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【日記】2019/12/06 プレイリストと「音楽と人」

NICO Touches the Wallsのプレイリストを作りました。1回作ったのですが、やっぱりあれもこれもと足していったらトータルで30曲!演奏時間は2時間30分!趣味が出るなぁ。

タイトルは「20060422→20190325」。これは私が最初と最後に行ったニコのライヴの日付。13年前、GRAPEVINEを観るために行ったイベントで知り、本格的に聴きこむようになったのはそれから6年後になるけど、最初に観たライヴがメンバーが21,2歳だった頃というのは、なかなか貴重なものを目と耳にしていたんだなと思う。記憶は薄らいできているとはいえ。だから、やんわり覚えているニコとの出会いとして「そのTAXI,160km/h」を選んだ。きっかけとなったGRAPEVINEとの共演を思い出すのが「B.C.G」だし。

「バイシクル」をアコースティックVer.にした理由は、アジカン主催のフェス「NANO-MUGEN FES.2014」で聴いたときの感動が今でも忘れられないから(このフェスはアコースティック編成で出演していた)。原宿にあったキャパ150人の会場でぎゅうぎゅう詰めになりつつ聴いた(「カベニミミ」)「ローハイド」、2017年の全国ツアーFighting NICOで信じることの大切さを教えてくれた「ストラト」、浦安が生んだロックスターの思う浦安っぽい曲は「波」…という風に書いていたらきりがないのでやめるけど、私の人生と複雑に絡まりあっているバンドであることを、改めてプレイリストを作りながら実感したのである。



そして、12月5日に発売された「音楽と人」2020年1月号を私も読んだ。

(トップ画面の「音楽と人」は2009年9月号。)

ニコのことを15年近く追い続けた編集長・金光裕史さんの文章は、きっと誰よりもバンドの本質を見抜いていた存在だからこそ書ける愛という叱咤。読み終えると、11月15日の正午の感情がよみがえるというよりは、その事実を再確認するような、なんだか四十九日が終わったような気分。

突然、あんな事務的な文章でサヨナラを告げらてからずっとモヤモヤしていたけど、終わりを決めた人達がリスナーに言えることはあれ以外ないのだと、金光さんの文章を読み終えた途端、妙に納得してしまう自分がいた。

リスナーはバンドの内情を知らない。でも終わりそうな予感があっても、終わることが突然発表されても、どちらにしても終わってしまう事実にはリスナーは傷付くし、さみしくなることには変わりはない。

また、バンドの味方をするわけじゃなけど、終わらせることを決めた本人たちにだって「痛み」は伴うものだ。

…でもさ、金光さんが書いていらっしゃる通り、ニコのいない世界は何をどう考えてもつまんない。


私は、ニコのライヴを観終えると、メンバーの肩を「ポン」と叩いてあげたい気分になることがあった。労いの意味で。特にVo&Gtの光村龍哉さんことみっちゃんのね。

自信家のときもあればステージに上がると不安そうだし、アンコール曲を歌い終わった後なんて充実そうな笑みを浮かべながらもたいがい泣きそうになっていた。溢れそうな感情を表に出さず、自信家のまま突っ走ったらいいのに!それができない彼を「めんどくさいタイプ」だなと思ったことは何度もあるけど、私は彼の歌声(才能)に惚れ込んでしまっていた。これが惚れた弱みということなのか、やっぱりほっとけない人で、ニコはほっとけないバンドだった。時々…いや、わりと頻繁にみっちゃんを心配していたので、だからどう考えても古くんとさっかんと対馬くんの存在が彼には必要なのでは?って今でも思ってしまう。こんなこと書かれたら、みっちゃんにとって大迷惑かもしれないけれど。ごめんね。

ニコの活動を追っていく中で、バンドが色々なものを背負ってしまい、とてもしんどそうに見えた時期もあった。それは金光さんの言葉を借りると「周囲の期待に応えようとする優しさ」が仇となってしまったからだろう。私を含めたぶん多くのリスナーも薄々それには気付いていたと思う。

