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自立が遅れた事により、能力発揮するチャンスを失う

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【2021年10月18日の投稿】
発達障害研究所こころとのオンラインサロンで
閲覧フリーになった過去記事
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生まれて初めて褒められた
期待されているのでもっと頑張りたい
早く仕事で貢献できるようになりたい

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▼ 精神、発達障害をお持ちの40代の方が能力は非常に高いのに仕事することができず引きこもりになっている
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マインドケアとは、マイナス要因を阻止しながら、小さなプラスを足していくことで、どんどんポジティブになります。本日は、このような工程を進んでいく中で、自立した感覚が必要だと思ったあるケースについて書いてみます。

プログラミング未経験から才能開花し、業務システムの開発を行なっているAさんが、現在、出勤できず引きこもり状態になっている。

Aさんは入退院を繰り返し少し状態が良くなったころ当グループへ入社しました。IT系の才能があることが簡易アセスメントで判明し入社後、メキメキと才能が開花します。順調に見えるかもしれませんが、私には心配な点がありました。

面接で、家族関係や過去の出来事を聞くと、現在は一人暮らし、家族関係が悪化し家を追い出された、その後、入退院を繰り返し現在に至リます。家族関係が悪化したのは幼少期からでしたが、家を追い出されたのは30歳の頃です。

その後Aさんは人を信用することができず、自分を必要としてくれる人もいないまま、たまたま当グループの見学に来ました。普段、見学は現地のスタッフが行うのですが、見学前の情報を見ると気になったので、私が見学対応することにしました。

見学では、パソコン業務にとても興味を示していて、やったことはないがやってみたい、と目を輝かせていたのを今でも鮮明に覚えています。その状況から、IT系の業務に向いているな、という感覚を持ちました。

入社後は、早速本格的なアセスメントを実施し、プログラミングの評点がとても高いことから、pythonの言語を使った簡易アプリの開発に着手してもらいました。当時、Aさんが入社した事業所は開業間もないことから、IT系の業務は私が直接対応することが多かったので、Aさんとはみっちり仕事に向き合います。

Aさんは飲み込みがとても速く、仕事後も図書館へいきプログラミングの勉強を熱心に進めました。その結果、他の方よりも高速でプログラミングをマスターしていきます。

私も、Aさんに会うたびに、「もうマスターしたのですか、この調子だとこんな業務もできますね。そろそろ実践課題に入りましょう」という感じで、Aさんに期待しその先が楽しみになってきました。

当グループで雇用されている障がい者の方々は全員、就業ノートを毎日書きます。つまり仕事日記です。Aさんの就業ノートには、

生まれて初めて褒められた
期待されているのでもっと頑張りたい
早く仕事で貢献できるようになりたい

といった言葉が連日続きます。

半年が経ったある日の月曜日、この日は金曜日からの三連休後の月曜日でした。今まで元気よかったAさんが、急に不機嫌そうな顔で出勤します。仕事はなんとか実施しましたが、帰りも元気なく帰ります。そんな状況が3日続き、Aさんと会話することにしました。

「自分は社会から必要とされていない人間なのです」
「今この会社でプログラミングの仕事をしていてとても楽しいのですが、いつかこの楽しい状況が終わることを考えるととても怖い」
「自分の親のように、自分は見捨てられると思ってしまう」
「期待されたことがないから、少し怖い」

このような話が続きました。

私からもいろんな話をしましたが、過去に起きたことをうまく処理できず、ご親族から期待されず、能力を認めてもらえずに育ったことで、現在、能力を発揮していても、どんどん不安になってしまう、とても深い闇にハマっていました。

当グループの事業所は、能力を開花させそれをすぐに実践で活用し、社会へ貢献するスキームを進めますが、過去の出来事をどのように処理するか、つまり「トラウマ」への対応は簡単に処理することは難しいのです。

このような状況にならないよう、幼児期から自立に向けた方向で育成し、自分自身の才能を自覚させ、自分の力で歩んでいける環境づくりが必要です。

今回のケースは特別に重い状況ですが、HSPや、精神疾患、発達障害、軽度知的、などさまざまな状況でも当てはまる内容です。早期に自立を進めることの重要性が改めて浮き彫りになった事例です。

現在、Aさんは、私が特別ケアするプランで検討に入っています。才能がある方を見捨てるようなことはしません。医師は会社を辞めてゆっくり過ごしなさい、と言っているようですが、その決断は本人にとってプラスになるのでしょうか。

今Aさんに必要なのは、私が毎日実施している「朝のルーティン」で小さなプラスをたくさん積み上げていくことです。近い将来、Aさんは社会で活躍する人材になることでしょう。

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