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みんなの集大成、あつまる!とよなか地域創生塾第7期「DAY9 閉校式・マイ(アウア)プロジェクト発表!+トークセッション」開催レポート

半年間にわたって続けてきた「とよなか地域創生塾(第7期)」。2024年3月9日(土)は大きなターニングポイントでした。というか、最終プレゼンテーションの日!昨年の12月に結成された5つのチームから、それぞれで進めていること、考えていること、今後しようと思っていることなどをプレゼンテーションしていただきました。

今回は塾生だけではなく、地域の方やこれまで(第1期〜第6期)の受講生の方、まちづくりなどに関心のある方向けにひろく告知も行い、総勢50名ほどの方が集まる熱気あふれる場となりました。じっくり当日の内容をレポートしていきますので、ご覧ください。

文章執筆は、当日司会をしていた「株式会社ここにある」の藤本です。おなじみまして、こんにちは。臨場感あふれるように書いていくつもりですので、「あかんやん!臨場感ないで!」など、随時ツッコみながらお読みいただければ幸いです。

プレゼンテーション中のみなさんの様子。のちほど詳しくレポートしていきますね!

遊びをアウトソーシングしない

今日は、最終プレゼンテーション!と言っても、いきなりプレゼンからスタートするわけではありません。いつも通り、メンバー同士の近況報告からスタートします。毎回、恒例ですね。今回は初めての方や地域の方もいらっしゃるので、いい感じに混ざりながら自己紹介と今の気持ちなどを共有します。

この時間も実は対話や人の話を聞くことに慣れるための時間。ずっと繰り返していると、徐々に話すことや聞くことがうまくなりますよね。

第9回は、初回にお越しくださったソトコト編集長の指出さんに再度お越しいただき、塾生の変化やプロジェクトの進捗を見ていただくことに。

指出さん。いつもメガネがお似合いです。

プレゼンの前に、指出さんより全国における地域づくりの近況やソトコトで取材をされたプロジェクトに関する話題提供をしていただきました。さまざまな事例の紹介はソトコトを購入して読んでいただくとして(笑)、大切な考え方をいくつか伝授いただきましたので、そのご紹介ができればと思います。

特に印象的だったのは「大人が遊べる社会、遊べる状況を自分たちでつくらない(つくれない)と、さらに遊びをアウトソーシングしていってしまう。それはすなわち自分たちのまちや自分たちが暮らす社会をつくる能力を外部化してしまうということにほかならない」というお話。「ここにある」が進めてきた活動とも重ねながら聞いていましたが、外部化しすぎることは非常にリスクの高い行為のように思います。自治する能力、対話しながら共創していくノウハウ。そういったものがなくなっていけばなくなっていくほどに、なにかのシステムに自分たちの暮らしを任せないといけなくなってしまう。奈良を中心に全国で活動する吉田田タカシさんが進める「トーキョーコーヒー」という取り組みの話を聞いて、そう思いました。

また、「やわらかいインフラ」の話も聞かせていただきました。

やわらかいインフラの7箇条。なるほど、、!

このやわらかいインフラは、同じ場所に全部が集まっているよりも、地域内に分散している方がいいということでした。それはつまり、プレイヤーが複数いるということの証明であり、多様な関わりしろが存在しているということの証明なのだと思います。今回のプレゼンテーションの会場にもなっている「ショコラ」はたくさんの行政機能(一部は市民活動機能)が統合されている施設ですが、施設がある庄内というエリアにはさまざまな飲食店を中心に、こども食堂やアトリエ、大学生が運営するカレーサンド屋やコワーキングスペースなど、多様な機能や目的がまちに分散しているエリアでもあります。そう考えてみると、庄内というまちは非常にポテンシャルの高い地域なのかもしれませんね。

指出さんからの話題提供が終了したあとは、いよいよ各チームからのプレゼンテーションの時間。それぞれが順番にこれまでの活動内容や今後の展望について発表していきます。

各チームからの発表!

