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【イベントレポート】0211「梅田の!ローカルメディア」プロジェクト、ついにスタートです!

みなさんこんにちは!株式会社ここにあるの白川です。今回は2月11日よりついにキックオフした新プロジェクト、「梅田の!ローカルメディア座談会」第1回の様子をお届けします!

梅田で、ローカルメディアをつくる。

座談会第1回の会場はJR大阪駅からすぐの、グランフロント大阪「うめきたSHIPホール」。ちょうど現在(2023年11月24日~2024年2月25日まで)、アイススケートのリンクが目印となっている「うめきた広場」内、GARB MONAQUEの2階にあるホールです。ガラス張りの会場からは大阪駅が一望できる、まさに「梅田!」な会場でスタート。

グランフロント、HEPの観覧車、大阪駅と梅田を象徴するものが一望できるロケーション。

なんとキックオフイベントの第1回にして、総勢50名を超える方々が参加してくださいました。中には関東や九州など、県外からの参加者も。参加者はライターや編集者ばかりではなく、梅田で飲食店を営んでいる方や主婦の方まで幅広い方々が参加。しかもその中でも半分以上の方が、続く第2回、第3回も合わせて申し込んでくれています。梅田という都市で行うローカルメディアの希少性と注目度がひしひしと伝わってくるようです。

開場時、受付にはすでに行列が!さまざまな方が参加してくださいました。

どうして梅田でローカルメディア?

会場で用意していた椅子がほぼ埋まり切ったところで、座談会がいよいよスタート!第1回の進行を務めるのは、株式会社ここにある代表の藤本です。このプロジェクトの経緯を話す前に、藤本がちらっと会場に問いかけを投げました。

「ちょっと手を挙げてみてください。梅田に住んでいる人?じゃあ、梅田で働いている人?最後に、梅田に買い物や用事でよく来るよって人?」

梅田に用事で来る、という人が全体の7割程度でした

藤本の会場への問いかけには「働いている・用事で来る」に手を挙げた方がほとんど。これだけでも、梅田のイメージが少し分かりそうですね。「住む」というよりも「働く」「用事を済ませる場所」といったイメージが強いのかもしれません。

藤本の自己紹介、ここにあるの簡潔な活動紹介などを終え、共にプロジェクトを進める阪急電鉄株式会社の永田賢司さんにバトンタッチ。永田さんから熱く、今回の「梅田でローカルメディアをつくる」ことの経緯や思いを語っていただきました。

ここにある代表の藤本(左)と、阪急電鉄株式会社の永田さん(右)

大阪新阪急ホテル・阪急ターミナルビルの建替や阪急三番街の全面改修プロジェクトである「芝田一丁目計画」に伴い、将来の阪急大阪梅田駅、ひいては大阪梅田エリアのあるべき姿を実現していくための組織として、「大阪梅田2030プロジェクトチーム」が発足。

それに伴い、さまざまな検討課題に対して分科会が発足されたのですが、その中のひとつに挙がったのが「まちづくりの情報発信」について。そこから自社だけではなく、梅田というエリア全体を盛り上げる「ローカルメディアをつくろう!」という動き出しが生まれスタートしたのが、今回のプロジェクトの発端です。

しかし、ローカルやまちづくりに関わっているみなさんならもうすでに思ったのではないでしょうか。本当に、梅田という経済合理性に基づいた「都市」で、「ローカルメディア」ができるのか?と。

中心となる私たちも、梅田の持つさまざまな側面に向き合い、どんな形でどのようにローカルメディアをつくっていくのがベターなのか探り続けている最中です。むしろ、その問いをみなさんと一緒に探りたくて、この座談会があるといっても過言ではありません。

「梅田という『複雑な』まちなので、いろんな方々に関わってもらいながら、共に考えていくことができればと思っています」

永田さんの説明は、思いのある一言で締められました。

今回のゲストは、藤本智士さんと田中輝美さん!