本当は(どの曲も一生懸命作ったに違いないけど、でも)4人が歌い演奏していて心から楽しめる曲をリリースしてくれればよかったんだよ。そしてそんなライヴを続けてくれさえいればよかった。今更こんなこと言っても遅いのは承知。でも悔しいから言わせてもらうけど、ニコを心から好きでいたリスナーは、間違いなく全力でそれを受け止めたよ。

「じゃあ結局ニコは最後まで混沌としていたのか?」と問われると、そういうわけでもなかった。アコースティックを始めたことでバンドの歯車がうまく回り始めたのは事実だし、近年の活動ではエレキとアコを同時進行させたからこそ、バンドがぶれなくなったとも言える。

また、結果的に最後のアルバムになってしまった「QUIZMASTER」で、楽曲のふり幅の広さを個性へと化けさせたバンドの軌跡を見事にひとつの形にさせた。これは本当にすばらしいことだ。

なのに11月15日の正午以降、私はこの「QUIZMASTER」を「最高なのにまるで活動終了の宣告文」としか捉えられなくなり、一番聴きたくないアルバムにのし上がってしまったんだ。

でも、ある時「QUIZMASTER」を胸が苦しくなりつつも聴いてみて、アルバムリリース時のナタリーのインタビューも改めて読んでみたら、私が思っている以上にこのバンドを転がしていくことの大変さがわかってしまった。諦めずによくこの作品まで辿り着けたなと、感慨深い気分にもなった。

何よりこれは、ニコともに悩んで泣いて走り続けてきたリスナーを肯定してくれる作品だと勝手に思っているから、私はこのアルバムが手元にあることが誇らしいし、やっぱり音楽で返してくれたことに心から感謝しているのだよ。

と同時に「バカヤロー」とも言いたくなるけど。


最近、私は他のアーティストのライヴに行った。新しいCDも買った。人生の半分以上、音楽と共に生きているので、これからも新たな音楽を探すことはやめない。ライヴも行くしフェスにだって行くし、そこで楽しい時間を誰かと一緒に過ごす幸せな音楽人生を送るはず。

でも、ぽっかりと開いた穴は塞がることはないのだろうし、むりやり他のモノで塞ぐ必要もないのだなと思った。実際に、やろうとしたけど、私にはそれができなかった。

だから申し訳ないけど、ニコが開けた穴はそのままで生きていくわ。だって、後にも先にもニコのようなバンドとは出会えないと思うから。

ニコの真似なんて、誰にもできないでしょう?それだけのことをやってきた事実には、それぞれ新しい場所で何かを始めたとしても、メンバー全員誇りを持って欲しい。

ニコを聴いていたからといって、目の前で起きた仕事のトラブルが解決したわけでも、拗れた人間関係が修復したわけでもなかった。病気だって治ったわけでもなかった。でも、みじめで情けなくて本当にひどかった時期の私に寄り添い、生きるための力になってくれたからなんとか乗り越えられたし、たくさん勇気をもらってきた。(「勇気も愛もないなんて」というタイトルのアルバムリリースしてたけど、あなたたちの音楽からは確かに勇気と愛を感じていたからね!)。

ニコと出会えたことは私にとって幸運でしかない。そして、音楽の力をこれからも信じようと思うのだ。

だからさ、「来世で逢いましょう」なんて陽気に歌わないで、今世紀中に必ず会いましょうよ。プレイリストの最後の曲にこの曲を選んだのは、そういう理由からです(しかも、むりやり替え歌にして歌っている)。



ニコの件があって3回目のnote更新。ただ1回目のは恥ずかしくて非公開にしてしまいましたが(すいません)、前回のは建前で、今回が本音かな。最後の最後まで振り回されっぱなしだったことには「おいおい」って感じですね。でも今後振り回されることもないのかと思うと、とてつもなくさみしいです。





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