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noteで読めるねむるこ作品

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noteに上げた小説作品をまとめました。 短編が多いので気軽に読めるかと思います。
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記事一覧

【短編小説】転がせ!

 家族連れで賑わう商店街を私はひとり。重い足取りで歩いていた。  私の人生は……転がり落…

【短編小説】罪人たち

こんな世の中くそくらえだ。 俺はポケットに手を突っ込みながら綺麗な青空の下を足早に歩いた…

【小説】好きなことをやれ。全力で

好きなことやれ 全力で 泣いても笑っても人生は一度きりだから 自分のことぐらい自分で信じて…

「北風と太陽の共同戦線」企画書

キャッチコピー:卓越した分析力を持つ少女、「北風」とお調子者の少年、「太陽」。予想外な学…

【詩】私には未来しかない

私の過去は 消したいぐらい嫌なもの 私の今は 俯きたくなるぐらい辛いもの 私にあるのは …

【短編小説】残酷な日曜日

「最近アイロンがけが辛いのよね」 母がそんな風に愚痴をこぼしていた。 日曜日の夕方。風呂…

【短編小説】物語の先に待つ君へ

狭い納屋の中。 おぼろげな蝋燭の明かりが私の世界を映し出す。納屋の中は使われなくなった農具や食器、本がひしめいていた。 その中で私だけが息をする。 床に敷かれた、布団代わりの藁の上でボロのワンピースを纏った私。 なんだか私って物語の中の登場人物みたいじゃない?なんて最近考えてしまう。 納屋の中に追いやられ、古くて読まれなくなった本の中にこういう話があったはずだ。継母とその娘たちにひどい扱いを受ける娘が魔法使いに出会ってお城の舞踏会に参加する。そこで王子様と出会うのだ。その王子

短編ホラー小説『見下ろす人』※実話

 7年前。これは、私が一人暮らしをしていた時に起きた出来事だ。  仕事もそこそこ。社会人…

短編小説『真夏の腹痛』

 最悪だ。どうしてこんなことになってしまったんだろう。  夏休み真っ只中。おばあちゃんと…

【短編小説】猫の季節 第二十四話 処暑

8月も終わりが近い。日中は変わらず太陽の光が鋭いが、朝夕は過ごしやすくなってきた。蒸し暑…

【短編小説】猫の季節 第二十三話 立秋

「残暑お見舞い?」 郵便ポストに入っていた葉書を見て私は首を傾げた。蝉の泣き声がBGMみた…

【短編小説】猫の季節 第二十二話 大暑

「あちいーっ!」 節約のためと言って、一人暮らしを始めた頃は躊躇っていたクーラーが常に稼…

【短編小説】猫の季節 第二十一話 小暑

「暑いなー」  僕はかき氷片手に舌を出す。夜の七時を過ぎたというのに蒸し暑い。僕の舌を見…

【短編小説】猫の季節 第二十話 夏至

 畳の部屋に二つの物体が転がっていた。  1つは人間である私。もう1つはヒョウ柄の毛皮を纏った猫、ムギのものだった。私は大の字に転がり、ムギは右半身を畳にぺったりとつけて横になっている。今日は朝から気温が高く、夏の訪れを感じる。  こう暑いと何かする気にもならず、何もせずに終わりそうだ。できることなら永遠にこの畳の上に転がっていたい。 「ムギは暑そうだなー。その毛皮、脱げないの?」 私はムギの柔らかな毛並みをそっと撫でる。ムギは右頬を畳につけ、目を細めて手足を伸ばした。猫