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【ココロハチマキ】旅は人生のお師匠さん#2

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ラオス・カンボジア編2
カンボジア シェムリアップ郊外

下を向けばため息
上を向けば深呼吸
その先が変わるよね。

シェムリアップの町についたその日の午後、
お店で自転車を借りた。
オーナーから指定されたは、
マウンテンバイクでもママチャリでもない
昔の魚屋さんが乗っていた黒くて重いゴツゴツした自転車だ。

見た目のゴツさに思わずにやけた。
ペダルを漕ぐと、一周ごとにクランクがゴトン!と揺れる。
別の自転車に変えてくれとお願いしても
貸し出しできるのは、これしかないという。
年季の入ったおじいちゃん自転車。
それもまたいいかと、郊外に向けて走り出す。

大量のバイクに翻弄されながら町を抜けると
かわりに広々としたたんぼが広がってきた。
乾季なのだろうか、田植えはされていない。
かわりに、ところどころで牛が放牧されている。

大きな音を出す車も通らない静かな道を
目的地も決めず、地図もみずに走る。

カックン、カックン・・・という
自転車のクランクのリズミカルな音に
前かごに入れた1.5リットルのミネラルウォーターが
パシャパシャ・・・と水音をかきならす。

休憩がてら、たんぼの脇に腰をおろし
だだっ広いたんぼを眺めていると、
近くに家があるという若者が近づいてきた。

町でトゥクトゥクの運転手をしているそうだ。

アジアのタクシーやトゥクトゥクのドライバーというと
商売のオーラがみなぎっている感じだ。
目の前にいる彼は、今日は休みだからと、
そのモードも完全にオフ状態だった。
もしかすると、もともとガツガツいけるタイプでは
ないのかもしれない。

隠居したおじいさんのように穏やかな彼と
片言の英語で話しながら、
話が途切れるとふたりして空を見上げる。

ここは空が広いからか、沈黙が怖くない。

写真を撮らせてというと、
少し恥ずかしそうに微笑んだあと
空を見上げて深呼吸をした。

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