楽な方へ逃げる
中学生まで、私は読書が趣味だった。空いた時間があればいつでも本を読んでいた。文字を追いかけ、頭に世界をいくつも作り上げ、何者にもなれた。
高校生になって忙しくなると、本を読むのがだんだんと難しくなってきた。時間的な忙しさもあったが、受験に追われて精神的にも余裕がなかった。私はマンガやアニメを見るのが好きになった。マンガは本よりも1冊を読むのにかかる時間が少ない。絵があるので想像力も本よりは不要だ。アニメは1話が20分ほどで、短い時間で簡単に理解できる。
大学生の前半は、コロナの流行で家から出られず、時間があった。人と会わないので、精神的にも余裕があって映画をよく見た。2時間ほどの長尺を楽しんでいた。
大学生も後半になると、やらなければならないことが増え、人と活動する時間も長くなり、精神的に疲労するようになった。
すると、本もマンガもアニメも映画も読めないし見られなくなった。
今の私は10分のYouTubeの動画を見るのがやっとだ。
見ていても、正直、楽しいと思えない。
精神的な疲労は、趣味嗜好に直結する。
鬱状態に近い時間が長くなってきて、遂にうつ病のような病的さが出てきた。
読書はカロリー消費の高い趣味だ。
文字を読み、想像し、理解する。思考を重ねてやっと楽しめる。
それに比較すると動画は理解しやすい上に、YouTubeやTikTokなら短時間で楽しめるような作りになっている。
現代人が活字離れしていっているのは、
楽な方へと逃げた結果なのかもしれない。