まずは「癒し台」のみなさんからのプレゼンです。「癒し」×「屋台(DAY4のワークショップでつくりました)」を組み合わせて、癒し台というチーム名になっています。2月にショコラで開催されたイベントに出店し、そこでいろいろなコンテンツを実施したそう。たとえば、石鹸づくりのワークショップをしたり、折り紙を折ったり、物々交換をしたり、お茶を配ったり。メンバーそれぞれができることや試してみたいことを掛け合わせてコンテンツをつくったそうです。

多様なメンバーが集う癒し台。初っ端から映像+インタビュー形式のプレゼンをした結果、他のチームがビビってましたよ!

指出さんは「リトリートが時代としても流行っているが、今回の癒しというテーマはまさにそういったものなのでは」と語ります。また「それぞれができることを持ち寄って、商店街のような場や風景が生まれていたのではないか」とのお言葉もいただきました。

リーダーの福山さんからは「最初は自分が引っ張らないといけないと思っていたのですが、どんどんみんなに頼ったらいいんだと思うようになりました。自分の変化に驚きです」とのコメントが。その変化もまさに「癒し」のプロセスなのかもしれません。自分で全部やっちゃうのって、楽だけど大変ですからね。

普段はデザイナーとしても活動する太田さん。いつもかわいい娘さんと一緒に参加している。銭湯への愛情が深すぎる。

2つ目のチームは「とよなかおかずくらぶ」。リーダーの太田さんの「近所の人たちで助け合える関係性がつくれたら」という思いと「おかずが余っちゃうので、他の家庭とシェアしたい」という思いが組み合わさってできた活動です。これまでに、とよなか地域創生塾のメンバー向けのアンケートを実施したり、イベントで一般の方々にコメントをもらったり、余っている食材を持ってきて創生塾メンバーでクッキングイベントをしてみたり。具体的な取り組みをたくさん進められてきたようです。

アンケートの取り方やまとめ方、みなさんが感動していました。美しいリサーチ!

今後はショコラで定期的に場を開きながら、豊中市内のいろんな場所に拠点をつくっていければとのこと。「距離が遠いとおかずを渡しに行くのは難しい」という基本的なこと、でもやってみて見えたとても素晴らしい気づきがあったため、近くで関わることのできる関係性を徐々につくっていく方針で進めていくようです。今後も注目ですね!

指出さんからは、スウェーデンの事例も引き合いに出しながら「フードロスに楽しく地域で取り組めるかどうかは非常に重要。今後も続けてほしい」とエールをいただきました。

さあ、どんどんいきましょう!

3つ目のチームは、演劇とケアを混ぜたまちづくりに取り組むチームです。まだ名前はないそう。ですが、こちらのチームも2月のショコラで開催されたイベントにコンテンツ提供をしています。

チームを率いるのは大学生の星さん。自身も大学で演劇を学ぶなどしており、地域でも演劇に関連する取り組みを進めたいと思っていたそう。そんな彼女と、町工場を経営しながら役者もしている小池さんや、医療畑の仕事をしながらアートやデザインにも造詣の深い虎頭さんらが出会い、意気投合してチームができました。

イベントで変な格好ばかりしている小池さん。7期のムードメーカーである。

イベントでは認知症をテーマにした即興劇や参加者を巻き込んだコンテンツなどを実施。同じ企画を2度行う2部制で実施したそうなのですが、第1部は途中から登場した小池さんの見た目が怖すぎて参加者の子どもたちが逃げてしまったとのこと。

「第2部は最初から小池さんにいてもらうようにして、子どもたちに慣れてもらいました。その結果うまくいったんです」と語るのは星さん。いや、どんなコンテンツやねん。

と、冗談はさておき。

医療福祉とアートやデザインの世界が近年徐々に近づいてきていますが、今回の取り組みはその流れも汲んだもの。一見、というか真面目で堅く見える医療福祉に関わる接点としてアートや表現、デザインを活用して、その関わりのハードルを下げていくのは非常に重要な手法ですね。医療や病気、障がいや人の生死が暮らしから遠いものになっていかないよう、いろいろな方法を使いながらその関係性をつくっていけるといいなと感じます。

指出さんからは「当事者ってだれなんだ、という話があります。誰かのためという視点と、みんなで一緒にの視点、いずれも大切にしていきたいですね」とのコメントが。ともにある地域をどうつくっていけるか、今後の活動に注目です。

