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親御さんやその他の方から質問が多い、障がい者の方々が実際に行っている業務の内容について

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【2021年10月28日の投稿】
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社会では障がい者に適した仕事がない、という声が聞こえますが、彼らに対し本気で活躍の場を提供するという思いと、才能を科学的手法を用いて定量評価する仕組みがあれば、ニーズがあり、高単価な仕事はいくらでもあります。そして、お金だけでなく、彼らが「夢中になる」仕事も山のようにあります。

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▼ 仕事が出来ないと思われている方々が、今は社会が求めている仕事をしています。一番驚いているのは親御さんです。
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「夢中になる」という言葉がありますが、この言葉を使うときはよく、好きなことだから夢中になる、だから仕事も好きなことが良い、という方向で考えるケースがあります。私は、好きなこと=夢中になる はイコールにはならないと思っています。私が考える「夢中になる」という言葉は、ゲームに夢中になるとか、youtubeの動画に夢中になる、とはレベルが異なり、潜在的な才能が開花し、無意識レベルの領域で時間が経過する状態、これが「夢中になる」という定義です。

この言葉の定義にたどり着いたのは、この事業をスタートさせたことが影響しています。実務経験ない障がい者の方々が次々に仕事のレベルを上げていく姿を目の当たりにした時、彼らの秘めた才能が開花する瞬間に圧倒しました。そんな彼らは現在どのような業務を実施しているのかを紹介します。

プログラミングの修正作業

主に中小企業の業務をIT化しているクライアントからの依頼で、プログラミングの修正作業を請け負っております。例えば、社内の労務管理システムや、手作業で実施していた検査チェック業務などをシステム化することにより、web画面で処理が行えるようになります。このクライアントは中小企業案件を多く抱えていますが、プログラムの修正作業を行う時間がないくらい忙しい状況でした。

しかし、お客さまからの修正要望に応えるためプログラムの変更作業が発生します。その要望に応えるため修正作業を実施しながら、新しいお客さま向けのシステム開発を行う日々を送っていました。

現在、そのプログラム修正作業は当グループの障がい者が実施しています。担当する障がい者はプログラム経験ゼロ、業務経験ゼロの方です。入社後、プログラミングの面白さに目覚め終業後に図書館へ行き自ら学習を進めていました。その障がい者のご両親から「最近、うちの子が家に帰ってからずっと勉強しているのです。何かあったのでしょうか」と連絡がくるくらいです。

AIアノテーション

交通量調査員の代わりにカメラとAIが交通量の分析を行うというものです。あまり知られていませんが、AIは万能ではなく誰かが答えを教えてあげる必要があります。「これは黒」「これは赤」「これは乗用車」「これはトラック」、といった感じで答えをAIにインプットする作業をアノテーションと言います。AIを使う場合、このアノテーション無しには語ることは出来ないくらい重要な作業です。

このアノテーション作業を当グループで実施しています。アノテーションは、手書き文字、画像、動画といった分類があり、それぞれ求める答えに応じて実施します。例えば手書き文字の場合、AIが人間の書いた手書き文字を認識するために実施します。例としてRPAがあります。RPAは、Robotic Process Automation の略で、様々なプロセス(工程)をAIで自動化するというものです。最近ニュースで取り上げられる銀行の支店窓口営業をやめて、その代わりにRPAを導入する、といった使われ方です。支店窓口はお客さんが書いた手書きの申込書などをスタッフが確認してコンピュータへ入力する作業がありますが、これを自動化するときに、手書き文字を認識する必要があります。その作業をアノテーションとして実施するわけです。

この手書きアノテーション作業は、当グループで雇用する軽度知的障害の方々が実施しています。1枚に100文字程度の文字があり、名前、住所、電話番号、メールアドレス、など、紙に書いてある通りに手書きで記入していきます。大体、1枚あたり5分から10分程度で、1クライアントあたり2000枚から3000枚の依頼が来ます。

この2000枚程度の依頼が合計4回くらい来ます。これは最初の2000枚のアノテーション結果をAIで投入し手書きの認識テストを実施します。それを3回程度繰り返すことでどんどんAIの認識力が向上します。

実はこの手書きアノテーション作業は、複数の方が対応しなければなりません。複数とは年齢、性別、文字の書き方など、様々な方が対応することでAIがいろんなパターンを認識します。このアノテーション作業を実施する際は、このように不特定多数の方に参加してもらう必要があり、企業側にとって負担になっていました。

当グループでは、18歳から60前後の様々な方々、常時100名超える人員で対応できるためクライアントの要望通りの結果を提供できます。

その他、画像アノテーションは画像の中にある特定のタグを記録するもので、文字や記号などをマウスで囲い、そこへタグ情報を付加していく作業です。これも軽度知的障害の方、そのほか、精神、発達障害の方々が対応しています。

動画アノテーションは、動画中の情報に対し作業するもので、例えば車のナンバーを全てマスキングする、といった作業です。

画像アノテーション、動画アノテーションも同じ作業が永遠を続きます。このような作業は精神障害の方々にとてもマッチしています。例えば、統合失調の方は、何もしない時間があることにより、見えるもの、聞こえるものに対し不快になってしまう傾向がありますが、このアノテーション作業を実施すると、黙々と作業し「何もする時間」がない状態を作ることができ、結果、ノーマルな状態になりマインドが良い方向へ進みます。

何時間もアノテーション作業を実施した精神障害の方が、帰宅時に「今日はいい仕事ができた」と言っているシーンを私はよく見かけます。表情もとても良いです。

本日は、非常にニーズの高い、第四次産業革命系の仕事として、プログラミング、AI業務を中心に紹介しました。当グループでは、これ以外にまだまだたくさんの障がい者が能力発揮できる仕事があります。次の機会に少しずつ紹介します。

社会では障がい者に適した仕事がない、という声が聞こえますが、彼らに対し本気で活躍の場を提供するという思いと、才能を科学的手法を用いて定量評価する仕組みがあれば、ニーズがあり、高単価な仕事はいくらでもあります。そして、お金だけでなく、彼らが「夢中になる」仕事も山のようにあります。

我々は、障がい者が主人公になる社会の実現を進めるため、コツコツと研究し新たな仕事の開拓をこれからも推進していきます。

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