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映画上映会「こども食堂にて」実施レポート 

みなさんこんにちは、一般社団法人COCOPORTAです。
11月23日(祝日)に実施した映画上映会+対談の実施レポートを書きました。

映画は佐野監督の「子ども食堂にて」を上映し、その後は佐野監督と、千葉市こども食堂ネットワーク事務局長の田中照美さんをお招きして30分程度の対談。
同日で、子ども向けのアートワークショップも実施しましたが、そちらは別のブログで様子をご紹介したいと思います。


「子ども食堂」とは・・・

子ども食堂は、子どもが1人でも行ける無料または低額の食堂であり、子どもへの食事提供から孤食の解消や食育、さらには地域交流の場などの役割を果たしています。

厚生労働省 広報誌「厚生労働」子ども食堂応援企画 より引用

子ども食堂の役割として ①子どもの貧困対策 と ②地域交流の拠点 がある中で、私的な意見を言うと、①の役割の方が世の中的に誇張され過ぎているような感覚がある。
自分が利用者ではない=自分には関係ないところ
そう思ってしまうと、その場所について知ろうという気持ちにはなりにくい。

子ども食堂を地域に根付かせるためには、”自分は普段利用しないけど、人には教えてあげられる”というレベルで子ども食堂の役割を知ることが、もっと必要なのではなかろうか。

とある本を読んでいた時”商品が世の中に知れ渡っている状態とは、例えばCMソングを歌えば製品がイメージ出来ちゃうとか、そういうこと”だと書いてあり、
人がイメージ出来ない状態というのは、知られていないことと同じことだなと思ったことがある。

自分の周りに子ども食堂のような場所が必要とされる家族がいたとしたら、良く知ってなければその場所を勧めることができないし、必要かどうかすら、気づくことさえ出来ない。

子ども食堂がどんな機能を持ち合わせているのか、少しでも知らない人に知ってもらい、必要な人に繋がっていく。そんな願いも込めて、佐野監督の「子ども食堂にて」の上映会とその後実際に子ども食堂を運営している田中さんとの対談を実施しました。

千葉市美術館 講堂にて

こども食堂で繰り広げられる人間模様から 役割を考えてみる

映画「こども食堂にて」は、こども食堂を利用している子どもを中心とした家族、運営している側の立場、それを支える周囲の思いが複雑に交差しながら進んでいくストーリー。支援を受ける当事者だけではなく、当事者の家族や支援機関、さらにその周囲の人たちを描くことによって、子ども食堂の持つ機能を物語から垣間見ることがでる。
具体的には、”虐待をうけている子どもとその家族””こどもシェルター””里親子と実親””シングルで子育てしている家庭””児童相談所””支援するNPO”など、色々な人の状況や想いが描かれており、その場面場面で、人と人、人と支援がどのようにつながっていくのかが、丁寧に表現されている。
社会的養護で使われるこれらの特殊な用語や場所についても、映画の中で語られるシーンもあり、言葉に馴染みのない人にもわかりやすく作られている。

「暴力シーンは描かない」こと が監督のポリシー

この映画のストーリーは子どもの貧困や虐待、家族の色々な事情など、決して軽いテーマではない。このような難しい社会問題を取り上げている映画で有りながら、どこか安心して映画を見ていられるのは、リアルな暴力シーンは描かれていないという点も大きな要因ではないか?と思もう。
そのことについて、実際監督に質問を投げかけてみると
「暴力シーンを私は描かないと決めています。世の中では、テレビでもSNSでも、暴力的な映像やシーンがもはや溢れていて、そうしたリアルを僕がわざわざ描く必要は無いと思っていて。それよりもむしろ、どんな困難な状況にあったとしても、明日への夢や希望に繋げていく。そういう映画を自分は作り続けたいと思っています。」
明日はきっと、今日よりはいい日になる!っと思うことさえできれば、人は自分に与えられた寿命をまっとうできるのではないか。そんな生きる勇気と希望を感じてもらいたい映画なのだという事を、監督の言葉で受け取ることができた。

てるさんの活動について

太陽のような”てるさん”のバイタリティはどこから?

