主体性を奪う?ChatGPTを活用した加賀STEAM学習の取り組み

こんにちは。みんなのコード千石です。私は、全国の中学校「技術科」担当の先生方への研修講師や教材・カリキュラム開発を担当しています。 みんなのコードが支援する石川県加賀市では、市内6校の中学校で総合的な学習の時間に、地域の課題解決に取り組む「加賀STEAM」という学習活動を行っています。詳しくは、こちらの記事加賀市内の全中学校が集合!2022年度加賀STEAM成果発表会レポート で紹介していますので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。 みんなのコードは、今年度も加賀市内の中

那須町独自の教科「NAiSUタイム」でチャレンジ!小学生が Minecraft で"人にやさしい街づくり"を提案

小学校を中心とした研修を担当している未来の学び探究部の竹谷です。 私は元小学校の教員で、6年前にみんなのコードに加入しました。わたしのこれまでのキャリアについてはこちらの記事からご覧ください。 みんなのコードは、2021年から栃木県那須町と連携協定を結び、プログラミング教育の支援をしています。この取り組みは、株式会社セールスフォース・ジャパンよりプロジェクト実施資金を助成いただいています。2021年度の報告書はこちら → https://code.or.jp/news/10

「本当に ”みんな” が高校で「情報」を学ぶ必要があるか」を考えてみる

こんにちは。みんなのコード永野です。 前回の記事では、2022年度の学習指導要領の改訂に伴い、高等学校の教科「情報」がどのように変わったのかについて書きました。今回は、教科「情報」の意義についてです。 高校で「情報」を学ぶ意義とは一体何なのでしょうか。今回の記事のポイントはこの3つです。 情報科は情報活用能力を発揮して「情報社会の問題の発見・解決」を目指す教科 情報活用能力を生かした問題発見・解決はIT産業に従事する人々だけに必要な資質・能力ではない 問題発見・解決能