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眠れない夜のこと

最近寝付きが悪い。眠りが浅い。うとうとしてもすぐに起きてしまい、眠った感覚が薄いまま朝を迎えることが多い。

眠らなければと思えば思うほど眠れなくなるらしいが、なんて不毛なんだろう。昼間にあったことをぐるぐると思い返したり、明日するべきことを考えたり、あたまが休まっていない。

出来ればスイッチをぱちんと切るように眠りたいし、眠るための努力なんてしたくない。

目を閉じて視覚以外の全てが冴えていく感覚。普段は気にならないまぶたの裏側の眼球がぴくりと動くのがなんだか気持ち悪い。デジタル時計の明るさが気になる。足元はすうすうするのに、手の平はじんわり熱くて体温調整が上手くいかない。ぐずぐずと寝返りを打ちながらまどろみを待つ。

寝る前、ベッドに入ってから眠りにつくまでの間に何を考えるだろうか。

私は、冬のストーブの匂いと加湿器がしゅんしゅんする音、柔らかい毛布の手触り、大好きな本の大好きな一節のことを考えている。そうすると安心して、よく眠れる気がする。

寝る前の記憶の切れ端みたいなものは、その人の現体験というものになるんだろうか。それらを集めてしっとりした声の方に朗読してもらったらよく眠れる気がする。染み込むように、沈み込むように。

眠らなければ、は辛いけど 、起きねば、も辛いよね。

健やかな夜のためにおやすみなさい。

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