「子ども食堂」をテーマとした映画上映会ということもあり、チラシの肩書きには”千葉市こども食堂ネットワーク事務局長”と記載していましたが、実は色々な取り組みを行っている田中照美さんこと”てるさん”。
自宅を開放し、Treehouseという名前でコミュニティハウスを運営しているかと思えば、出産して間もないお母さんの子育て支援をしていたり。2019年からは、若年の女の子の支援に注力して、千葉市内に「ぐるぐるカー」を用いて、夜の街に出向き、アメニティや避妊具、食料等の無料配布を行っている。
自身が代表を務める TSUGAnoわこども食堂/こどもカフェ は「地域の中のこども部屋」として着実に地域へ認知され親しまれている。

「これをやろう!と思って始めたというよりは、そこに集まる人や子どもたちと関わっていく中で、”これも必要、あれもしたいね!”ということが増えていった結果、今こうなってしまったという感じなんですよね。」

てるさんが手がけている事を聞いていると、ひとつずつ結構なバイタリティを要することのように思うのだが、なぜかてるさんを見ていると、「大変」というよりも「楽しそう」という言葉がピッタリとハマる。
人しれない苦労もあるとは思うけれども、それを跳ね返すぐらいの太陽的な明るさとパワーがみなぎり、眩しくて目が開けていられないほど(笑)

佐野監督とてるさんの対談にて

大切にしている言葉は”恩送り”

てるさんが、ここまでいろんな事業を行う第一歩のきっかけとして、自身が辛い時期に出会った書道の先生について語った。「その先生の存在があったからこそ、自分の居場所を見つけられました。大人になってから、自分も恩を頂いた人に恩返しをしたい!っと伝えたら、恩は返すのではなく、送るもの。恩を他の誰かに送りなさい。と言われ、それから自分は今まで人からもらった恩を、必要な誰かに送ることをはじめました。」
実は、今回のイベントに、今のてるさんの原点を作ったであろう恩師が応援に駆けつけてくれていた。先生とてるさんの間にある、揺るがない関係性は素敵で羨ましい。家族でも、親戚でも無い大人でも、子どもの希望をもたらす出会いになる可能性がある。まさにその結果がここに存在している。
だからこそ、てるさんの放つ言葉にはリアリティがある。そしてとても希望に満ちているのだと思えるのです。

あいさつだって 子どもの関わりのひとつ

映画上映会と対談が終了後アンケートを実施。
映画では、子ども食堂を中心とした、そこに関わるすべての人の繋がりについて色濃く描かれており、利用する人の像や関わる人・機関をイメージ出来たという声が多く聞かれた。
また家庭や学校以外の第三となりうる”こどもの居場所”について、映画やてるさんの言葉からより一層の必要性や、行政に対しての仕組み作りを願う声も。

てるさんのように、こどもの居場所をいろんな角度から作っていく取り組みをしている人を目の当たりにすると、やはり志しのある人や行政のようなところではないと、何かをすることって出来ないのでは?と思って尻込みしてしまう。
対談の中でも、「自分に何かできるんでしょうか?」といった質問が参加者からも出ていた。
それに対しててるさんは「今は学校の行き帰りに、安全上のため名札を外して登下校したりしていたり、よその家に簡単に上がるなという教育になっていて、昔とは家族が他者と関わる機会って減ってますよね。気軽に声をかけたら、不審者扱いされるとか(笑)でも、こどもとの関わりの中で、あいさつぐらいは誰でも出来ると思います。もしかしたら、いきなりあいさつして、最初はびっくりされるかもしれませんが、”おかえり””いってらっしゃい”そういう声がけに子どもが反応してくれたら、もう知らない人ってわけでもなくなりますし。」

あいさつは、他人でも唯一 初対面の人にかけても、違和感なく受け入れられる言葉なのかもと、てるさんの話を聞きながら思った。
たとえ、相手から返答がなかったとしても、挨拶をした側は「ちゃんとあなたの存在、見えてますよ!」という意思表示であるとも言える。
それに応えるのか?応えないのかは相手次第になるけれども、自分が相手に対しての在り方を、挨拶で示すという方法もある。
それなら私にも出来そうだ!っと、思えた人は、いつもよりも笑顔で、翌日の挨拶ができるかもしれませんね。


リンク集

こども食堂にて HP
TSUGAnoわこども食堂/こどもカフェ
Treehouse
一般社団法人 マザーズコンフォート







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