残るは2つ。4つ目のチームは「とよなかって(ローカルメディア)」チームです。リーダーの増田さんは大阪大学に通う大学院生ですが、豊中在住ではありません。普段の活動エリアは阿倍野が中心のようです。そんな阿倍野には「あべのって」という地域を楽しんだり、地域を発信したりするチームがあり、増田さんも関わっているのですが、今回のプロジェクトタイトルはその「あべのって」から引用したものです。

ほかに「ながたって(神戸の長田)」もあるそうです。いや、まだまだあるのかもしれない。

プレゼンテーションまでに「ショコラ」の記事や「庄内さくら学園」の記事(執筆中)などを仕上げており、今後もアップ予定の記事がいくつもあるようです。メディアがあれば取材を口実に会いたい人に会いに行けるというメリットはありますが、なかなか継続が難しいという点もあるローカルメディア。ゆるゆると続いてほしいなあと願うばかりです。

話しているのがリーダーの増田さん。ショコラの紹介記事はめちゃくちゃよかったです。丁寧。しかし、発表は制限時間を大幅にオーバーしていました(笑)。

指出さんからは、現在の校正や記事のリリースプロセスについて言及がありました。

「今のメディアや出版はほぼ必ず校正を挟むので、その記事が出る際には文章として沈静化されているケースがほとんど。ソトコトでは誰の校正も通らない記事が一部あって、それが実は大きく化けたりすることがある。もちろん、書いたことは元に戻せないので、諸刃の剣でもあるのですが」

熱い文章をどうアーカイブするか、というヒリヒリする話を聞かせていただきました。

いよいよ、最後のチームのプレゼンに。最後のチームは「団地を活用した子育て支援」をテーマに活動するチームです。こちらもまだ名前がありません。リーダーは「シャレール東豊中団地」を運営するUR都市機構の川村さん。仕事とプライベートが重なった活動です。

仕事のような趣味のような、趣味のような仕事のような。うまくバランスが取れてきました、とプレゼン後に語っていました。だいじ。

前述のシャレール東豊中団地の中に「ぼん・しゃれーる」という小さな図書館・コミュニティスペースがあります。今回のプロジェクトは、その場所を活用しながら団地の住民を中心とした関係性づくりを進めていくための取り組みです。福祉や居場所づくり、子育て支援に関心のあるメンバーが集まり、3月末にイベントを開催予定。内容はピザづくりです。

どうりでメンバー紹介がそれぞれが好きなピザだったんだな、とみんな合点。それぞれどんなピザが好きなのかは忘れました。

川村さんお手製のチラシで告知をスタートしたそうですが、ものの1日で10組の参加者が埋まったそうです。すごい!段階的に参加者や団地で暮らすみなさんと関係性づくりをしながら、みんなで運営できる体制に移行しようとの計画も。入念ですね。イベント当日は「とよなかって」のメンバーが取材に入るようなので、またレポートを待ちましょう。ちなみに藤本からは「団地談合」という企画をやってください、という謎のオーダーをしておきました。団地の面白い活動が集まるとなんだか面白そうなので。

ということで、5つのチームからのプレゼンがすべて終了しました。次のステップが明確なチーム、それぞれでできることを模索しながら進めていくチーム、フェーズや状況はバラバラですが、一旦はみなさんお疲れさまでした!と言えるような素敵な内容だったように思います。チームでの発表に加えて、個人でやってみたいことを発表してくれるメンバーもいて、心強いです。

最後に指出さん、塾長の橋本さんからもコメントをいただいて交流タイムに。

自分のやってきたことが間違いではなかった、と思わされる各回でした。今回をスタートにしながらまたこれからも豊中でいろいろ一緒にやっていきましょう!とのエール。どんどん巻き込んでいくぞという気持ちが顔に滲み出ていますね。
全員のプレゼン終了後は、現在動いている「とよなかサマーセミナー(仮)」の話や、活動を進めていくための助成金案内もありました。うれしいですね。

ぜひ、今後も「とよなか地域創生塾」メンバー発の活動やイベントに、ご注目くださいね。いや、まだ振り返りのための最終回があった。ということでレポートはまだ続きますので、最後までご注目ください。そして、来年度はぜひ受講生としてご参加いただければ幸いです。とっても素敵な講座ですので。

文:藤本遼


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