建築家手塚貴晴さんの建築~後編:「南三陸あさひ幼稚園」と「キョロロ」~
ようこそケンチクチャンネルへ。タカです。
今日は前回の続きです。前回の記事を見ていない方は先にそちらを見てみてください。
早速紹介する建築は「南三陸あさひ幼稚園」です。
この建築は東日本大震災の被害にあった南三陸地方にあります。
そしてこの建築ができるまでにはある物語があるのです
この地方は過去にも津波の被害にあった過去があるようで、これからまた津波が来た時に街を守るため、また、その記憶を失わないために当時の人が大雄寺参道というところにスギを植えました。
そして東日本大震災後、この杉は波から人々を守る役目をはたして切られることになります。そのあとは、また新しい杉が植えられて次の世代に記憶が受け継がれていくことになりました。
前置きが長くなりましたが、切られた杉の大木を使ってつくられたのがこの幼稚園です。
木材をふんだんに使い、日本の伝統建築の様式を用いて建てられています。
子供たちが走り回れるように教室から廊下は段差がほとんどなく、スライドドアによって開放的に外とをつなげることができます。これはさながら現代の襖や障子のよう。外は緩やかな傾斜の芝生が盛られていて走ったり寝っ転がったりするのに最高だろうな。
「森の学校キュロロ」は手塚さんの初期の作品。
自然に囲まれた敷地であらゆる角度から外が見えるようにくねくねとした形状で展望台まであり、上下の視点も変化します。
冬の積雪に耐えうるように強度の高いコールテン鋼を構造体に使用しており、見た目もこの材質特有の自然な色のむらが何とも言えない味わいを生み出し、自然との調和を実現しています。
中でもこの建築の醍醐味は積雪によって変化する内部空間の変化です。
雪の降らない季節は大きなガラス窓からいっぱいの光が内部を照らします。
雪が降るとその光は積雪によって制限され、隙間から光が差し込むようになります。
この光の量は自然によってゆだねられていて、その面も自然をリスペクトした建築といえるのではないでしょうか。
隙間から差し込む光によって内部はまた違った装いを見せているが、内部の壁がすべて白色であることと、天井がフラットではなく、ポリゴン形であることも少ない光でもより光を反射させて内部に届けさせようという意図が見て取れる作品です。
今日は建築家手塚貴晴さんの建築を二つ紹介しました。手塚貴晴さんの建築を見て、自然との調和と伝統的な建築様式を用いた新しい建築の空間を最新のテクノロジーを駆使して実現しようとしているように感じました。この二つの建築は特にそれがわかりやすく感じ取れる建築なのではないでしょうか。
それではこの辺で失礼します。
ケンチクチャンネルのタカでした。ユーチューブもよろしくねww