おばさん

私的必殺シリーズ仕置烈伝①おばさん(翔べ!必殺うらごろし)

今回は必殺シリーズ第十四作「翔べ!必殺うらごろし」より「おばさん」をご紹介します。

「必殺うらごろし」は摩訶不思議な力を持つ行者の通称「先生」を中心に、記憶喪失の元殺し屋で、生き別れの子供を捜す「おばさん」、人並みはずれた体躯ゆえに女扱いされず、世をすねて男として生きてきた「若」、江戸で殺しの斡旋業をしていた「正十」らが、死者の恨みの声を聞き、その恨みを晴らしていく、というストーリーになっています。

「翔べ!必殺うらごろし」はオカルトを扱った異色作でありますが、裏稼業は他シリーズと大きく異なっています。まずうらごろしメンバーは稼業としての殺しは行っておらず、旅先で遭遇した怪奇現象を解決しようとする過程で、先生が悪人に殺害されるなどで死亡した被害者の声を聞き、その恨みを晴らすのが基本パターンになっています。

原則として、依頼人である被害者から金を受け取ることはないというのも大きな違いです。ただし、何らかの方法や理由で金を手に入れていることは多く、それを分配するという形で金を手に入れることはあります。

他のシリーズが夜に殺しを敢行することが多いのに対し、(先生が日の出の際に死者の声を聞くこともあって)昼間に敢行するというのも特徴的です。

市原悦子さん演じるおばさんは、4年前、気が付いたら、道の真ん中に立っていたという中年女性です。それ以前の記憶は無く、当ても無く、彷徨っていた時に、中村敦夫さん演じる「先生」との出会いで生き別れの息子を探していたことなど記憶の一部を取り戻し、以後は先生と行動を共にするようになります。

その正体は殺し屋で、その頃の記憶は無いものの、熟練の感覚で標的を葬る腕前の持ち主です。おっとりとした性格だが曲者揃いの一行のまとめ役になっています。

最終話で、息子がそば屋を営む夫婦に拾われ、我が子のように育てられていることを知るのですが、その夫婦が外道たちに狙われていることを察知し、息子を拾って育ててくれた恩人を守るために行動を起こした末、命を落とします。初期の必殺シリーズでは珍しい殉職者でもあります。

おばさんの魅力は他の仕事人シリーズにはない唯一無二なもので、個人的にはシリーズでもっとも気に入っているのが、「翔べ!必殺うらごろし」なのです。

画像1


両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。