さて、経緯紹介や思いのシェアが終わったところで、ついに待ちに待った座談会のゲスト紹介です!今回のゲストは、雑誌や書籍にとどまらず、場所やローカルの編集にも携わる有限会社りす代表の藤本智士さんと、島根県立大学の准教授も務める、ローカルジャーナリストの田中輝美さん。ローカルやまちづくり界隈の中でも著名なお二方を迎えて、座談会はいよいよ本格的にスタートです。

・(左)藤本智士さん プロフィール
1974年生。兵庫県在住。雑誌『Re:S』(2006-09)『のんびり』(2012-16)『高橋優 秋田キャラバンガイド』(2016-現在)編集長を歴任。2020年〜地域編集を学びあうオンラインコミュニティ『Re:School』主宰。「マイボトル」という言葉をつくり、できる限り未来に負荷を残さない社会を提案するなど、誌面に捉われない編集を数々実践。自著『魔法をかける編集』(インプレス)など。共著『Baby Book』(イラストレーター福田利之)など、編集執筆した書籍多数。

・(右)田中輝美さんプロフィール
島根県浜田市出身・在住。大阪大学文学部卒業後、山陰中央新報記者を経て、ローカルジャーナリストとして島根に暮らしながら地域のニュースを記録・発信。著書に『すごいぞ!関西のローカル鉄道』(140B)、共著に『木次線ローカルガイド』(ハーベスト出版)など。「乗り鉄」の顔も持ち、JRは全路線に乗車。関係人口を研究し、2020年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。2021年〜島根県立大学准教授。

これからの「ローカルメディア」ってなんだろう?

ゲスト2人を交えたセッションは、運営が用意した仮説や問いかけからスタートします。それは「これからのローカルメディアってなんだろう?」というものです。

これまでのローカルメディアのイメージは(あくまで私たちの偏見です)、情報の流れが一方的ゆえに消費される(消費を促す)メディアという感が否めませんでした。取材する側とされる側が分断され、その取材したものを記事にして閲覧を促すという流れで、受け取った人はその記事を見てなんらかの判断をするような形が多かったように思えます。

しかし、そうでないあり方をつくれないのだろうか?相互の関係性が徐々に耕されていくメディアってどんなものだろうか?情報の点と点がつながって、線や繋がりになるメディアってなに?地方という意味のローカルではなく、都市という中でのローカルにおいて消費されないみんなで耕していくローカルメディアをつくるにはどうすれば?と、運営が事前に考えた問いかけや仮説がスライドで紹介されていきます。

輝美さんが年刊誌『みんなでつくる中国山地』を仲間と創刊したときのテーマも「消費しない・されない」がテーマだったそう。

「これがないと出会えない人に出会える。メディアって、繋げてくれることが一番大きいと思うんです。メディアがなければ繋がらなかった人がたくさんいます。そういう”媒介”になってくれるもの。今までの梅田の街では繋がらなかった人々が、ローカルメディアを通して繋がることができたら、素敵なことではないでしょうか。

メディアとはもともと、情報の伝達を行う中間的(meduim)存在のことです。消費されないメディアをつくるためには、オンラインでのコミュニケーションのみならず、そうしたオフラインでの行動変容、具体的な出会いの演出にまで乗り出す必要がある、とも言えそうです。

目に見えない文化と「梅田らしさ」

「僕が一番楽しかった時期の梅田はカオスさがあったというか、有名無名関係なく、まちから何かが生まれる空気があったんです」と語る智士さん。

「それがどんどん経済合理性に回収され、あの頃の空気感と離れている感じがある。阪急の話で言うと、創業者である小林一三が耕した文化・カルチャーのもとで僕たちは暮らしてきたわけです。けれど今はどんなものでもすぐスクラップ&ビルドしちゃう。けれど、僕は編集者なので、壊すのではなくてあるものを活かすのが仕事。だから、新しくつくるのってなんでだろう?開発してリセットするのはなんでだろう?と考えたりしますね。価値の指標がすべて数値の話に取り込まれるまちでは暮らしづらいと思います。それをこの梅田という都会からどう揺さぶりつつ発信できるのか?を考えたいですね、一緒に」

智士さんの語る言葉は、どこか問いかけのようでもあり、運営を含めたオーディエンスの皆さんに突きつけられた楔のような気さえしました。先人たちが耕してきた、目には見えない文化・カルチャーを壊すのではなく、どう継承しながらアップデートしていけるのか。そしてそれは、この「梅田」というまちでも可能なのか?なかなか難しい問いかけでしたが、会場の雰囲気がグッと前のめりになったのを感じます。

「最初の質問でも出たけれど、このローカルメディアは、梅田に住んでいない人たちがつくるメディアになるんじゃないでしょうか。それは新しいけれど、誰のために?なんで梅田でやるの?という観点はみんなで一緒につくっていきたいですね。議論が割れたときに、立ち帰れる場所になると思うので」と輝美さん。

