日本における障がい者雇用の実態と課題

令和4年の厚労省「障害者雇用状況」によると、日本国内における障がい者の総数は約936.6万人で、人口の約7.4%を占めています。この中で身体障がい者は436.0万人、知的障がい者は108.2万人、精神障がい者は392.4万人となり、障がい者全体の数が増加傾向にあると同時に、在宅・通所の障がい者の数も増えています。

しかし、その一方で障がい者の雇用状況は必ずしも良好とは言えません。身体障がい者の雇用者数は35.8万人と、前年比0.4%減少しています。知的障がい者は14.6万人と前年比4.1%増加、精神障がい者は11万人と前年比11.9%増加となっていますが、それでも全体の障がい者人口に対する比率を考えると雇用されている障がい者は障がい者総数の約6.5%にしか及ばず、社会のダイバーシティ&インクルージョンの観点から、障がい者の雇用には大きな課題が残されていることが明らかです。

障がい者の雇用促進に関する取組みは、障がいの種類に応じた支援や就労環境の改善、雇用機会の拡大など多方面で求められています。身体障がい者にとっては、物理的なアクセスの改善や職場環境の調整が、知的障がい者や精神障がい者にとっては、働くための支援や理解の促進が特に重要となります。

また、雇用されている障がい者の数が増えているとはいえ、それが十分な労働条件や働く権利が保障されている状況であるのか、障がい者一人ひとりが自分の能力を十分に発揮して自己実現できる環境にあるのかという観点からも考える必要があります。

これらの課題に対して、企業や政策のレベルでの具体的な対策や理解の促進が求められています。障がいを持つ人々も含め、全ての人が働きやすい社会を目指すことで、障がい者の雇用促進という課題に取り組むことが可能となります。

ここのば 代表理事 百瀬洋介