一人百物語
22 寝かしつける話
電車に座って美術展に行った時のこと。乗り換えこそないがそこそこに遠い距離なので、帰るときにはへとへとで、電車の心地よい揺れも相まってつい眠くなってしまった。ふと、背中を一定のリズムで叩かれる感覚があった。当然だが自分の背中は座席の薄いクッションにつけられている。両隣に人はいない。
異常事態だ。
それでも眠気で判断能力が鈍っているのか、「それ」が嫌な感覚がしないからか、自分はそのまま眠りこけてしまった。
気がついたときには最寄りの駅に着いていた。あれはなんだったのか。
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