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文科省の私大再編!どうなる保育養成校

この記事は、日経新聞のトップ記事です。文中に「保育」という言葉は入っていませんが、保育業界の行方を左右する重要なニュースです。

日経新聞トップ記事「文科省、私大再編へ撤退後押し」

「自主的縮小で補助金増 600校の5割、定員割れ」
文部科学省は経営が困難な私立大学の撤退支援策を拡充する。(中略)自主的に規模を縮小した大学への補助金増や再編支援を通じ、大学教育全体の質向上につなげる。

日本経済新聞2023/09/23

◆ 私立大学再編の記事の概要

  • 定員割れで経営困難な私大を文科省が撤退支援することを決定

  • 2040年迄に大学入学者は2割減。もはや私大は淘汰が避けられない

  • 補助金で自主的な縮小や再編を促し、ソフトランディングを目指す

簡単にまとめると、
「5年前に、大学を縮小しろって言ったけど、進んでないよね。今回は、お金を出すから早く決断してね。でなければ、もっと厳しくしていくよ」ということです。

これで、短大はもちろん、4年生大学(以下、4大)でも、定員充足率の低い学校や学部の撤退や縮小が、加速することは間違いありません。特に、教育学部は、歯学部、家政学部についで定員充足率が低く、今後さらに撤退が進むものと思われます。

◆ 保育養成校の現状は?

指定保育士養成施設は、4大・短大・専門学校を合わせて全国に約650校あります。その養成校から年間約4万人の卒業生を出していましたが、最近の入学者数は、毎年約1割減少という危機的状況に陥っています。

そもそも保育養成校は、短大の占める割合が高く、以前より減少傾向にありました。平成の後半は、4大が保育学生を増やしてきまし、その減少をカバーしていました。

今、その増加も止まり、保育養成校は、一般大学よりかなり早く限界を迎えたのです。

予想より早く保育の短大が無くなってしまう理由…。

短大の半数以上は保育養成校。これからは、短大の閉校に加え、4大も学生数を減らしていくことになります。

①4年制大学への改編が加速する

短大が不人気のため、4大を併設している短大は、そこに学部を組み込む動きがありましたが、これらが加速する可能性があります。

  • 安田女子短期大学〈広島県〉

  • 東海大学短期大学部〈静岡県〉

  • 岐阜聖徳学園大学短期大学部〈岐阜県〉

「残るならいいよ。」と安心してはいけません。東海大学の短大は、静岡県から神奈川県に移転新設しました。4大に変更すると、2年間は卒業生が出てきません。閉校後に新設であれば、4年のタイムラグが発生します。

また、4大に改編の際に、保育から教育学部に変更することがあります。定員が増えたとしても、小学校教員課程を含めた学部になる可能性があります。

その際、どちらの職に、多く人材が流れていくのかは、保育経営者の方であれば、分かっていると思います。

②名門校の早期撤退が加速する

幼稚園や小中高の名門校を持つ短大は、早めに損切りしてしまう可能性があります。

青山学院女子短期大学の早期撤退は、有名な話ですが、東海大学短期大学部や養成校ではありませんが上智大学短期大学など全国的に知名度のある大学の短大も閉校しています。

  • 青山学院女子短期大学〈東京都〉

  • 久留米信愛短期大学〈福岡県・高校は松田聖子の母校〉

それで、養成校はどうなる?

4大への道が残っている短大と地元名門の幼稚園、小学校、中学校高校を持っている短大は、損失拡大を防ぐため、早期の撤退が予測されます。

損失は、お金の問題だけでなく、閉校に伴うバタバタ問題が発生すると、ブランドにも傷が付きます。

そんな中で、保育単科の短大は、思ったより頑張るんじゃないかと思っています。

あくまでも思ったよりは…です。

学校法人は、解散時に資産を国に返還します。ですから、基金がなくなるまで運営を続ける可能性があります。それまでに、学生数を回復することができれば、復活する可能性も充分にあります。

また、もうひとつのシナリオとして、資金の潤沢な大学や専門学校が大学を買収する可能性もあります。

  • 小田原短期大学〈神奈川県〉

  • 聖和大学〈兵庫県〉

いずれにせよ、今までと同じでは、何もしていないと同じなので、快方に向かうことはありません。

近隣の養成校がなくなったらどうしますか?

一度、真剣に考えてみてください。


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