【短編小説】物語の先に待つ君へ
狭い納屋の中。
おぼろげな蝋燭の明かりが私の世界を映し出す。納屋の中は使われなくなった農具や食器、本がひしめいていた。
その中で私だけが息をする。
床に敷かれた、布団代わりの藁の上でボロのワンピースを纏った私。
なんだか私って物語の中の登場人物みたいじゃない?なんて最近考えてしまう。
納屋の中に追いやられ、古くて読まれなくなった本の中にこういう話があったはずだ。継母とその娘たちにひどい扱いを受ける娘が魔法使いに出会ってお城の舞踏会に参加する。そこで王子様と出会うのだ。その王子