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ニュージーランド留学中の娘が被災した話③

さて。連絡が取れて娘の安否がわかりほっと一安心。その後しばらくは通信が不安定だったり電源がない状態が少し続いていたので、当時の娘の様子については後日現地状況が落ち着いてから聞きました。

娘の住んでいた区域では、土砂災害や水害は免れ、避難を要することもなく済んだのは幸運であったとしか言えません。

部屋の前に面している庭に水が溜まり、
これが溢れると部屋が浸水してしまうので、
みんなでバケツで水を汲み出して回避したらしい
これくらいで済んで良かった

水道は使えたものの、停電はその後6日間続きました。食事は庭先で炭火で調理したりして、そのまま明るいうちに庭で夕飯食べたりして、日が暮れたら就寝。
その間水シャワーしか使えなかったのが一番たいへんだったとのこと。
一度、ホストファミリーと車で「隣町には電気があるらしいから、スマホ充電に行こう」と車で出かけたらしいのですが、大渋滞の先は、道がまだ浸水していたらしく途中で引き返すことに。



隣町へ向かう車窓からの風景はとても悲しいことになっていて
緑の景色はすべて泥色に替わっている


被害の大きかった川の周辺は
オーバーフローして橋も流されてしまっていた

学校はしばらく休校。停電からの復旧が遅かったり、たくさんの学生が使用することでトイレなど下水排水システムがトラブルを起こしかねないとの懸念から10日間ほど休みになっていました。
留学スタートしたばかりで、まだ1週間ほどしか登校していないのにこの事態。
友達もまだ出来ておらず、学校に行かないとすることがない暇さ…。

災害直後で危険があるかもしれないからと、外出はホストファミリーと一緒じゃないとだめとのこともあり、そのへんを散歩したりぶらつくこともなし。
(実際、SNSでの発信を見ていると、やはり災害後には物的な危険の他に、人的な残念な事件もあるようだったので、安全のためには、念の為にホストファミリーがこういうルールを下してくれてよかった)

そしてスマホが使えなくなった現代っ子…。
翻訳アプリを使ったり、わからないことはググる、情報はすべてスマホから入手して過ごしてきたので、スマホが使えなくなった途端、撃沈。

完全に日本語からシャットアウトされ、腹をくくって、もはや自分の英語力、ジェスチャー、察する力を総動員して過ごす6日間だったとのこと。

何が起きたのか、状況を知りたいが、普段使わない言葉ばかりなので聞いてもよくわからず…。
電気と通信がいつ戻るのかなと気にながらも、どうしようもないので、とりあえずホストファミリーと一緒にパズルしたり、ボードゲームしたり、折り紙したり。夕方はみんなでそろって散歩時間があったりして、過ごしていたそうです。
毎日することがなくて、とにかく暇。


ホームステイ先にはこれ幸いドイツ人の留学生もいるので
2人で「暇〜暇〜」といいつつ、ジェンガとかしてやり過ごしていたそうな

4,5日目になると近所の住人がジェネレーターを手に入れたからと、モバイルバッテリーに充電してくれたり、先に停電から復旧した区域の知人宅で、温かいシャワーを使わせてくれたりと、温かい助け合いの気持ちを受け取りもしたそう。

街の様子も次第に、耳に入ってきたり、新聞で見たりして、この街がなかなかの被害を受けたことも徐々に知ったようです。

停電が復旧したのは6日目の夕方。
明るいうちに庭で夕飯を取り、片付けを始めていたら、隣の家の子ども達が「power!」と叫ぶ声が聞こえ、家に入ってみたら電気がついたとのこと。
ホストシスターのドイツ人女子Rちゃんと2人で、飛び跳ねてイエーイって喜びあったそうです。

本当に。まさか留学に送り出して早々に、街が被災するなんてちっとも想定していませんでした。娘の住んでいた区域は被害がほぼなかったのは幸い。でも街は大きな被害を受けてしまい、その影響で、その後日本から留学にやってくる予定だった学生も、直前になり来れなくなってしまったという事態も起きているそうです。


日本にいて海外に家族がいて、その家族が災害下にあるような今回の場合、一番怖かったのは現地情報が入ってこなかったこと。
こちらから積極的に探さないと、世界で起きている小さな(いや、現地の人にとっては「とてつもなく大きな」…なのですが)ニュースは、知らずにいてしまうのだなと実感。

今回はたまたま前日に娘とLINEで話していたので、あれ?その後なんかあったかな?と、気づいて調べ、災害が起きたことを知ることができましたが、日本のニュースで流れない限り、日常では気が付かずにいてしまうことも大いに有り得るよねっていうのが実感です。

そして英語がわからないと圧倒的に情報弱者。

そしてそして。スマホでの通信に頼りすぎている現状も、やっぱこんなときには困っちゃうよねって実感。

留学エージェントを介さず留学している我が家の場合は、いざという時の安否確認方法、いくつか用意しないといけないなと思いました。

これまでは娘のスマホ、ホストファミリーの携帯番号、自宅電話番号、メールアドレス、学校の電話番号とメールアドレスを把握していましたが。
我が家の場合は、今回情報を入手するのに助言をくれた現地の知人(今は離れたところに住んでいるけれど、街についてよく知っている元住人、それから街外在住だけれど相談したり力になってくれる私の昔のホストファミリー)には、この後も万が一の何かが起きたときには、力になってもらえるようお願いしておきました。

まずはネイピアのいち日も早い復旧、そしてこのような災害がもう起きないことを願います。





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