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【LIVE】2020/2/10 ACO ‟SING SING SING”@Motion Blue YOKOHAMA

 先日、Motion Blue YOKOHAMAで行われたACOさんのライヴを観てきた。きっかけは、昨年(2019年)配信されたビリー・アイリッシュの「bury a friend」のカバーをたまたま聴いたことだ。正直、もう何年もACOさんの音楽活動を目にする機会がなかったので(ただ、ご結婚&ご出産されていたのは知っていたので「しばらくお休みしているのかな?」と思っていたし)、この再会は本当に嬉しかった。

 ライヴでは、まず演奏の臨場感と迫力に圧倒されっぱなしの状態に陥った。バンドメンバーはドラムが柏倉隆史さん(the HIATUS/ toe)だったし、日本を代表するジャズサックス奏者・坂田明さんも数曲参加。全曲渋くて大人っぽいジャジーなアレンジが施され、会場との相性も抜群に良い。そしてACOさんの歌唱力、その凄まじさは鳥肌モノ。1st Stageはカバーアルバム『SING SING SING』(2019年リリース)が中心。時に妖艶に、時に狂気的に…と、曲に合わせ歌唱スタイルを変えながら迫真の歌声を響かせていく姿は、まるで様々な女性の人生を演じるアクトレスのよう。一方、2nd Stageはご自身の曲で構成されていたこともあり、ACOさんの人生そのものが歌われていたように感じた。

 私が青春時代を過ごした90年代後半は、ロックバンドだけじゃなくてR&Bを歌う女性シンガーも多く出て来た時代。私は当時バンドを聴きつつ気になる女性シンガーの楽曲も片っ端から聴き倒すという無謀なことをやっていた。そんな音楽との密な時間を過ごす中でACOさんと出会ったのだが、あれから20年後に初めて観た彼女のライヴはなぜか当時を懐古する時間にはならなかった。

 自分の歌を求めてくれるひとがいるのなら、歌い手は何かしらの犠牲を作ってでも歌い続けていくものなのだろうと思った。年齢とともに生活環境が変われば、思い通りにできないこともどうしたって増えてしまう。けれど、ACOさんの歌は、彼女と共に時を重ねて来たリスナーはもちろん、彼女にとっても大切な居場所なのだと思う。そして、その歌声は、こうして再会できた人間の心にも深い余韻を残すのだ。




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