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④こども誰でも通園制度は、誰を救済する制度なのか?などを考えてみる

前置きが長くなってしまいましたが、今回は、いよいよ本題である「こども誰でも通園制度」は、誰を救済する制度なのかを考えてみます。


誰を救済する制度なのか?

「こども誰でも通園制度」の構築において、大事なのは、この制度が実際に誰を助けるために存在するのかという問いです。私は、この制度が主に以下の4つの対象を支援するものだと考えます。
①子育て家庭
②子ども
③園児の少なくなった施設
④自治体

それぞれの対象を平等にサポートできれば問題ないのですが、実際にはこの目標を達成するためにはいくつかの複雑な問題や課題が存在します。また、それぞれの利害が対立した時にどちらを優先するのか?理想と実現難易度を考慮しなければなりません。

◆子育て家庭を支援する制度

こども家庭省が提唱する「就労要件を問わず、全てのこどもの育ちを応援し、全ての子育て家庭に対する支援」という制度の理念です。核家族化・地域のつながりの希薄化が進み孤独感を感じる中、本制度が施行されれば、保育の専門家に気軽に相談できる機会を得ることができます。

しかし、実際には多くの家庭が既存の制度を利用することが難しい現状があります。これは、制度が複雑で手続きが煩雑であることが、家庭にとってハードルとなっていることを示唆しています。子育て家庭をサポートするためには、制度を単純化し、情報提供を効率化する必要があります。

◆子どもを支援する制度

「こどもまんなか」というスローガンを掲げたこども家庭庁の設立は、特に困難な状況にいる子どもたちを助けるための取り組みを象徴的に示しています。社会的な責務として、特に苦境に立つ子どもたちを支援することは重要です。

少子化で子ども同士の関わりが少なくなる中、子ども同士の育ち合いの機会を得ることができます。また、保育者が定期的に関わることで「いつもと違う」に気づくことができますので、虐待の予防・早期発見につながる可能性もあります。

しかし、制度を拡大し、多くの子どもたちをサポートするには予算の問題がついて回ります。予算が限られている中で、最も必要な支援を提供する方法を見つける必要があります。

◆園児の少なくなった施設をサポートする制度

少子化が進行するなかで、保育施設の維持が難しくなっている地域が増えています。保育園は社会のインフラとして不可欠な存在となっており、需要が低下しているからといって、資本主義的な観点からその存続を諦めることは社会にとってプラスになりません。むしろ、地域社会全体が協力し、施設の維持をサポートする方法を模索すべきです。コンパクトシティなどのアイデアも一つの選択肢として考慮されるべきですが、地域の特性に合った柔軟なアプローチが求められます。

◆自治体の機能を維持する制度

最後に、自治体として、地域における保育機能を維持し、長期的な地域の発展や維持をしなければなりません。地域社会と自治体が連携し、持続可能な制度を構築する必要があります。

結論として、誰を救済する制度についての議論は単純なものではありません。子育て家庭、子ども、施設、自治体をサポートするためには、予算、効率性、地域の特性など多くの要因を考慮しなければなりません。最終的なゴールは、社会全体が持続可能な方法でこれらの要素を救済することです。この目標に向かって、様々なステークホルダーが協力し、制度の改善と効果的な実施を進めるべきです。そして、誰もが公平に機会を享受できる社会を築くために努力し続けるべきです。

どれくらいの予算がつくのか?

令和6年度の概算要求では、事項要求(金額を示さずに事業の項目だけ記して要望すること)となっています。コロナを経て「後出し予算確保」という裏技が増えているようです。なので、現時点では予算は不明です。

子育て関連の予算をどこで確保するか暫く横行する裏技になるんでしょうかね。


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