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「福祉をわかっていないな、障がい者の才能?何も持って才能というの?そんなことして何になるの?やめた方がいいよ」

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 【2021年10月25日の投稿】
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「考え方はとても素晴らしいし、その理念も素晴らしいです。是非実現させて下さい。ただ、当校はそこを考えていません、そもそも貴社とスタンスが異なるのです。我々は、社会で最低限適用できるよう、礼儀作法を教え、指示にしたがって行動が取れる訓練をして、少しでも社会についていけるようにしているのです。スタンスが違うのでそこは難しいですね。」

2016年9月に初めて障がい者を雇用してから5年が経過し、総雇用数は300名を超えました。開業当初私は燃え上がっていて熱い情熱を持って仕事をしていました。開業後まず実施したのは挨拶回りです。福祉業界はとても狭い世界だということは事前調査で明らかになっていましたので、仁義を切る、つまり先輩方に挨拶回りを計画しました。

福祉業界というと、医者(大病院)医者(開業医)、カウンセラ、障がい者支援施設、役所、特別支援学校、という感じでリストアップし、200件ほど回りました。

とは言っても私は福祉業界の完全な素人、実績もなくノウハウもないただの人です。こんな人間が志高く「障がい者の才能開花し社会を変える事業」です、という感じに話をするので相手はびっくりする訳です。そして、鼻で笑われます。つまりこういうことです。

「福祉をわかっていないな、才能?そんなことより目の前のこの人のケアが優先でしょう、才能って何も持って才能というの?そんなことして何になるの?やめた方がいいよ」

これは実際に言われたことです。完全に笑われました。それでも耐えて挨拶回りを進めました。ある日、特別支援学校へ挨拶周りをしたのですがそこで衝撃的なことを言われます。

支援学校を訪問すると、とても丁寧に学校内を案内されました。そして授業にも参加させてもらい、就職先の訓練の様子も見せてもらいました。訓練の様子は、清掃の訓練でしたが、先生はタイマーを持って時間を測っていて、「遅い」とか「もっと早く走って」という感じで、運動部の練習を見ているようでした。

一通りの見学が終わり応接室で、私のプレゼンが始まります。その場には、校長、副校長、進路指導の3名が参加されました。プレゼン内容は、これから実施する障がい者の能力開発スキーム(現在のこころとインサイト分析の前身)をベースに将来、高度IT業務で活躍する人材を輩出する、そのために自社内でも高度IT業務を調達し、障がい者に実施してもらう、こんな感じの内容です。

説明が終わり、私から質問をしました。まず進路指導の先生へ、

「主な就職先を確認したところ、工場、清掃、農業といったジャンルが多かったのですが、ホワイトカラー系業務への就職実績はどの程度ありますか?また能力高い障がい者に対するカリキュラムはどのように工夫されていますか?」

すると、「ホワイトカラー? 事務職? ないですね。というか今の就職先の業種でもなかなかスムーズにいきませんよ、そして能力高い障がい者と言われてもなんとなく能力高そうだなという生徒はいますが、特別なカリキュラムはなくみんなと同じ内容で進めています。」

続いて校長先生へ、「私は障がい者の才能の可能性を信じています、現在、能力高い障がい者への教育カリキュラムはないとのことでしたが、一緒に開発していきませんか、障がい者の才能がこれからの社会で新しい産業を生み出すはずです。私は全面的に協力します!」

すると、「考え方はとても素晴らしいし、その理念も素晴らしいです。是非実現させて下さい。ただ、当校はそこを考えていません、そもそも貴社とスタンスが異なるのです。我々は、社会で最低限適用できるよう、礼儀作法を教え、指示にしたがって行動が取れる訓練をして、少しでも社会についていけるようにしているのです。スタンスが違うのでそこは難しいですね。」

実は先程の支援学校を卒業した障がい者を当グループが雇用した実績が数件あります。その障がい者がIT業務で貢献している情報が学校へ伝わり、現在では、当グループはIT業務ができる就職先として位置づけられているようです。

ターゲッティングを間違えると、そこに参加する全員が不幸になります。これまでの活動は良い教訓として私の活動のベースになっています。

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