子どもの食育:好き嫌いを克服するための効果的な方法と親のアプローチ
栄養のバランスを考えて食事を作っても、「これ食べたくない」「これ嫌い」と言って食べないということは、しばしばあると思います。
うちの子たちも嫌いな食べ物があり、できれば何でも食べて欲しいと思っています。
そこで今回は、嫌いな食べ物がある子に対しての対応方法を解説していきます。
刮目せよ!
なぜ子どもは好き嫌いが多いの?
前提として、子どもって本当に好き嫌いが多いですよね。
だからこそ、まずはそのメカニズムを知っておくと良いでしょう。
味覚には基本五味といって『苦味』『酸味』『甘味』『塩味』『旨味』がありますが、子どもには生まれたときから本能的に苦手とする味わいがあります。
『苦味=毒を含んでいる危険な食べ物』、『酸味=腐敗した危険な食べ物』と認識する本能があるため、幼い頃はこのふたつの味わいが苦手な子どもがほとんどです。
中でも、苦味はほんの少量でも感知することができるため、幼いうちは特に敏感なのです。
こうした本能的に苦手と感じる味を受け入れることができるようになるには、味覚の経験が必要です。
例えば、大人になって『ブラックコーヒーが飲めるようになった』というように、昔は飲めなかったものが受け入れられるようになることがありますよね。
このように、生きていく中でいろいろな味を経験することで味覚が成長し、嗜好が変化していくのです。
とは言えですよね。
やはり栄養面を考えると、何とか食べさせたいというのが親心です。
前述の前提を踏まえて可能な限りの対応方法をしていきましょうといのが本記事の主旨ですので、続きをぜひご覧ください。
これだけはアカン!NGな対応
まずは、つい言ってしまいがちなNG対応を知っておきましょう。
「ほらほら、おいしいよ!食べてごらん⤴」
これね、私もよく言っていたんです。
しかしこれで食べるようになったことなんて当然ないわけですよ。
なのに繰り返し言ってしまい、さらに嫌いになり親もイライラする。
いくら周りに言われようとも、おいしくないことには変わりません。
なのに「おいしいから食べてごらん」なんて言われて、もはや罰ゲームです。
自分が「カッコいい」と思っていない男を、いくら周りがカッコいいと言っていても「キャー!カッコいいー!」とはなりませんよね。
そういうことです。
だからね、まずはその子の「おいしくない」と思っている気持ちを受け止めてあげることが大切なのです。
その気持ちを受け止めた上で、じゃあどうしようか?を考えてみましょう。
「今日は食べられるかなー?」
このような言葉もあまり言わない方が良いでしょう。
なぜなら、食べられなかったことを思い出してしまうからです。
もし出すのであれば、‟何も言わずに出す”のがポイントです。
意地悪をしようってんじゃないんです。
もしそれで食べなければそれはそれで、その場はスッと諦めましょう。
「この子、お肉食べないのよ」
親同士の会話の中、このような言葉を言ってしまったことはありませんか?
これは無意識に親が『あなたはこれが嫌いだよね』と子どもに思い込ませてしまっている可能性があります。
子どもにとって親の存在はとても大きいものです。
子どもが聞いている前で『この子、お肉が食べられないの』と親同士で話してしまうと、その言葉によって『自分はお肉が食べられない』と思い込み、『肉』というカテゴリ全般を食べなくなってしまうことがあります。
豚肉や牛肉などは食べなかったけど、鶏肉は食べていた。しかしいつの間にかお肉全般がダメになった。
このような経験があれば、もしかしたらこれが原因かもしれません。
なぜ嫌いなの?
そう、これが大切。
嫌いなのは嫌いな理由があります。
これを模索していきましょう。
理由を話してくれたらそれが一番手っ取り早いですが、子ども自身、なぜ嫌いなのかをうまく説明できないこともあると思います。
あくまで経験則ですが、嫌いな理由のほとんどは、
見た目、味、食感、工程(皮を剥くのが面倒など)、トラウマ(過去に気分が悪くなったなど)
のいずれかです。
「憧れの人が嫌いだから」というケースもありましたが、おそらくそれは稀でしょう。
理由を知らなければ、対応方法も考えることはできません。
ですから、お子さんがその食べ物を嫌いな理由をとことん模索してみてください。
工夫してみよう
理由がわかれば、あとはいろいろと工夫してみましょう。
味が原因であれば味付けや調理方法を変えてみる。
見た目が問題なら子どもが喜びそうな工夫をしてみる。
食感が理由なら形状を変えてみる。
うちの次女は、ピーマンが嫌いです。
絶対に食べさせようという気もなかったのですが、悪くなりそうなピーマンがあったので、超細かくして好きな食べ物に混ぜてみました。
すると、ピーマンということも気づかずに食べてくれました。
ちょっとした工夫で、意外にも食べてくれることがあるということです。
次からは、調理方法以外での、嫌いな食べ物を食べられるようになった例を紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
一緒に調理する
全ての工程を一緒に調理しなくてもいいです。
嫌いな食材を切ってもらう、でもいいですし、炒めてもらう、でもいいです。
ポイントは、その食べ物に対して親近感を抱かせること。
食べ物に触れて親近感が湧くと、その食べ物の良いところも見られるようになり、楽しい経験として嫌いだったものを受け入れられるようになることがあります。
メリットは、子ども自身が、苦手であっても食べ物としっかり向き合い、知ったうえで食べられるようなアプローチができることにあります。
前述の「細かく刻む」という私の実践では得られないものがありますね。
栽培する
これはずいぶんと手間がかかりますが、効果は抜群だと思いました。
その子はトマトが苦手だったのですが、ミニトマトを家庭菜園で一緒に栽培したところ、収穫したトマトをその場で食べるまでになったそうです。
その子にとっては、食べるまでの過程を知り、楽しむことが向いていたのでしょう。
ひとりひとりの個性がありますから、お子さんに合った方法を模索していくことが大切ですね。
しかしよく栽培しようと思ったよなあ…すごい!
食べる環境を変える
普段はテーブルで食べているご家庭でしたが、何気なくリビングにレジャーシートを敷いてピクニック気分で食事をしたそうです。
いつもより楽しい気分で食事をして、嫌いなものも頑張って食べたとのこと。
環境を変えてみるというのもひとつの方法かもしれませんね。
そういえば私自身、子どものころは給食は嫌いなものでも食べていた記憶があります。
給食という環境だからなのかはわかりませんが、そういうきっかけひとつで嫌いなものも食べる習慣になり得るということですね。
まとめ
「食べ物を食べて『おいしい』と感じるのは、食べ物が持つ味覚的なおいしさだけではありません。
それは大人も一緒で、『みんなで食べるご飯はおいしく感じる』という感情とイコールです。
ですから、食べ物だけではなく、食べる環境もとても大切です。
楽しみながら食べることで、食べ物との思い出をより良いものとして、お子さんに定着させてあげましょう。
大切なのは、嫌いだということを大人が決めつけてしまうのではなく、『いつか食べられるようになったらいいね』という長い目で見ることです。
そのうえで、子どもには『好き嫌い』があること自体は悪いことではないけれど、『好きな食べ物が増えるといろいろな人ともっと豊かな時間が過ごせるようになるんだよ』という伝え方をしてみてはいかがでしょうか。
きっと、親も子ももっと気楽に受け止めて考えられるようになり、『好き嫌い』を克服できる環境を自然とつくれるようになると思います。