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教育ってどう変ってきたの??

こんにちは、Rehacon365 月曜担当 今年の運勢は “思った以上にいいことばかり” 野沢です

最近の若者は・・・、最近の学生は・・・
そういった声はいつの時代も聞こえてくるものです。

そして俺たちの時代は、私たちの時代は・・・という枕詞が出た瞬間に耳を塞ぎたくなってきてしまうのではないでしょうか。
このような背景には、相互の歴史や文化の理解不足が要因となっています。

そこで、今回はこれまでの理学療法、作業療法教育がどのように変化していったのか、時代変遷を、先輩方の時代と今の時代を照らし合わせて紹介していきます。

目次:
■理学療法、作業療法教育のこれまで

■意外と知らない授業時間、単位数

■指定規則(カリキュラム)の変遷

■まとめ


■理学療法、作業療法教育のこれまで

理学療法士教育は昭和38年、国立療養所東京付属リハビリテーション学院から開始されました。名前はよく聞きますが、私の中では何か伝説的な学校というイメージのみ残っています。

当時は同然、日本人の理学療法士は存在しないので、主にアメリカ人講師によって授業が行われていたようです。
当然テキストや授業は英語・・・。今はとても学びやすい時代ですね。

その後、理学療法士作及び業療法士法が昭和40年に公布されました。
もうすぐで55年を迎えますが、平成世代の私は昭和の元号がなかなか覚えられなかったです。
そして昭和41年に理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則が制定されました。

指定規則の改正は、昭和47年、平成元年、平成11年、そして今回の平成29年と、これまで4回の改定が社会情勢に合った人材を養成するために改定されてきました。

■意外と知らない授業時間、単位数

ここで、意外と知らない卒業要件や授業時間、単位数について少し説明します。

大学の卒業要件は、124単位以上
短期大学は93単位以上
専門学校は専門士:62単位以上 高度専門士:124単位以上
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1382378.htmlより

と規定されています。各養成校のシラバスは、指定規則の内容を必ず組み込んで構成されるので、指定規則の変更が授業の組み方に大きく影響してきます。

なお、1単位とは45時間の学習時間であり、講義及び演習は15~30時間、実験、実習は30~45時間、臨床実習は45時間と設定されています。
45時間も講義を受けたか疑問になるかもしれませんが、一般的に座学は15時間の講義と予習(15時間)、復習(15時間)の時間を含んで、45時間となっています。
そんなにたくさん予習復習をした記憶はないです(汗)

■指定規則(カリキュラムの変遷)


ではいよいよ本題です、指定規則はどのように変化してきたのでしょうか(下表、図)
改定年度、臨床実習時間、合計時間と、対応する現在の経験年数を計算し示しました。

厚労省HP.理学療法士・作業療法士に係る学校養成施設授業時間等の変遷 

画像2

理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則等改正案(概要)より作成

※H11年改正時の合計時間は1単位30時間として計算

画像2

創成期の大先輩方は、合計時間が最も多く、その半分以上が臨床実習の時間として設けられています。この背景には、当然療法士がいないため、卒後に即戦力となる人材の育成が急務であり、膨大な量の授業時間と臨床実習時間があったと考えられます。
大学の単位にすると141単位に相当するとのことで、この量を3年間で行っていたと考えると、すごいですね。

その後、昭和47年の改定で、(現28~45年目)即戦力養成のための詰め込み教育から、教養科目、基礎科目などの充実が図られ、実習時間は大幅に減っています。

平成元年の改定では(現20~27年目)は専門基礎科目に地域保健学や地域福祉学などが含まれ教育内容の幅が広がりを見せる一方で、臨床実習の時間は更に減っていきました。

平成11年の改定は,大綱化と科目の時間数から単位数への表示変更がされました。
大綱化によって規制が緩やかになり、一律であった科目、時間数を養成校の教育方針に沿ったカリキュラムが埋めるようになりました。
その一方で、養成校によって教育内容や時間に偏り出る問題が生じ、教育ガイドラインが作成されました。

そして平成29年、20年ぶりに改正され、実習の単位数、合計単位数が増え、履修時間に偏りが生じないよう、最低履修時間数が設定されました。

■まとめ


指定規則は社会的背景や、教育体制により変化してきました。
今回の改正により合計時間、臨床実習時間が増えたことは、今後、完全4年制教育への移行に向け、進めているのかと感じます。それにしても、大先輩方の授業時間はすごいですね。。。

このような変化を追うことで、それぞれの時代にどのような目的で教育がなされていたか、その背景なんとなく、つかめたと思います。意外と平成元年以降は実習時間、合計学習時間に大きな差がないと感じました。まぁ時間だけで語れるものではないですが、一つの指標にはなったかと思います。

今日はここまでとさせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた来週!!

参考資料
黒澤和生ら: PT・OT 指定規則改正に伴うカリキュラム変更の概要と本学の取り組み.2019
高橋精一郎:専門教育の水準.2014
森永敏博:理学療法教育の歴史的変遷.2008
厚労省HP:理学療法士・作業療法士に係る学校養成施設授業時間等の変遷
理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則等改正案(概要)

執筆:野沢哲矢@BonusView55

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