最初に会場に聞いた「梅田に住んでいる人?」という問いかけで手を上げた方はほぼいませんでした。そんな中で、私たちは誰のために、どうして梅田でローカルメディアをつくるのか?そのあたりをしっかりと悩み考え、一緒に体験していく必要がありそうです。

文化の発信とは、こちら側からの発信ではなく、あちら側を掘り起こすこと

質疑応答では今までのセッションを振り返って、さまざまな問いや質問が会場内を飛び交いました。その中でも個人的に印象が残ったのは「発信の仕方について、気をつけていることはありますか?」という質問です。

「『発信』という言葉がどうしても一方通行になってしまいがちですよね。『届く』となると相手がいます。発信は自分のことをどう上手く伝えるかになってしまい、相手が意識することが減ってしまう。例えば、いくら地域の美味しいものを教えてもらっても、鉄道を見に来ている人にはあまり刺さらないかもしれないわけですよね。だから、相手を想像するしかないんですよ」と輝美さん。

また少し別の質問ではあるのですが、どこか同じようなことをおっしゃられていた智士さんの言葉も併せてご紹介。

「『文化資本の経営』という書籍の中にある、資生堂の社長を務めた福原義春さんという方の言葉なんですけど。文化の発信とは、こちらが知っていることを伝えるのではなくて、相手の持っているものを掘り起こすことだ、と。今このまちは発信で溢れている。そうではなくて、受け手側にあるものを掘り起こしていく形で、文化を、ローカルメディアを作っていけたら面白いと思います」

質疑応答では、たくさんの質問が集まりました。すべてにお答えできず、申し訳ありません!

個人的にお二方のこの言葉が一番印象に残っており、考えさせられた大きな問いでもありました。こちら側からの一方的な発信ではなく、相手(受け手)が持っているものを掘り起こし、送り手と受け手、地域と人の関係性をどう耕していけるのか。そしてそれは、梅田という都市だからできることでもあるのでは?と希望のようにも思えます。

そんなこんなで、あっというまに座談会は終了。密度の濃い時間で、ぐったりしたような楽しみが増えたような気がします。最後に、会場でグラフィックレコーディングを担当してくれたアートディレクターの佐藤瞳さんがまとめた画像を紹介し、まとまりと分からなさを抱えつつもひとまず閉幕となりました。

次回以降も「梅田の!ローカルメディア座談会」は続きます。まだまだ募集を受け付けていますので、お気軽にお申し込みくださいね。

▼申し込みはこちらから!!
https://forms.gle/zju5mczShy8NCNfa6

▼イベントページ
https://fb.me/e/6CUSrgSz6

「メディアが人と人とを繋げる媒体だとするならば、今回の講座やちょっとした場を作ることもメディアになるのではないかなと思いました」終了後のアンケートでは、参加者の方から上のようなコメントが。まさにこれは運営が意識していることで、一方的に登壇者が話して、学んで終わりにはしたくないのです。この日が何かのきっかけになればと思い、場づくりをしています。

そんな場で大きな問いや学びをシェアしてくださった、智士さん・輝美さん、本当にありがとうございました!引き続き、お二方とも会場に来てくださったあなたとも、これを読んでくれているあなたとも、難しさを分かち合いながら共に進んでいけたら幸いです!

第2回は2月28日!第3回は3月10日の開催です!

さて、いろいろと難しさをシェアし合った第1回。このプロジェクトはもちろんこれで終わらず、次回以降もどんどん続きます。

気になる第2回は、2月28日(水)19時から、新阪急ホテルにて開催!
ゲストに作家・エッセイストの島田彩さんと、編集者・バックヤードウォッチャーの今井夕華さんをお迎えして「記事作成は大喜利? 〜そこにあるものを別の視点で眺めてみる力と、孫力(まごりょく)について〜」というテーマで、お二人にお話を伺います。

第3回は、3月10日(日)14時から、OSAKA FOOD LABにて、ゲストは株式会社Huuuu代表の徳谷柿次郎さんと、合同会社千十一編集室代表の影山裕樹さん。さまざまなローカルメディアを手がけてきたお二人に「わたしのローカルはどこにある?」というテーマで伺います。

どちらももう少しだけお席がありますので、関心のある方は以下より参加申し込みくださいませ!

▼申し込みはこちらから!!
https://forms.gle/zju5mczShy8NCNfa6

▼イベントページ
https://fb.me/e/6CUSrgSz6


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