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障がい者がデータサイエンスの仕事に携わる話

私は障がい者の方々と会話する時、必死に理解することに専念します。なぜならら彼らに残念な気持ちになってほしくないからです。これは何を言っているかというと、障がい者の方々からすると、「自分の説明をなぜ理解できないの?」と思われると、「この人は能力がないのか」になり、心を閉ざしてしまうからです。まさにこれが機会損失です。

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▼ こだわりが仕事になるが、そのこだわりを発見し磨き上げることができるか、障がい者がデータサイエンスの仕事に携わる話
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子供は親を超えますが、親は子供を超えることができない、これは私の持論の一つです。これは尺がまったく異なるので、同じ土俵で比較することができない、というところからきていますが、親は、子供に超えられるのを本能的に嫌う傾向があり、それがボトルネックで子供の才能開花が滞るということが良くあります。

時代が10年も違うと価値観も異なります。障がい者が置かれている環境も時代とともに変化しています。一昔前の障がい者の仕事現場は、清掃、組み立て、パン製造、ジャム製造、農業などでした。しかし現在では、当グループが実施している、第四次産業革命の仕事である、AI,IoT,RPAといった高度IT業務を担当する方もいます。このような仕事を提供している会社はまだまだ少数派ですが、もう時代は変わっています。つまり、能力ある障がい者に軽作業系の仕事を提供している会社は変わっていかなければ環境変化に対応できなくなります。

当グループのような仕事を障がい者へ提供する会社がほとんどないのは、成功事例があまり出回っていないからだと思います。本日は、データサイエンティストとして当グループで能力発揮している方を紹介します。

最近、HSPの特性がある方々など、とても繊細な感覚を持っている方々が多くなってきました。そのような方々は一般人にはない感覚があり、それをビジネスで活用することでクライアントへ貢献することができます。スーパーのデータ分析の実例で紹介します。

私は、創業当初から才能ある障がい者へ高度IT業務を提供するため、さまざまなジャンルの仕事を検討し、多くのクライアントへ提案してきました。その一つにデータ分析があります。データ分析で一番価値を感じやすいのがB  to Cの小売。施策一つで売上に直結するので効果測定がしやすいのです。そこで中堅のスーパーへ提案にいきます。なぜ中堅かというと、POSデータを分析するには、データのクレンジングが欠かせない、このクレンジングはexcelで簡単にできるのでexcelでクレンジングした後、pythonにロードして分析することを想定しました。

Excelは100万行の壁と言われるものがあり、これくらいのデータ件数を入れるとexcelの動きが鈍くなってきます。最近はPC性能も上がったので問題ないようですが、それでもそれだけのデータを入れると閲覧も大変になってくるので、その範囲におさまる規模のスーパーを探します。となると中堅になるので、あまり少なくても予算かけられないので、中堅位がちょうど良いのです。

早速提案に行き、トライアルとしてデータ分析することになりました。1ヶ月分のPOSジャーナルデータを頂き、ある障がい者へ作業依頼しました。

その障がい者へ依頼したのは、

「このジャーナルデータから、売上に関係する相関関係を見つけて欲しい」

依頼した障がい者はこれで理解できたのですが、補足すると、このジャーナルデータから、売上が上がっている要因または、売上が下がっている要因を見つけて、どの品目がそれに該当するのかを見つけて欲しいという依頼です。こんな分析が想定されます。例えば、天気が悪い時は全体売上下がるが、ある特定の商品が良く売れる、とかです。

1週間の作業時間で結論を導いたようなので、結論を聞きました。私は障がい者の方々と会話する時、必死に理解することに専念します。なぜならら彼らに残念な気持ちになってほしくないからです。これは何を言っているかというと、障がい者の方々からすると、「自分の説明をなぜ理解できないの?」と思われると、「この人は能力がないのか」になり、心を閉ざしてしまうからです。まさにこれが機会損失です。

ざっと報告を聞くと、どうもワインとチーズの関係性が売上向上の妨げになっているとのことでした。その時は私も詳しくデータの中身を見ませんでしたが、なんとなく、それぞれの売上が相関関係なのかな、というくらいの感覚で、クライアントへのトライアル結果報告に行きました。

クライアントへの報告会当日、先方は社長、店長、仕入れ担当、の方が参加しました。早速、分析結果の報告です。当然ですが、クライアントの担当者はほとんど期待していない様子で座っています。私から、「頂いたデータ分析の結果をご報告いたします」詳細は、担当した障がい者の方が話ます。」

「チーズの在庫不足が売上に影響していますので、チーズの在庫を切らさないようにすれば売上は上がるはずです。」

参加した全員がこの言葉を聞いて、言葉を失いました。内容が理解できない、という感じです。私から「もう少し詳しく説明してもらえますか」と話ます。

「チーズの在庫がない時、つまりチーズが品切れの日は、高級ワインを始めとする高級食材の売上がチーズの在庫がある日と比較し減っています。これらの要因から、チーズが品切れの日は、来店客は、別の店舗でワインなどの高級品を購入していると、相関関係から推測できます。」

この日からそのスーパーでは、チーズの在庫を切らさないようにしたところ、売上が上がったそうです。

このように、障がい者の繊細な能力をビジネスに活かせる方法はたくさんあります。チャレンジすることを恐れないことが彼らの能力を発揮する環境を作ることにつながります。

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