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凪良ゆう『星を編む』を読んで

凪良ゆうさん『星を編む』📖
『汝、星のごとく』の続編です!👏

前作『汝、星のごとく』は
ここ最近読んだ小説で一番心が動かされた作品でした。
なので続編はすごく嬉しかった✨

即本屋さんで購入し、
久しぶりに小説一気読みでした😌

※前作の感想もしっかり書いておりますので
こちらも読んでください💁🏻‍♀️

今回の作品は、
前作のキャラクターそれぞれに
スポットを当てた短編3作📚

1話目は、前作の主人公暁海の恩師であり夫である北原先生と、元教え子菜々の過去の物語
2話目は、前作の主人公櫂が生前ともに仕事をしていた編集者2人の現在の物語
3話目は、1作目と2作目を踏まえた暁海と北原先生の現在の物語
こんな構成でした!

個人的には2話目が一番読み応えがあったなあと思います。

敏腕編集者2人が、
生前打ち切りになってしまっていた櫂の漫画の復刻と
生前密かに櫂が書いていた小説の刊行に奮闘するのですが、
その奮闘の中で、関わる人との関係性の難しさに悩み考えるというお話でした。

特に刺さって苦しかったのは、
編集者のうちの1人、二階堂さんが
旦那さんから離婚を切り出されるシーン...

ここに刺さっている人あまりいないかもしれないけれど笑

一見良好な夫婦関係を築いていた2人ですが
子供を産むかという話になると、
今は仕事を頑張りたいという気持ちが強い奥さんは口をつぐんでしまうシーン。

旦那さんはにこにこしながら
「僕は自分の勝手で人の人生を左右したくないし、左右されたくもない」
という正論じみたことを伝えた上で

「絵里ちゃんは子供を作ることについて前向きじゃなかった。僕は子供が欲しい。けど俺が絵里ちゃんに子供を産ませることを強要してしまったら、絵里ちゃんが仕事を頑張りたいという気持ちを邪魔してしまうよね。」

「ここ数年君が子供の話をしたがらない間僕はずっと我慢していた。これって暴力だよね?」

と一方的に意見を主張し、離婚を申し出ます。

このシーンを読んだ時、
旦那さんはなんて身勝手で相手を理解しようとしていないんだ、と怒りと呆れが溢れ返りました

まず、なぜ奥さんが子供を産むことに抵抗しているかを聞こうとしていないじゃないか。

もちろんそれを言わない奥さんにも非はありますが、そこで対話してこなかったことがおかしいのではないか?

ちょうどこの話を読む直前に、
友人と「対話」について話していました。

対話とは
「相手との前提の違いに気づき、その溝を超える」ために話すことだと思います

旦那さんの何が腹立つって、
「僕は君のことを理解して、君のことを思って言ってるよ」感を出しているけど、
なんっっにも絵里さんの気持ち理解してないやん!ということ

奥さんはなぜ仕事を頑張りたいのか?
女性という産む側の立場としての気持ちは?
などなど、奥さんとて他者である絵里さんの
「前提」にきちんと向き合うべきだったのではと思うのです....

※対話については、宇田川さんの『他者と働く』が本当に分かりやすくておすすめです!私の定義も、こちらの本から解釈したものです。

そしてもう一つ言いたいのは...
人生を左右したくもないし、されたくもないなんて、結婚して人生を共にしようとした時点でお門違いな主張じゃないか?と

夫婦関係以前に、人生を歩んでいる時点で
周りの人や環境に左右されているわけで。

なんで妻の人生を左右する覚悟も持っていないし
左右される覚悟もないんだろう。と感じました。

話中では、旦那さんは自分の自由と権利を主張していましたが、
「責任」には目を向けないのか?と心がひりひりしました。

この旦那さんは、ずるい。
人のことを大事に思い、メリットを提示している風に見せて、自分のことしか考えていないんだなあって思いました


長々と2話目について書いてしまいました。
ちなみに1話目と3話目は、
ちょっと現実離れしている状況設定で
短編で読むには感情移入しきれなかった...笑

それでもやはり凪良さんの物語は
登場人物の発する言動が繊細で、
一つ一つに何かしら感じるものがあります。

今回の物語もやはり
「自分の人生は自分で決める」
メッセージだと感じていて、
この人は作家という仕事を通して
このメッセージを伝え続けたいんだろうな〜
なんてやや俯瞰した気持ちになっていました

個人的には、
職業柄日常的にそのようなメッセージを言ったり聞いたりするので、
凪良さんの本は好きだけど、少し気疲れしてしまうことがあります。

自己決定の重要性を読み、心を動かされ、
明日から何か変わる人がいて欲しいという思いと
とはいえなかなか変わることは難しいリアルを
仕事で見ているので...

とはいえ今後も気楽に、凪良さん特有の、
登場人物の言葉の繊細さや機微を掬って
読んでいけたらと思っています💭

また新作を楽しみにしています!!

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