「What a Wonderful World」

割引あり

 とあるコンサートで、久しぶりに耳にした名曲、「What a Wonderful Word」。無料の演奏会で、10数人による合奏。各々の自分の楽器に向き合い、みんなでひとつの曲を完成させる。その真剣さ。そして一曲一曲を聴取に届け、楽しませようとするその前向きな熱に打たれながら、ただぼんやりと耳を傾けていた。Louis Armstrongの原曲に寄せたアレンジで、明るく、軽い音の波がふんわりと届いてくる。

 音楽を、耳にしているその音だけで聴く、ということは実はけっこう難しい。どんな誰がどこでどう何を演奏しているのか。視覚情報とあいまって、そういった付加的な情報が、演奏者と聴いている自分を媒介する物理現象に重ねて物語を作るから。とにかく人は物語が好きだ。そのフィクションが自分にみせるものには大なり小なり自分自身の姿がある。隠れがちなそれをよくよく、よくよく眺めると、わりと気持ち悪いだけだったりする。

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