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ひらいめぐみ『おいしいが聞こえる』を読んで

ひらいめぐみさんという方の、
ごはんにまつわるエッセイを読みました📖

元々エッセイが好きで、
その中でもごはんにまつわるエッセイが大好き。

エッセイを読むと、その人の人生を覗き見た気分になります。

その人にしかない経験もそうだけれど、
些細なことに対する感覚や価値観を知ることができて、
「そういう見方、感じ方をするのか...」と
その人の感覚を体験した気分になる。

その中でも「ごはん」というのは
日常的なものであり、
人によってさまざまな感覚があるもの。

以前、西加奈子さんの『ごはんぐるり』という
ごはんものエッセイを読みましたが、
すごくおすすめです。

ひとつのお話が数ページで完結するので、
毎晩寝る前にひとつ読んでいました。

短編エッセイは
私の中では安眠グッズになっている気がする...



今回の本は小豆島のTUGBOOKSで購入しました。

これまた独特な感性と個性的な描写で
半分漫画を読んでいるようでした。(笑)

そんな中でもグッと刺さる表現が唐突に現れるので、心がじんわりしたり考えさせられたり。

ひとつ目のお話『白を食べる』では、
白い食べ物がなぜか苦手な作者の気持ちを描いていて
初手から作者の個性がダダ漏れでした(笑)

小豆島の本屋でこの本を買ってすぐ
ホテルで寝る前に読み始めましたが
あたりを引いたぞ!と思いましたね...

今回は面白かった話をふたつ

①『煮込まれたトマト、走るピーマン』

作者が作った食にまつわる慣用句をひたすら紹介する話。

よくそんなの思いつくな!と思いつつ
1人で笑いながら読みました🤣

私が気に入った慣用句はこちら💁🏻‍♀️

【冷蔵庫の奥のじゃがいも】
自分でも覚えていないくらいの記憶。

「子どもの頃の記憶なんて、もうーーだよね」
p.51

こんな調子で、作者オリジナルの慣用句を
ひたすら紹介していきます(笑)

表現がすごく秀逸だし、共感しかない(笑)
形式も辞書みたいで読むのが楽しかったです。


②『物語の中のごはん』

作者が読書に没頭するきっかけである
瀬尾まいこさんの小説の紹介に始まり、

そこで紹介されるごはんや
それにまつわる話を読みながら
作者が感じたことを描いたお話でした。

そんな中でも、この話のまとめの文がとても素敵で、今後こんな感情を大事にしたいとすごく思ったので、ここに記しておきます📝

自分の「おいしい」と、
誰かの「おいしい」は違う。

だけど、その事実を受け入れていてもなお、
「このひとにおいしいものを食べてもらいたい」とひとが思うのは、
エゴではなく、愛なのだと信じたい。
p.94

たしかに、自分のおいしいという感覚を
そのまま共有することはできない。

でもその幸せな気持ちを誰かにもお裾分けしたいという気持ちを持てること

そんな存在がそばにいること

そのこと自体がすごく幸せなことなんだなあと
感じました。

ちなみに、作者はこの気持ちを、
瀬尾まいこさんの『卵の緒』という小説の中で
感じたそうで

そのフレーズがとても素敵だったので、
早速瀬尾さんの本も買いました(チョロい)

本の数珠繋ぎ...最高すぎる📚

ひらいさんは色んな活動をされているそうですが
作家さんというわけではないみたいで、
他の著書を読むのは難しそうです。

なんか私もごはんにまつわるショートエッセイを
書いてみたくなった。できるだろうか...

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