見出し画像

苦情から生まれた全員が主人公という理念のもと、200名を抱える当グループの組織論について

********************************************** 
【2021年10月29日の投稿】
発達障害研究所こころとのオンラインサロンで閲覧フリーになった過去記事。最新記事はサロンでほぼ毎日公開中。是非入会して応援お願いします。https://cocorotolab.jp/ 
***************************************************
━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ そんな支援は支援とは言わない、教えないならあなた方は一体なんの支援をするのですか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━
気がつけば5年で200名を雇用するグループになっていました。障がい者が80%の会社です。実施している仕事は高度IT系業務中心で、動画編集、漫画制作なども行います。一般的に考えると、スタッフにはIT系出身者が多数在籍してサポートすると思いますが、当グループにはIT出身者は私を含め2名しかいません。その他のスタッフのほとんどは前職で福祉系の仕事をしていました。IT出身者2名、福祉出身者40名で、200名の障がい者のIT系業務を支援しているという組織です。

私は30年余りをIT業界で過ごしてきましたが、IT系の仕事を行うのにIT出身者がほとんどいない状況はまずあり得ませんし、そもそもビジネスとして成立しないことは分かっています。では、なぜこのような組織になったのか、スタッフの90%は福祉業界出身者でありながら、仕事は高度IT系業務を実施することがどのように成り立っているのか、についてお話しします。

結論から書きます。

当グループは、障がい者が主人公で仕事しており、障がい者が未経験である高度IT業務に対応できるよう才能開花を進め、実務に対応できるようにしているからです。

つまり、

障がい者が80%の会社で、
その障がい者をサポートするスタッフは20余り、
スタッフは90%が福祉系の出身、

これだけ見ると「どんな仕事ができる会社なの?」となりますが、高度IT系仕事をしている、誰がそのIT業務を実施するか、それは障がい者です。これを踏まえ先ほどの全体データをまとめると、

高度ITスキルを持つ障がい者が全スタッフの80%
その障がい者をサポートするスタッフは20余り、
スタッフは90%が福祉系の出身、

となります。最初1行目が変わっただけです。これなら「なるほど、ITスキルがあるスタッフが80%のIT会社なのね」となり、納得感が出ます。この仕組みを5年間かけて作り上げてきました。最近やっと、その成果が随所に現れており、「こころとさんは障がい者を雇用するIT専門会社」という評価が定着してきました。ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。

スタッフを含め社会へ「障がい者には、才能を開花させ能力を活かす環境と、仕事をセットで提供する事で、十分に社会で活躍できる方が存在する」ということを証明する必要がありました。これを証明しないと私は嘘つきになります。創業当初から「障がい者の能力」と常に言っていましたので、どこかでこれを証明する機会を作らないといけない、このような気持ちで過ごしていました。

それを証明するための行動指標として、私は障がい者に「教えない」ということを決めました。これは何かというと、当グループはパソコン教室ではありません。民間企業ですので、そこで雇用された方は自ら社会の変化に合わせスキルアップをしていかなければなりません。障がい者も同じです。雇用されたからには自らスキルを身につける、レベルを上げていく必要があります。

しかし、福祉業界は手取り足取り支援する、ということが定着しており、「教えない」ということに対し否定的な考えを持つ方が多くいました。障がい者支援をしているのに教えないとはどういうことなの、という感じです。

このように考える人たちは、言葉の文脈を読むことをせず、目にした言葉や聞いた言葉を反射神経的に判断してしまうので、このような考えになるのだと思います。

私は、「教えない」と言っていますが、その前後にちゃんと説明文を入れているのですが、それを認識してもらえません。私が「教えない」ということに対して説明をしているのは以下の通りです。

障がい者の中には、きっかけを与えることで自身の持つポテンシャルが刺激され、才能が開花する人がいます。このような方には、ゴールを設定し、そのゴールに向かってスキルを習得する環境と、習得したスキルを活かせる仕事を提供することで、社会で活躍できる人材になります。その対象の障がい者は、自習が可能で、自習により自らスキルを身につけ仕事に貢献できるようになります。

私は、現在でも障がい者の面接では「教えない」ことを伝えており、その前後に上記の説明をしています。「教えないとはどういうことだ」と反応しているのは、障がい者の当事者ではなく、その方々を取り巻く方々です。

理不尽な意見などに負けるわけには行きません。これは理不尽な意見に立ち向かう、という、つまり喧嘩するということではなく、その状況をバネに、自分たちが成し遂げなければならない使命を達成するために立ち向かう、という考えです。いくら理不尽なことを言っていても、実績を残せばみんな認めるしかなくなります。それだけ実績は重要ですが、最初の実績は自分の力で作り上げなければなりません。実績ができることで、周りから評価され、次回は他人の力を借りた実績が出てきます。

障がい者の方々は私の話を理解しています。周りが「そんな支援は支援とは言わない、教えないならあなた方は一体なんの支援をするのですか?」と言ってくる訳です。

当グループは、障がい者の才能を開花する「育成プロジェクト」を進めており、5年間の障がい者の就労データと育成PDCA記録データの統計から「こころとインサイト分析」を開発し、才能開花のプロセスを確立しました。これは理論であり、その理論通り実践すると、現在サービス提供している「こころとアシスタントサービス」で障がい者が能力を発揮することを証明しました。

理論を理解するのはそれなりのスキルが必要ですので、これはなかなか理解されないのですが、その理論を実践した成果は分かりやすいので理解されやすいです。オンライン秘書サービス「こころとアシスタントサービス」が、当社が進めきた障がい者の才能開花プロジェクトの成果の一つであり、これからどんどん新しサービスが生まれてきます。

私を含め、どんな方も最初は無名な存在です。その無名な存在に「小さな1」を足してくれた人、経験があり、今の地位や環境ができていることを忘れてはならないと思っています。

私も倉庫で生まれた無名の存在、そこに「小さな1」を足してくれた人たちのおかげで今はやりがいのある人生を送っています。今度は、私が誰かのための「小さな1」を足してあげる番です。

これからも障がい者のポテンシャルに「小さな1」を足し、それを大きなウェーブにし社会に新しい産業をもたらす未来を作り上げていきます。

▼発達障害者の能力をビジネスに活かす取り組みを行うオンラインサロン(ほぼま毎日投稿)はコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?