Back to the world_001/ファイヤーバード
地上何メートルか上ーー。
サイドブレーキが甘かったのか、首都高速の停止エリアから金色のファイヤーバードが滑るように動き始めた。登坂車線を行くぬらりとした動きは無人のせいであろう、独特な無意思の揺れがあったーーにもかかわらずスピードに乗ったトラックや軽自動車は、状況に気付かずに脇を走り抜けて行く。高速道路脇の非常電話を使っていたファイヤーバードの運転手ーーパーマヘアの男がやっと異変に気づいた。受話器から手を離して慌てて走り出す。
次々走って来る後続車のスピードにまごついて