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【インスタントフィクション】「さよなら、ボクのペット」

インスタントフィクションとは
自由な発想と気軽なノリで書かれた文章、読書しない人でも遊び感覚で挑戦する。原稿用紙1枚=400字の中で表現、自分の思う「面白い」を入れるのがルール。

「さよなら、ボクのペット」

散歩の時間だ。

朝は苦手で、ゆっくり起きるタイプの似たもの同士。

物覚えも悪いけど、気が沈んだときは、

顔をクシャクシャにして、励ましてくれる。

気難しいボクの数少ない理解者でもある。

ボクは家族も子供も持たない選択をした。

左足から靴を履く動作も、アレルギー性鼻炎なのも、

嫌いな食べ物も、異性の趣味も、笑うツボも、

識別用の目の色がブルーなこと以外は、

身長体重、見た目もボクと全く同じペット。

ボクは少し悲しげな笑顔で「またお別れの日だ」と告げる。

そう、残念なのは、ナマモノだから消費期限があること。

回収は決まった専用のバスがあり、

少し離れた「散歩」と書いているバス停で一緒に待つ。

待っている間、数少ない思い出を振り返り、同じタイミングでほほ笑んだ。

心地よく、やわらかい時間を割くようにバスが止まり、淡々と乗り込む。

バスはブルーの瞳の僕に見送られて去って行った。

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