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1部上場企業で雇用された90名の障がい者がマインド低下で退職、これを解決した話

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【2021年10月22日の投稿】
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「私はこの会社で仕事を与えられていませんが、なぜ私を雇用したのでしょうか」「障がい者以外の他のスタッフとも会話したいのに、会話しようとすると担当者に止められます。なぜ話をさせてもらえないのでしょうか」

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▼ 障がい者の法定雇用は企業の売上維持に利用されているのか
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一般企業は雇用している社員数に応じて障がい者の法定雇用が法律で定められています。民間企業では令和3年度で2.3%。社員の2.3%障がい者を雇用しなければならないという法律です。100人の会社だと3名といった感じです。これが大企業になると、3000人の社員に対し、70程度の障がい者を雇用しなければなりません。

当グループは、障がい者人材マネジメントサービスというソリューションを提供しており、主に大企業で雇用されている障がい者の、マインドケア、定着支援、採用支援などを行い、障がい者が継続してその企業で勤務できる体制づくりを提供しています。

なぜ、大企業が当社に障がい者ケアの依頼をするかというと、障がい者雇用の法定雇用率は法律のため障がい者の雇用率が法律で定められた数値を下回ると「法定違反」法律違反になります。これだけ見るとそんなに大きな問題?となるかもしれませんが、これが大きな問題なのです。

大企業は官公庁や自治体の入札案件を主に行い売上を上げている企業があります。入札すると審査を受け審査が通れば受注となります。この審査の中に重要な文言が入っているのです。

「法定違反がないこと」
「条例違反がないこと」

この文言が、その会社の売上を左右するものなのです。つまり、入札に参加する企業は、法定違反、法律違反が特定期間ゼロでなければなりません。先程の障がい者法定雇用率も法律です。障がい者を法廷内で定めた数値で雇用していないと法律違反になり、入札参加資格が失われてしまうということです。そのため、企業は必死になって障がい者を雇用しようとしているのです。

法定雇用率を満たさないと、予定していた売上を確保できず、業績が下り株価が下がるという具合に悪い方向に進んでしまいます。このような結末にならないよう、企業は障がい者の法定雇用率に敏感です。この数値を達成し続けることが企業にとって重要であり、そのために、定期的な障がい者の雇用と、障がい者が退職しないよう社内でケアするのですが、現在、この両方がうまく機能していません。

本日は、ある企業向けに提供した「障がい者人材マネジ面サービス」の内情をご紹介します。

その企業からの問い合わせは、

「障がい者が退職してしまうので食い止めて欲しい」

「精神障がい者が社内でモラルを守らないので他のスタッフの仕事に支障が出ているのを改善させて欲しい」

という2つでした。

早速、その企業で伺いヒアリングを行いました。社員数5000人の大企業です。話をよく聞いてみると、

「今までいろんな障がい者支援の会社へ依頼したが、状況が全く改善しなかった。ほとんどの会社は口だけで、障がい者を雇用した経験がない企業ばかりだったので、障がい者を実際に200名雇用し、安定的に仕事を続けるケアを行っている貴社へ依頼した」

ということでした。当グループの地道な活動が評価されて嬉しかったです。話はトントンまとまり契約が完了し早速サービス開始となりました。まず我々はその企業で雇用されている全障がい者のアセスメントを実施しました。そこで衝撃的なデータが明らかになります。アセスメント結果から

「私はこの会社で仕事を与えられていませんが、なぜ私を雇用したのでしょうか」
「障がい者以外の他のスタッフとも会話したいのに、会話しようとすると担当者に止められます。なぜ話をさせてもらえないのでしょうか」

アセスメントの結果はレッドゾーンで、障がい者のマインドが最低ラインまで落ちており、その結果、この企業で雇用されている障がい者は1年で2割退職していたのです。そのため企業は毎年20人程度の障がい者を新たに雇用しなければならない状況でした。

現在、障がい者市場は、当グループPRTIMES記事にも掲載していますが、企業が雇用したいNo1の身体障がい者の生産年齢人口が現象し、精神、発達障がい者が爆発的に増えています。この影響で企業は雇用したくない障がい者種別である、精神、発達障がい者を雇用することになります。一般企業は今まで身体障がい者を雇用してきたため、精神・発達障がい者のノウハウがなく、社内でさまざま問題を抱えている現状があります。

アセスメントの結果から、早速支援開始です。各障がい者にアセスメントの結果からマインドケアを進めていきます。これは当グループの「発達障害者エンジニアリングスペシャリスト」が実施します。このフェーズで障がい者の心を心理学などの手法を使い開いていきます。障がい者自身からは、「やっと自分のことを理解してくれる人と会話ができた」と良い方向へ向かっていきます。

2ヶ月程度の支援で全ての障がい者のマインドを一定水準引き上げました。次のフェーズは社員教育です。障がい者を受け入れる部署のマネージャークラスに対し、障がい者と仕事をする上での心得について教育を実施します。全管理職に対して行います。

そして、障がい者が仕事を実施できる体制が整ったところで次のフェーズである、「障がい者が業務で貢献する」に入ります。
取締役人事部長も参加する定例ミーティングで、私から以下のことを伝えます。

「貴社で雇用されている障がい者は当初のアセスメント結果の数値よりも改善し、マインド不調などはなくなりました。これで退職数も減ると考えています。次のステップで、障がい者の能力を発揮する業務を割り当てる作業に入りたいと思っております」

と伝えると、思いがけない回答が帰ってきました。

「それについては想定していませんので、進めなくて良いです。貴社へ依頼したのは、現在の状態、つまり障がい者が大人しく勤務し退職しない体制作りです。これで大満足です。ここまで仕上げてくれて感謝しています。」

つまり、これで入札に安心して参加でき、CSRで障がい者を雇用していることを宣伝できる、ということでしょう。

当グループは、1部上場企業向けに「障がい者人材マネジメントサービス」を提供し実績も増えておりますが、企業の状況は今回の例と同じです。障がい者を雇用する目的が、障がい者当事者と大きく異なっています。障がい者は雇用された企業に貢献したいと思っているのに業務に参加させてもらえない、このような関係となっており、障がい者の退職率は、1年で平均50.7%。これは10年変わっていません。

この状況を変えていきます。そのためには研究し、障がい者には能力があるのだということをリアルビジネスである「こころとアシスタントサービス」、「こころとアノテーション」などで証明していく必要があります。


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